敷地内同居では、思いもよらない様々なトラブルが起きることもあります。

 伊藤めぐみさん(仮名・36歳)は、自分たち宛ての郵便物を回収する義父母にイライラ。
悪気のない厚意だから……とモヤモヤを押し殺していましたが、ある日、ついに怒りが爆発してしまいました。

自分たち宛ての郵便物を勝手に自宅へ持っていく義父母

 めぐみさんは、3年前に結婚。夫はバツイチで元妻と結婚していた頃、実家の敷地内に一軒家を建てていました。

 住宅ローンの関係もあり、夫と一緒に暮らすにはめぐみさんが敷地内同居を受け入れるしかなかったそうです。

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「本音を言えば、嫌でした。二世帯住宅より距離感はあるけれど気は使うし……」

 義父母はやや、過干渉。休日に夫婦で遅くまで出かけていると、顔を合わせた時「この前は帰りが遅かったね。どこ行ってたの?」と、聞かれることもありました。

「そういう尋ねられると、暮らしを監視されているように思えて辛くなるので、なるべく顔を合せないように工夫しながら生活していました」

 結婚半年後、めぐみさんらは長期旅行へ。留守中に郵便物を義父母たちに受け取ってもらっていたのですが、なぜかそれ以降、義父母は毎日めぐみさんたちの郵便物を勝手に回収し、自宅へ持って行ってしまうように。

 回収後は翌日、めぐみさんに渡してくれますが、「ポスト内に置いたままでいいのに……」とモヤモヤが募っていきました。

リモートワーク中に窓から郵便物を渡されるストレス

 めぐみさんは、リモートワーク。義父母からリモートワーク中に郵便物を渡され、仕事が一時中断してしまうことも大きなストレスでした。

 自分たちの郵便物は、なんとか自分で受け取りたい。
そう思い、義父母よりも早く郵便の配達に気づき、ポストへ向かおうと頑張ったものの、定年退職して四六時中、家の中で外を眺めながら好きなことをしている義父母に勝てず、いつしか郵便物は毎回、義父母宅に回収されて翌日に渡されるのが当たり前になっていきました。

“敷地内同居”の義父母にポストの中身を勝手に回収されてつらい…やんわり「やめて」と伝えたら、まさかの結果に…
※AI生成画像を使用しています。
「我が家はリビングに大きな窓があり、私はその近くで仕事をしています。だからか、義父母は窓をコンコンと叩いて郵便物を手渡してくるんですが、集中したい時やオンライン会議の時にも来るので、気になったり仕事を中断したりしないといけないのが本当に苦しくて……」

 あまりにも煩わしくなり、一度やんわりと「私たちの郵便物はポスト内に置いたままでいいですよ」とやんわり伝えたこともあります。しかし、義父母に気持ちは伝わらず、「忙しいんだから、こういう時は頼ればええよ」と言われてしまいました。

 義父母は悪気なく、厚意で郵便物を持ってきてくれている。そう分かってもいるため、めぐみさんは、それ以上強く気持ちを伝えることができませんでした。

再び「郵便物はポスト内に置いたままにして」と伝えたらバトルが発生!

 実はめぐみさん夫妻、籍は入れていない事実婚。だからか、めぐみさんの中で義父母は「家族」ではなく、隣人という感覚でした。そのため、自分の郵便物を勝手に持っていかれるとプライバシーを侵害されているような気持ちにもなっていたと言います。

“敷地内同居”の義父母にポストの中身を勝手に回収されてつらい…やんわり「やめて」と伝えたら、まさかの結果に…
怒り
 勝手に郵便物を取っていくのが許せない。その怒りは月日が経つごとに膨れ上がっていき、ついには抑えきれないほどに。そこで意を決して、再び義父母に「ご厚意からだとは分かっているんですが、私たちの郵便物はポスト内に置いたままにしておいてもらえますか」と伝えました。


 すると、義父は怒った口調で「そちらがそのように思うのならば、そう対処しますが、なぜこんなことで何度も注意を受けないといけないのか分からない」と話したそう。

 一方、義母は自分のほうが被害者のような顔をして「親心が分かってもらえないのは悲しいわあ~」と嘆きました。

「本当は『迷惑だからやめてほしい』と伝えたいところを柔らかい言葉に変えて伝えたのに、なぜそんな言い方をされないといけないんでしょうか。被害者は、こっちなのに。夫と結婚はしたけど、義父母は他人。プライベートな部分にズカズカと入り込んできてほしくありません」

 その後、めぐみさん夫妻の郵便物は義父母に回収されなくなりましたが、両者の溝は開いたまま。顔を合わせると、義父母はそそくさとどこかへ行き、めぐみさんを避けるようになりました。

「本人たちは私にダメージを与えているつもりかもしれませんが、私はこっちのほうが楽です(笑)」

 厚意や親切心は相手の気持ちを聞かないまま押し付けると、お節介になってしまうこともあるもの。近くに住む義父母と適度な距離感で付き合っていくには、まず両者が互いの意志を確認し合い、踏み込んでいい領域をすり合わせることが大切なのかもしれません。

<取材・文/古川諭香>

【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
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