2025年12月22日から、『欲しがり女子と訳あり男子』(TOKYO MX)というシェアハウス物のドラマが放送される。主演は元KAT-TUNの田口淳之介(40歳)。
田口にとって11年ぶりの地上波ドラマ出演だ。

 2016年のグループ脱退。2019年の逮捕。トップアイドルだった田口の芸能人生には、目まぐるしい変遷があった。そうして今、彼は再びドラマの画面上にさらりとリズミカルに登場しようとしている。

 男性俳優の演技を独自視点で分析するイケメン研究家・加賀谷健が、『欲しがり女子と訳あり男子』放送に期待を込め、田口淳之介の現在を解説する。

約20年の歴史を結びつけるハイフン

グループ脱退、逮捕を経て…40歳になった元KAT-TUNが1...の画像はこちら >>
 2025年11月8日、アイドルグループKAT-TUNによるラストライブ『Break the KAT-TUN』がZOZOマリンスタジアムで開催された。

 KAT-TUNは2006年にデビュー。スガシカオが作詞、B’zの松本孝弘が作曲したデビュー曲「Real Face」がミリオンセラー、さらにはCDデビュー前に東京ドーム公演を行うというエンタメ史初の大記録がある。

 グループは2025年3月に解散したが、亀梨和也、上田竜也、中丸雄一の三人が再集結する形で、グループの歴史をきちんと完結させた誠実さは感動的だ。往年のファンたちはどれほど目頭を熱くしたことだろうか。できることなら、他の元メンバーたちも会場に駆けつけてくれたら……。悲喜こもごもの願いも多少あったかもしれない。
すると翌日の11月9日、2016年にグループを脱退した田口淳之介が公式Xを更新した。こう綴られている。

「KAT-TUNありがとう。実は昨日から高熱でずっと寝込んでいてライブ見れてません 人生で一番、頭痛がひどいです。 Break the ATA-MA」

 グループ名をもじった「ATA-MA」に遊びがあるが、こんな深読みもできる。

 田口淳之介は、清濁併せ呑む芸能界を駆け抜けたトップアイドルだった。そんな彼が自らを押し上げたグループの大団円に駆けつけられなかったとしても、文頭と文末の「-」(ハイフン)が約20年の歴史の過去と現在をしっかり結びつけているんだと。なぜなら、この「-」はファンのことを意味しているからだ。

田口淳之介の現在を知る第一級の資料?

 2019年5月、田口淳之介は大麻取締法違反の疑いで逮捕された。当時、保釈された田口が、江東区の湾岸警察署内から報道陣のカメラ前にでてきた姿は大変な話題になった。その場で田口が手をついて謝罪した土下座姿は何となく記憶にある。では、その後の彼はどうなったのか?

 今年1月21日、ABEMAの人気バラエティ『愛のハイエナ3』で「田口淳之介はちゃんと反省してるのか?」というタイトルの番組が放送された。これが、田口淳之介の現在を知る第一級(?)の資料である。


 かなり悪ふざけが過ぎる番組内容ではあるものの、田口本人による清々しいほどすっきり赤裸々な告白の数々は重みがある。ロケ日は2024年11月29日。田口が39歳になる誕生日。

 さすがABEMA、ノリがヘビー。初っ端から湾岸警察署前でロケを敢行する。にもかかわらず、変わらずさわやかな笑顔を浮かべる田口に、進行役の元尼神インターの渚がどんどん切り込む。

 話題は署内の留置所について。田口は一日中「キンキンに」蛍光灯が点いていたと説明するが、この「キンキン」が何だか物凄いリアリティではないか。留置所に入ったことがない視聴者でもまざまざとその室内風景を思い浮かべることができる。田口の描写力に感嘆するより他ない。

11年ぶりの地上波ドラマ出演

 場所を変え渚はさらに切り込む。どれくらいの期間に及んで大麻を使用していたのか? 逮捕時の所持量は? 田口はそれぞれ、「10年」と「0.38g」と臆することなく具体的に答える。


 留置所の独房を照らし続けていた「キンキン」の蛍光灯描写も含め、彼のアイドル人生を一変させた出来事の細部は決して忘れない。

 番組では田口が現在特に力を注いでいる仕事場にも潜入した。場所は新宿・歌舞伎町。日本では珍しいというメンズショークラブを見せる箱である。トップアイドル時代のノウハウを今はショー作りのディレクションで発揮している。

 ここからスターを輩出したいのだと田口は夢を語る。エンタメを渇望する気持ちは変わらない。そして自らがプレーヤーとして再始動することも並行している。今年12月22日から、田口にとって地上波ドラマ11年ぶりの出演作である『欲しがり女子と訳あり男子』が放送される。

 ハラスメントの嫌疑をかけられ左遷された広告マンの主人公・神田大地(田口淳之介)が、シェアハウスの管理人として再出発するドラマの筋は、田口自身の再始動と容易に重なるだろう。

 11年前の出演ドラマ『きょうは会社休みます。』(日本テレビ系、2014年)では主人公の同期社員を演じていた。
第1話冒頭近く、会社廊下の先から少し肩を揺らして軽快にやってくる初登場場面のように、11年後の『欲しがり女子と訳あり男子』でもきっとリズミカルな調子が、一瞬で華やぐ画面を作るのだと思う。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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