菅田将暉の開き直りとハッタリ力がすごかった。
本物の拳銃を相手に突きつけるときの絶対的な強気、と武者震い。でも実は、銃はおもちゃだった。相手は本物の切れ味鋭そうなナイフを持っている。いまさらあとには引けない菅田将暉はこの優位から一点不利な状況に追い込まれたときの感情の流れを見事に視覚化していた。目を血走らせ、銃口を突きつけ凄み続ける。
なんの話か。『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系 水曜よる10時~)第8話である。
視聴者も震えた、菅田の鬼気迫る演技
菅田将暉演じる主人公・クベが率いる劇団が、ストリップ小屋の再起をかけてはじめたシェイクスピア劇。『夏の夜の夢』と『冬物語』を上演しているが客足が伸びない。オーナー(シルビア・グラブ)には毎週120万円売上を上納しないとならないが、目標金額に達することは難しく、あれこれ工面する自転車操業状態だ。
生田vs菅田の芝居対決は、引き分け?
一方、菅田の芝居を受ける生田斗真も負けていない。生田演じるトロは最初に銃を突きつけられたとき、逆に強気に出て、相手をひるませ、撃たせない方向に持っていこうとする。そうして反撃のチャンスを狙うが、あまりにもクベが本気なので、これは下手したら撃たれるぞ?と次第にあせりはじめる。頭のなかの冷静な計算と胸のうちの感情がせめぎ合ったすえ、恐怖という感情が勝ってしまう様を鮮やかに視覚化した。
俳優としては偽物だとわかっていながら、役として本物のように感じる芝居が、菅田将暉も生田斗真もどっちも見事すぎるほど見事。生田のように反応が的確で鮮やかでなければ、菅田の渾身の火事場の馬鹿力、狂気に近いような迫力も生きない。生田斗真の助演によって菅田将暉が輝いたといえるだろう。
『もしがく』第8話は菅田将暉と生田斗真が2回戦行って、どちらも接戦で引き分けだった。
W主演の舞台で粛々と演じていたふたり
このふたりは、2017年のシス・カンパニーの『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(略して「ロゼギル」)でW主演している。これは、『ハムレット』の端役で、ハムレットの友人・ローゼンクランツ(生田斗真)とギルデンスターン(菅田将暉)を中心に、トム・ストッパードが書いたスピンオフみたいなものである。
つくりものが本物になるとき
「芝居に大事なのは自分を信じる心だ」名優・是尾礼三郎(浅野和之)の教えがクベを支えていた。
<ここは見世物の世界 何から何までつくりもの
でも私を信じてくれたなら すべてが本物になる
It’s a Barnum and Bailey world,
Just as phony as it can be,
But it wouldn’t be make-believe
If you believed in me.>
「ここは見世物の世界 何から何までつくりもの
でも私を信じてくれたなら すべてが本物になる」
まさに「芝居に大事なのは自分を信じる心だ」と繋がっているではないか。
いないはずの透明な猫も、おもちゃの拳銃も、全部つくりものでまがいものだが、見世物の世界では、俳優たちが懸命に演じることで、本物に見えてくる、そう信じて演劇人は日夜芝居をしているのだ。クベとトロの一騎打ちを固唾をのんで見守る俳優たちのリアクションもまた、本物に感じさせる見事な演技であった。
三谷幸喜がやりたかったこととは?
『もしがく』の作者・三谷幸喜は確か第1話の放送前から第8話の菅田将暉の芝居がよかったとコメントしていた。さらにこの作品は自分がやりたいことだと朝日新聞のコラムで書いている。
「もしがく」第8話こそ、三谷がやりたいことが詰まった回であろう。これは三谷が監督した映画『ザ・マジックアワー』(18年)とも通底しているように思う。売れない脇役俳優(佐藤浩市)が映画撮影だと騙されて伝説の殺し屋を演じ、本物のギャングと対峙するという奇想天外な喜劇。俳優の演技力に本物が気圧されていくのがありえないけどおもしろい。街のセットを作り込んでいるところも『もしがく』と同様だ。三谷はこういったフェイク前提な物語を好んでいるのだと思う。
『ザ・マジックアワー』は23年には中国で『トゥ・クール・トゥ・キル ~殺せない殺し屋~』としてリメイクされた。今回の『もしがく』は、三谷の『ザ・マジックアワー』を中国人が少し生々しく撮ったときのような雰囲気があるように思う。
決闘に至るまでの布石がプロフェッショナル
偽物が本物になる瞬間の尊さが描かれた第8話だが、そこに至るまでの構成こそがさすがの盤石さだった。
「おもちゃの銃」にも深い意味がある
『1Q84』で有名になった「チェーホフの銃」(物語における伏線のお約束で、あらかじめ出ていた銃は発砲されないといけないルール)を想像させる小道具であり、それがクベの持っている拳銃が本物ではないかというミスリードを呼ぶ。唐突に思いつきの派手な出来事を描いているのではなく、事前に入念に準備がされてある。それがプロフェッショナルだ。当たり前のことなのだけれど、令和のいま、なんだかとっても尊く感じる。さて、拳銃という大事な道具の持ち主・大瀬が、芝居に出たら、ものすごく巧くて「警官にしておくのがもったいない」「ほんとうに初舞台?」とまで言われるほどだったという展開も楽しい。彼もまた、偽物を本物のように見せられる逸材なのだ。
<文/木俣冬>
【木俣冬】
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。
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