「昔はこうだった」と自信満々に育児へ口を出す義母。ですがもしそれが、赤ちゃんにとって“危険な行為”だったとしたら……あなたならどうしますか?

 今回は、そんな状況に直面した女性のエピソードをご紹介します。


信じられない光景を目撃する

 中谷理奈さん(仮名・31歳/主婦)は、離乳食を始めたばかりの雛子ちゃん(0歳5ヶ月)の育児に日々向き合っていました。

「そんなある日、私が目を離したほんのわずかの時間に、義母がヨーグルトや味付きのおかゆを勝手に雛子の口に入れている現場を目撃してしまったんですよね」

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 本来、生後5ヶ月の乳児に離乳食以外の乳製品や味の濃い食べ物を与えるのは非常に危険です。

 未発達な消化器官に負担をかけるだけでなく、ヨーグルトに含まれる乳タンパクは重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性があります。離乳食は月齢に合わせ、まずは特定の食材を少量から試し、アレルギー反応がないかを確認しながら進めるのが現代の育児における常識です。もしアレルギーだった場合、赤ちゃんにいきなり大量に与えることは、重大な健康リスクを招きかねません。理奈さんは、「昔は大丈夫だった」という感覚で安易に行動する義母に対し、強い不安を覚えていました。

「私が慌てて『お義母さん、それはまだちょっと……』と止めようとしたら、義母は眉をひそめて『これぐらい平気よ。私は二人も育てたベテランなんだから。あんたも母親なら細かいことをいちいち気にしないの!』と不機嫌になるだけで、全く聞く耳を持ってくれないんです」

 その言葉の圧に、理奈さんは息を呑みました。

義母のやり方に不信感が募る

 雛子ちゃんの健康に直結する重大な問題なのに、義母にはその認識がまるでなく不信感が募りました。

「義母はそれ以外にも『抱き癖がつく!』と勝手に抱っこ役を奪って雛子を泣かせたり、毎回『昔はこうだった』と自分のやり方を押しつけてくるので困ってしまいました。今のやり方の話をしようとするとたちまち『あ~またインターネットの情報? そんなのに頼りっきりだからダメなのよ』と不機嫌になるので本当に手に負えなくて」

 そんな義母の事を相談すると、夫はいつも決まって「まあまあ……母さんはただ雛子が可愛いだけなんだよ。悪気はないから」としか答えてくれません。

 しかし“悪気がない”という言葉は便利な逃げ道でしかなく、実際に危険に晒されるのは雛子ちゃんであり、精神的に追い詰められ苦しい思いをするのは理奈さんです。
無自覚な行為であっても、結果的に赤ちゃんの命を脅かすなら、それは十分すぎるほど“悪”になり得ます。

赤ちゃんの命と健康を守るため、下した決断は

「ある日、また義母が勝手に食べ物を与えようとした瞬間、私の胸がぎゅっと締めつけられたんです。『もし何かあったら? アレルギーが出たら? それで取り返しのつかないことになったら? 誰も責任なんて取れない……雛子を守れるのは私しかいない!』と考え出したら、心臓がバクバク鳴りそのまま過呼吸になってしまったんですよ」

 薄れゆく意識の中で理奈さんは、「もし私がこのまま壊れて倒れてしまったら雛子はどうなるの? もうこんな場所には居られない」と思っていたそう。

「『雛子を守るために、いったん家を出ます』と夫に伝えると、かなり動揺した様子で『ちょ、ちょっと落ち着いて! 母さんには俺からちゃんと言っておくから!』と泣きそうな顔で引き留められましたが、そうやって今までに何度も裏切られてきたので特に気持ちは揺らがなかったですね」

やめて! 生後5ヶ月の赤ちゃんに、“危険な食べ物”を与える義母。止めたら返ってきた「まさかの言葉」に絶望
※画像はイメージです
「私、もう限界なの」と最低限の荷物をまとめた理奈さんは、雛子ちゃんと一緒にとりあえず実家に戻る事にしました。

 赤ちゃんの命と健康を守るために距離を置くことは、決して逃げではなく正しい母親の決断です。

 理奈さんはそれ以来、過呼吸の症状は一切出ておらず、実家で落ち着いて育児をしながら、離婚に向けての話し合いを進めています。

 理奈さんが雛子ちゃんを連れて家を出たのは、負けたからでもわがままでもなく、ただ我が子の命を守るための正しい選択でした。今、実家で穏やかな日々を取り戻した彼女は、ようやく深く息ができるようになったと言います。母としての強さは、静かな決断の中にこそ宿るのかもしれません。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。
著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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