「嫁姑問題」という言葉があるように、義母との付き合い方に悩んだ経験がある人は多いと思います。大好きな人との結婚によって家族となった義母だからこそ、せっかくなら仲良くなりたい、良好な関係を続けたいと思うもの……。
しかし中には、関わるごとにモヤッとしたりイラっとしてしまうケースもあるようです。

 今回お話を聞いた恵茉さん(仮名・36歳)の義母は、一言でいうと“悪気はない天然”タイプ。最初はモヤッとすることも多かったそうですが、関係性が深くなってくると、そんな天然ぶりにも慣れてきたそうで、5年という年月を経て“うちの義母は面白い!”と思えるようになったんだとか。ネットでよく見る義母に対する愚痴ではなく、面白エピソードとしてお話を聞いてみました。

「母は天然」という意味が分かった“衝撃的な出会い”

「不味いけどどうぞ!」初対面で“丸焦げシチュー”や“崩れたケ...の画像はこちら >>
「私は夫と1年の交際を経て婚約しました。夫との交際中に『うちの母はちょっと変わってる、天然なんだと思う』と聞いていたんです。

 初めて夫の実家に行った時は、お義父さんは仕事で不在でお義母さんが一人で迎え入れてくれました。シチューを振る舞ってくれたのですが、『めちゃくちゃ不味いんだけどよかったらどうぞ!』と言われ、初対面ながらびっくりしたのを覚えています。

 普段から料理をしないお義母さんは、私が来るのを知って頑張って作ってくれたようでした。『不味いけどどうぞ!』なんてはっきり言われたことがなかったので思わず笑ってしまいました。ちなみにシチューは丸焦げでほんとに不味かったです(笑)

手土産のケーキを崩した義母の「まさかの対応」

 ちょっとおっちょこちょいな義母ですが、なんだか可愛らしいなといった第一印象だったという恵茉さん。愛想も良く、お茶目なイメージで好印象だったようです。

「その日私は手土産として、ケーキ屋さんで購入した小さなカップケーキを義父の分も含めて4つ持って行きました。ところがお義母さん、受け取ったケーキの箱を持った状態で椅子に足を引っ掛けてつまずいてしまい、カップケーキが一つ崩れてしまったんです


『せっかく持ってきてくれたのに、ごめんね!』と言われたので、『味は変わらないし全然大丈夫ですよ~!』と返しました。しばらくしてお義母さんがテーブルに3つケーキを運んできて、『はい。恵茉さんはこの崩れたやつ!』と笑顔で出されたときには何とも言えない気持ちになりました。

 その場で夫が『なんでわざわざ崩れたやつを恵茉に出すんだよ!』と言うと『味は変わらないって言ってたから~!』と……。このときに、本当に天然なんだなと悟りました」

家にやってきた義母の“サプライズ”

「その後、結婚してから義実家に行ったのですが、その日に私の着ていた服を見て、お義母さんが『恵茉ちゃん、その服可愛いね』というので、『○○さん(夫)からのプレゼントなんです、可愛いですよね!』と何気ない世間話をしたことがありました」

 それから数日後、お義母さんが旅行に行ったお土産を届けてくれたのですが、なんと、恵茉さんが夫にもらったと話していた服と同じ服を着ていました。

「不味いけどどうぞ!」初対面で“丸焦げシチュー”や“崩れたケーキ”を出す義母に衝撃。しかし5年後、2人は“意外な関係”に
鏡の前の女性 お気に入りの服
「『恵茉ちゃんとお揃い買っちゃった! サプライズ!』と子どものような嬉しそうな姿で。正直びっくりしましたが『可愛い』とほめてくれていたので、本当に好みだったんだろうと思っていました。

 しかし、その後も私が夫からもらったものについて、同じものを欲しがるお義母さん。夫にも『恵茉ちゃんにあげてたやつと同じのが欲しい』と誕生日におねだりしていたり……。

 普通ならモヤッとする出来事だと思うのですが、嫌味な感じはなく、ただただ純粋に子どものようなお義母さんで、5年経った今は何も思わなくなりました。いまだに『変わってるなぁ~』とは思いますけどね」

「何しに来たの?」と突っ込みたくなった産後の面会

「関わりが深くなってくると、だんだんとお義母さんの常識からかけ離れた行動や言動にも慣れてきて、普通ならイラっとするんだろうなぁと思うことも、“面白い”と思えるようになってきたんです。

 結婚から3年経って、私たち夫婦は子どもを授かりました。産後の入院では、みんなで部屋で食事をとれるとのことで、個室を選択していたんです。それで、夫と時間を合わせてお義母さんとお義父さんも面会に来てくれました。


 お義母さんは部屋に入るなり『お疲れ様! 可愛い子を産んでくれてありがとう』と労いの言葉を掛けてくれたのですが、すぐに『ちょっとお腹が空いたわ! ご飯でも食べに行こうか!』と夫とお義父さんを連れてすぐに外食しに行こうとしたのにはびっくりして腰が抜けそうでした。

 『お義母さん! せっかくみんな来てくれたのに、私を置いていかないで!』と冗談交じりに返しましたが、『あら、ここで食べられるんだっけ?』と……。きっと悪気はないんです、でも相変わらずの天然っぷりだなぁと苦笑いでしたね」

「不味いけどどうぞ!」初対面で“丸焦げシチュー”や“崩れたケーキ”を出す義母に衝撃。しかし5年後、2人は“意外な関係”に
出産
 病室に来て数分足らずで「外食に行こう!」と言われたときにはびっくりしたという恵茉さん。イラっとしても意味がないので、毎回冗談交じりに突っ込むようにしているんだとか。

5年の付き合いで分かった“天然義母”の意外な恩恵

「子どもの成長とともにお義母さんと顔を合わせる機会も増えて、『今それ言う?』という発言が気になることも多くありました。しかし、嫌なことは嫌と伝えると『気づけなくてごめんね』と素直に謝ってくれるお義母さんなので、“イラっとする”までいかないことがほとんどです。

 普段は子どもにも私にも、とっても優しく接してくれるお義母さんですが、これまでに出会ったことのないくらいの天然具合なので、私も割り切って“私には超天然で面白いお義母さんがいる”と思うようになりました。

 もともと空気を読んで遠慮してしまいがちだった私が、はっきりと嫌なことは嫌と言い、違和感があったら突っ込めるようになったのは、この天然な義母のおかげかもしれないとまで思っています

 恵茉さんは、義母との出会いで自身の性格も変わってきたと話してくれました。義理の家族は選ぶことができないので付き合いが難しいケースも多いですが、割り切って接することができると楽なのかもしれないですね。

<取材・文/鈴木風香>

【鈴木風香】
フリーライター・記者。ファッション・美容の専門学校を卒業後、アパレル企業にて勤務。息子2人の出産を経てライターとして活動を開始。
ママ目線での情報をお届け。Instagram:@yuyz.mama
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