「THE W」に漂う低調ムードと視聴者の関心離れ
今年は、過去最多の1044組がエントリーし、8組がファイナリストとして決勝の舞台に進出。ファイナリストは昨年の12組から8組へと減り、紺野ぶるま、もめんと、電気ジュース、エルフ、ニッチェ、とんでもあや、ヤメピ、パンツ万博が選ばれ、5組が決勝初進出となった。そんな『THE W 2025』だが、決勝が目前に控えながら盛り上がっている気配があまり無い。お笑いファンは、「M-1グランプリ2025」のファイナリストに注目し、どのコンビが最後の1枠となる「敗者復活戦」で勝つのかを予想することに忙しい。
そもそも「THE W」だが、乱立している賞レースの中でも注目度が低い大会のひとつになっている。2024年の放送は平均世帯視聴率で6.6%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)という番組史上最低を記録。優勝したお笑いコンビ・にぼしいわしも活躍しているとは言えず、SNSでは大会に批判的なコメントが多く投稿された。
数字でも人気でも低迷している賞レースで、今回の優勝者より「M-1グランプリ2025」で決勝に残った女性お笑いコンビ・ヨネダ2000のほうがブレイクする可能性を秘めているだろう。
粗品投入はテコ入れ策?制作サイドの本気度
厳しい現状の「THE W」だが、今年の大会ではこれまでになく大きな変革を行った。それが、お笑いコンビ・霜降り明星の粗品が、初めて同大会の審査員を務めるサプライズを打ち出したことだ。
その言葉通りに、近年の賞レースでは珍しい「低得点」を多く出しつつ的確で厳しい寸評を連発し、お笑いファンから高評価を得て『ytv漫才新人賞』は大きな注目を集めることに成功した。
「俺がTHE Wを救う」宣言の真意と期待感
まず、粗品が審査員を務めることで、お笑いファンの視聴者が大幅に増えるだろう。
審査基準の曖昧さにメス?THE W改革の可能性
粗品が「THE W」の審査員として登場することが、大会にこれまでにない注目を集めている。というのも「THE W」はこれまで、審査員の“当たり障りのないコメント”や、視聴者投票とかけ離れた結果が批判を浴び、たびたび炎上してきた。投票制度が複雑なこともあり、審査基準が見えにくいとの指摘も多く、審査員がSNSで批判され続ける状況が続いていた。そんな中で期待されているのが、粗品の“核心を突く審査”。11日に公式Xが公開した審査員コメントでは、粗品が「(「THE W」)レベルが低すぎる」「面白くないものには面白くないと言わせてもらいます」「日テレが血の海になったらすみません」と発言。遠慮のない辛口評価を示唆し、ファンの間でも注目が高まっている。
男女問わず面白くない芸には容赦なくツッコむ粗品だけに、これまでにない緊張感が大会に生まれる可能性は高い。“中途半端”と評されがちだった「THE W」が、一気に引き締まった大会へと変わるかもしれない。
果たして粗品は宣言通り、「THE W」を立て直し未来につなげることができるのか。今年の放送は、例年以上に見逃せないものとなりそうだ。
<文/ゆるま小林>
【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆
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