みなさんこんにちは、ファッションスタイリスト&ライターの角佑宇子(すみゆうこ)です。突然ですが、みなさんはカシミヤニットやカシミヤストールをお持ちでしょうか? 大人になったら手に入れたい憧れの冬素材、カシミヤ。


 しかし、最近ではカシミヤをうたうあらゆる商品が発売されていて、20年前よりもカシミヤが親しみやすいものとなりました。とはいえ、その手にしているカシミヤって本当にカシミヤ……なのでしょうか。今回は、意外と誤解されがちなカシミヤの名前がついたアイテムの違いと、それぞれの活用の仕方についてご紹介します。

そもそも、カシミヤとは?

カシミヤ100%、カシミヤタッチ…何が違う? 意外と知らない...の画像はこちら >>
 中国やモンゴルなどのアジア地域の過酷な環境で生き抜く、カシミヤ山羊からとれる高級な獣毛繊維のことで、その中でも「うぶ毛」部分のみを使用したものをカシミヤと呼びます。極寒の地で育ったカシミヤ山羊の毛は非常に細く柔らかい毛質です。繊維が細いと空気の層を作りやすいので、しっとりとした滑らかな肌触りながらも、暖かいといった点が最大の特徴ですね。

 しかし、カシミヤ山羊1頭から採れるカシミヤは150~200g程度。セーターを1枚作る場合、山羊2~3頭分の量を必要とする、希少性の高さと採取も人の手作業によるものから生産コストがかかり、高級素材となっています。

名前にカシミヤと入っていても、カシミヤが含まれている割合は

カシミヤ100%、カシミヤタッチ…何が違う? 意外と知らない“カシミヤ表示”の真実と、“損しない選び方”
カシミヤとの比較
 私たちがお店で見かけるカシミヤセーターには、カシミヤ素材だけで作られた「カシミヤ100%」と、カシミヤ+別の素材が合わさった「混紡」の2種類があります。後者はカシミヤ100%のニットと区別するために、「カシミヤ混」や「カシミヤブレンド」といった商品名で販売されていることが多いです。製品の価格帯やブランドにもよりますが、1万円以下で販売されているカシミヤブレンドのニットは、一般的にはカシミヤが5~10%+他の素材といった混合率が多いように感じます。

 カシミヤがたった数パーセントでも入っていれば商品名に「カシミヤブレンド」とうたうことは可能です。しかし、質感はカシミヤ100%のそれか……と、言われると当然、他の多く含まれている素材の質感によってしまいます。とはいえ、たった5%であっても表面的な見た目の光沢感はカシミヤっぽさを感じられることもあるので、お手軽価格でカシミヤを楽しみたいといった方には向いていますね。


ユニクロの「カシミヤニット」は、ちゃんとカシミヤ?

 ユニクロでは、1万円前後でカシミヤ100%のセーターが販売されています。一番安価なカシミヤ100%のカシミヤクルーネックセーターは、現在セール価格で税込5,990円。他にも1万円を切るカシミヤセーターが複数あります(価格はすべて2026年1月8日時点)。しかも特筆すべき点は、カシミヤの最高級ランクGradeA(カシミヤの中でも最も繊維が細く質が良い。ハイブラ御用達の素材)も使用しているということ。

カシミヤ100%、カシミヤタッチ…何が違う? 意外と知らない“カシミヤ表示”の真実と、“損しない選び方”
ユニクロ「カシミヤタートルネックセーター」税込9,990円(2026年1月8日時点のセール価格)
 もちろんGradeAの最高級カシミヤだけを使用しているわけではなく、ランク違いのカシミヤをブレンドしていることでコストダウンに成功しています。この他、大量生産による独自の生産ラインによって、カシミヤ100%なのに1万円を切る値段で販売できたということなのでしょう。

 ユニクロのカシミヤは紛れもなく、ちゃんとしたカシミヤ100%のセーターではあります。素材は本物ですが、販売価格含めて敷居の低さを実現させた結果、他社で5万円以上の価格で販売されているカシミヤ100%のセーターに比べると、少々物足りなさを感じるかなという印象を受けました。とはいえ、ユニクロのカシミヤセーターは、カシミヤを初めて着てみたいといった方の入り口としてとても最適なものとなります。

「カシミヤタッチ」って何? 使いやすさとコスパはピカイチ

 さて、一方で最近よく耳にする「カシミヤタッチ」という商品。これはカシミヤ混の一種なのかと誤解を受けやすいのですが、この表記は「カシミヤのような風合い」という意味なので、カシミヤは全く使用しておりません。非常に紛らわしいですよね……。多くは、ナイロンやレーヨン、ポリエステルなどを使用した化学繊維の商品で、カシミヤの上質な光沢感と薄手でしっとりとした滑らかな質感を表現したアイテムを指します。


 ブランド側も、誤解を受けないような表記に気を配ってはいますが、そうは言っても「カシミヤ」と書かれているだけで「カシミヤがこんな安い値段で買えるの!?」と解釈してしまいやすいので気をつけたいところです。また、当然ですが、ほとんど化繊なので見た目はカシミヤ風でもカシミヤのような暖かさはあまり期待できないので、その点もご注意を。一方で、化繊は素材加工がしやすいので、商品によっては洗濯機可で洗える、毛玉ができにくいなど使いやすさとコスパはピカイチ! 雰囲気だけカシミヤっぽさ味わいたいならこちらを選ぶのも良さそうですね。

あなたが求めるカシミヤアイテムはどんなもの?

 カシミヤはランクによって、あるいは生産工程によって、手触りも質感も耐久性も大きく変わります。ただ、最高級品のカシミヤだ! といった感動を覚えるレベルになると、少なくともセーター1枚買うのに5~10万円をかけないと、なかなか実感が湧きにくいかもしれません。

 手頃な価格のカシミヤセーターを手にしても見た目の上質さと滑らかさは抜群で良いものに変わりはないけど、カシミヤってこんなもの……なのかな? と、疑問が湧く可能性は高いですね。

 それぞれの違いを見極めるようになるには、最後はやっぱりご自身の手で触って身につけて比較してみることが一番です。カシミヤブレンドのニット、手頃価格のカシミヤ100%のニット、高級品のカシミヤニットといったように、ウィンドウショッピングを楽しみながら実際に手に取ってみてください。そうすると、ご自身が求めているカシミヤ製品がどのようなものかを確信できるはず。ぜひ、参考にしてみてくださいね。

<文&イラスト/角佑宇子>

【角 佑宇子】
(すみゆうこ)ファッションライター・スタイリスト。スタイリストアシスタントを経て2012年に独立。
過去のオシャレ失敗経験を活かし、日常で使える、ちょっとタメになる情報を配信中。2023年9月、NHK『あさイチ』に出演。インスタグラムは@sumi.1105
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