義母の死をきっかけに始まった、義父との同居生活。ただ“家族だから”という理由で背負わされた役割のせいで、心と体が静かに追いこまれてしまった女性がいます。
彼女のエピソードをご紹介しましょう。

同居する義父が不潔で耐えられない

 飯田真美子さん(仮名・35歳/主婦)は、夫(37歳)と3歳の息子、そして義父(62歳)と4人暮らしをしています。

「義母が亡くなってから、夫に頼み込まれて同居を始めました。最初のうちは『家族なんだから』と自分に言い聞かせていたけれど、その“家族”の中に、私の居場所なんてなかったんですよね」

 義父は風呂嫌いで、常に加齢臭とタバコとなにか酸っぱいような独特のにおいがし、食卓ではゲップをし、歯に挟まったものを平気で指で取るような人でした。

「それを注意すれば『うるせぇ!』と逆ギレ。なのに息子が少し食べこぼしただけで『行儀が悪い!』と怒鳴り散らすんです。行儀が悪いのはお前の方だよと心の中で100回くらい叫びましたよ」

 そして義父はトイレを汚し放題で、一度も自分で掃除をした事がないそう。

もう限界…義父の汚したトイレを掃除していたら「息が苦しくなり...の画像はこちら >>
「結局トイレ掃除をするのは私で……その度に怒りと虚しさでなんとも言えない気持ちになり、気がついたら泣いていた日もありました」

苦しみを無視され、家庭内で孤立

 そしてある日、追い打ちをかけるように、義父が真美子さんの洗濯物のキャミソールを勝手に触っているのを見てしまい……。

「反射的に『やめてください!』と叫んだら『床に落ちていたから干し直してやっただけだ』と言い訳をしていましたが、絶対に嘘だと思います。本当に気持ちが悪くて背筋がゾワッとしてしまいました」

 さらに夫に訴えても、「もう年なんだし、好きにさせてやれよ」の一点張りでした。

「この家では私の苦しみなんて、どうでもいいと思われて無視されるんだ……と絶望的な気持ちになりました。しかも夫に義父のことを相談しようとすると、その度に嫌味ったらしくため息をつかれるので、私はだんだんと何も言えなくなり孤立していったんです」

 そんなある日、真美子さんが義父の汚したトイレを掃除している最中、突然心臓がドクドクと鳴り、呼吸が苦しくなって立っていられなくなってしまったそう。

「病院に駆け込み『パニック障害』と言われたときは頭の中が真っ白になりました。でも同時に『なんで私があんなヤツのせいで病気にならなくちゃいけないの? そんなの絶対に許されることじゃない』と覚悟が決まったんですよね」

義父に言ってやったスカッとした言葉

 帰宅してすぐに真美子さんは「お義父さんと別居できないなら、離婚して息子と出て行く。
どっちでもいいけど、私はもう限界」と夫に伝えました。

「すると私の本気度が伝わったのか、夫は真っ青になって『分かった……別居しよう』と了承してくれました。嬉しかったですね。きっと揉めることになるだろうと覚悟していたので、かなりホッとすることができました」

 それを聞いた義父は、案の定ブチ切れ。「恩知らず!」「俺を見捨てる気か!」と怒鳴り暴れましたが、もう真美子さんは怖くも悲しくもなかったそう。

「はいはい、やっぱりあなたはそういう人ですよね。だから別居することにしたんですよ。としか思いませんでしたね。それから私は鼻歌まじりにご機嫌で荷造りをし、引っ越しの日を指折り数えて楽しみにしていたんですよ」

もう限界…義父の汚したトイレを掃除していたら「息が苦しくなり病院へ」。そこで告げられた“まさかの病名”とは?
※画像はイメージです
 そして引っ越し当日、玄関の隅でふてくされている義父に、真美子さんは満面の笑みで近づきました。

「『お義父さん、長い間修行みたいな日々をありがとうございました! おかげでメンタルが大分鍛えられました! あ、ちなみに新居は“立入禁止”なんで、来訪はご遠慮くださーい』と言い放った時の快感といったらなかったですね(笑)」

 真美子さんが颯爽と出て行くと、背中で義父の「なんだとコラァ!」という怒鳴り声が聞こえましたが、もうそれすらBGMみたいにどうでもよかったそう。

「引っ越してからは開放感が凄くて、私がいつも笑顔なせいか、息子が『ママかわいい』としょっちゅう言ってくれるようになりました。義父のことは夫に任せてあります。
よっぽど何かが起こらない限り、私に義父の話はしないと言ってくれています」と微笑む真美子さんなのでした。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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