ストリッパーの二階堂ふみ VS 巫女の浜辺美波
二階堂ふみと浜辺美波のキャットファイトがおそろしくもおもしろい。『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』で二階堂演じる倖田リカと浜辺演じる樹里が繰り広げる女の戦い。昨今、コンプライアンスに気を遣って、ドラマではきつい表現は抑えめだが、ふたりの戦いは容赦ない。1984年の渋谷・道玄坂をモデルにした八分坂で、ストリッパーをやったりボッタクリバーで働いたりしているはすっぱなリカと、八分坂の神社の娘で巫女をやっている潔癖な樹里。ふたりの相性が最悪。暴力沙汰にはならないものの会話がじつに刺々しい。令和の時代の、誰の気持ちも受け入れましょうなんて発想はそこにはさらさらない。自分を活かすために相手を潰す、それ一点である。
ハラハラするキャットファイト
はじめて舞台『夏の夜の夢』を見て、演劇やシェイクスピアにすっかり魅入られてしまった樹里の素直な感動に、リカは水を差しまくる。樹里の言うことをいちいち否定して、ぐうの音も出ないように論破し「もっと勉強しなさい」と上から目線(第6話)。声のトーンも表情も抑えめだけど、だからこそ切れ味が鋭い。
リカの明らかな意地悪を、気持ちを抑えて大人しく聞いて、これで失礼しますと席を立つ(第7話)。まあ、演劇に詳しそうなリカには何を言っても叶わないから何も言えず、すごすごと尻尾を巻いて帰るしかないのだが。
樹里もなかなかしたたかなのだ。リカの前で取り乱したら完璧に負けだから。あくまで聞き分けのいい子を貫き続ける。
女性同士の険悪さに、男性は気づかない?
樹里とリカの関係の悪さをクベ(菅田将暉)は気づかない(男性たちはなぜか女性たちの険悪さに気づかないものなのだ。いや、男性たちは気づいていても自分とは関係ないので放置する)。クベは人手不足を理由に、演劇素人の樹里を「演出助手の助手の助手」にして、新たに上演する『冬物語』の台本を短縮する作業の手伝いを頼む(第7話)。
最近のドラマでは珍しい女性同士のいがみあい
いくら時代設定が80年代とはいえ、こんなにぎすぎすした女性同士の会話を描くことは、なかなかチャレンジングである。いやいや、こういうのがゾクゾクして面白いと思う人もなかにはいるだろうけれど、いまや打たれ弱い人たちが増えているので、もういたたまれないと思う視聴者もいるのではないだろうか。
また、三谷幸喜の『王様のレストラン』(フジテレビ系、95年)では、山口智子と鈴木京香が険悪な役を演じていた。山口演じる、厨房で颯爽と働く料理人は、鈴木演じる、男性によりかかって生きているように見えるバーテンダーを敬遠していて、ふたりは静かに牽制し合っていた。
なぜ2人はお互いが気に入らないのか?
女性がマウントをとってその場を掌握しようとするのは、あらかじめ用意された女性の椅子が極めて少ないからかもしれない。『もしがく』ではリカはストリッパー仲間の間ではそんなに対抗心を剥きださないにもかかわらず、樹里にかぎってむき出すのは、教養系キャラはひとりでいいと思っているのと、樹里が明らかに似非だから許せないからではないか。
しかも、樹里は若くてかわいい。ともすればヒロインの座を奪われかねない。とことん潰しておくというのが手っ取り早いのだろうと思う。そもそも清純なお嬢様が安易な興味でド底辺の世界に来るのもいやなのだろう。だが、リカのバックボーンはまだはっきり描かれていないので、あくまで推測にとどめておく。
2人とも朝ドラでは、けなげな妻役だった
二階堂ふみは、たばこをふかして、けだるそうな雰囲気を醸し、浜辺美波は、潔癖なぶりっこを貫く。ふたりはわかりやすいコントラストを作り出している。奇しくも、ふたりとも朝ドラで、才能ある夫に尽くして、先立つという役をやっていた。二階堂は『エール』(20年度前期)。浜辺は『らんまん』(23年度前期)で、健気に夫に尽くしたすえ、惜しまれつつ先立つ妻をチャーミングに演じていたふたりが、ここではがらりと雰囲気は違うがきついという点においては共通なキャラをやっているのがおもしろい。きつい役も健気に尽くす役もできる、なかなかの名優たちである。
スターと凡人の差はどこにある
女性たちのいがみ合いがいたたまれない『もしがく』。女性に限らず、ほかの人間関係も苦い。
しかも、うる爺は本番に弱い。なかには名優・是尾礼三郎(浅野和之)のように、ふだんは酒浸りの老人だが、舞台に立つと輝きまくる人もいる。これが売れる売れないやスターと凡人の差であろう。努力だけではどうしようもなく、理屈や倫理観で片付かないものが芸能の世界にはある。
彗星フォルモン(西村瑞樹)と王子はるお(大水洋介)のコンビ解散問題も然り。
お笑いコンビの残酷な“格差”と別れ
第7話では、はるおだけにいい仕事の話が来て、彼は舞台を降板してテレビの仕事をすることになる。はるおは実は大スター・ポニー田中(堺正章)の御曹司で、その七光りも多分にある。
取り残されたフォルモンは「はるお以上の相棒はいねえよ」とつぶやく。お互い本音を隠してお涙頂戴の別れにしないように強がっているようにも見える。それも嘘ではないだろう。でもはるおが自分だけ売れる仕事を選びフォルモンが取り残される残酷な格差は厳然たる事実。どうしようもないのだ。
「こんなこといつまで続けるんですか」
クベもどうしようもない状況に追い込まれている。嘘に嘘を重ね続けてどん詰まりの袋小路。劇場のオーナー(シルビア・グラブ)には週120万円支払わないといけないが、思ったほど集客は伸びない。初週は、支配人(野添義弘)が大切な鎧を売って120万円を作った。翌週は、クベがはるおの支度金を口八丁手八丁でいただいて、それを支払いに回す。
キャラ大渋滞のまま、物語はどこへゆく?
そんな人たちの吹きだまりである八分坂。でもこの場所のモデルである渋谷・道玄坂は袋小路ではなく、道玄坂と文化村通りに抜けることができる。ちょっと迷う箇所もあるけれど、そこに生活する人たちは行き止まりでは決してない。『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』は略すると『もしこぶ がくどこ』だそうだ。占いばば(菊地凛子)が第7話の冒頭でそう語っていた。でも長いのでやっぱりここでは『もしがく』にしておく。
<文/木俣冬>
【木俣冬】
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami
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