誰かとよい関係を築くためには、気遣いや配慮が大切だと考えている人も多いのではないでしょうか。もちろんお互いが同じような考えであれば有効なのですが、なかにはそういった配慮を利用するような人間もいるようです。


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細やかな気配りをする母親の影響

 四宮雪那さん(仮名・20代)の母親は謙虚で細やかな配慮ができる人。父親は寡黙で働き者という家に生まれた雪那さんのお手本は、幼少期から母親でした。そのため学生時代にはまわりから「古風」「遠慮しすぎ」と言われることもあったといいます。

「周囲と考え方が違うと感じることはありましたが、友だちは多いほうでした。友だちとの関係は良好でしたし、感謝されたりお礼に何かしてもらったりすることも多かったりとお互い様の良い関係。自分の言動について深く意識することなく大人になりました」

初めての彼氏に「やさしさ」が悪用され……

 けれど低姿勢で他人を思いやる雪那さんの言動は、大学を出て就職した会社で初めてできた彼氏に悪用されてしまいます。告白は彼氏の蒼汰さん(仮名・20代)から。蒼汰さんは取引先の会社で働く社員で、雪那さんに一目惚れしたと告白してきたのです。

「一目惚れされるような容姿はしていないので驚きましたが、蒼汰さんが明るくて話し上手な人だと知っていたのでお付き合いをすることにしました。でも毎回のようにデートの待ち合わせに遅れてくるし、約束を忘れられてしまうようなことも多かったです」

 それでも「人間なんだから、時間に遅れることも約束を忘れることもある」と何も言わずに我慢。最初のうちは「本当にごめん!」と謝罪していた蒼汰さんでしたが、そのうちだんだんと遅刻や約束を忘れることが当たり前のような態度になっていったといいます。

「ほかにもいろいろありました。ドライブデートのときはペットボトルのジュースを毎回のように買って持って行っていたのですが、ある日、仕事が押してしまって待ち合わせ時間ギリギリになったことがあったんです。それでジュースを買わずに待ち合わせ場所へ」

 すると「雪那がジュースを買ってきてくれると思ったから買わなかったのに」「喉がカラカラで死にそうなんだけど。
いまからコンビニまで行かなきゃいけないじゃん」などとスネてしまい無言のドライブがスタート。30分以上も機嫌をとり続けることになってしまいます。

「またデート代について聞かれたときに女性も払うべきだと伝えたところ『そうだよね。俺もそう思ってた』と言われ、それ以降はどちらかがデート代を支払うことになったんです。でも気づくと、高い料金のときばかり支払いをお願いされるようになっていました」

友人の忠告も耳に入らなかった

 雪那さんは「おかしいと感じる場面は多かったです。ただ、初めての彼氏に嫌われたくないとそのままにしてしまい、気がついたときには上下関係ができていました」と当時を振り返ります。

「別れる少し前は、私が着る服や話す言葉のひとつひとつにまで意見をしてきては、蒼汰が気に入るように直すよう指示されるなど異常な感じ。それでも彼氏から好きな女性ができたと捨てられるまで、別れることができませんでした。洗脳状態になっていたようです」

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泣いている女性
 忠告してくれる友だちの言葉さえ聞き入れられず、別れてすぐは大泣き。

「捨てられたくない一心で彼氏に何度も連絡をしてしまい、鬱陶しがられてはまた泣くということを繰り返して、友だちにすごく心配されました」別れてすぐも苦しんだと雪那さん。

洗脳が解けた今、思うことは

「彼の言動や従っていた自分の異常さに気づいてゾッとしたのは、しばらくしてからです。彼と出会うまで大切にしてきた謙虚さや相手への配慮が利用されていたこともショックでしたし、私自身も違和感を覚えた時点できちんと意見を言うべきだったと反省しています」

 円滑なコミュニケーションのために大切な謙虚さや相手への配慮ですが、相手によってはそれを利用されてしまうこともあるかもしれません。違和感を覚えたときなどは早めに自分の意見を伝えるなどし、対等な関係を保つよう心がけたいものです。


―シリーズ「男と女の『ゆるせない話』」―

<文/夏川夏実>

【夏川夏実】
ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。X:@natukawanatumi5
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