年末年始は予定が入りやすい時期ではあるが、意外と何もしない日も生まれがち。ただ、外に出て時間を潰そうにも、店が閉まっていたり、人がごった返していたりしているため、家でおとなしくするほうが賢明と言える。
そんな年末年始を家でのんびり過ごす際の“お供”になってくれるのが、ドラマの再放送だ。

 年末年始のドラマの再放送は基本的に数話続けて放送されるため、一気観しやすい。それでいて、全話まるまるではなく小分けにして放送してくれるため、ぐったりすることもない。そこで年末年始に再放送されるオススメの5作品を、ドラマ好きの筆者がまとめたい。

『ひらやすみ』

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 まず2025年11月から放送された、真造圭伍氏の同名漫画が原作の『ひらやすみ』(NHK総合)。29歳のフリーター・生田ヒロト(岡山天音)が、親交のあった高齢女性・和田はなえ(根岸季衣)から譲り受けた一戸建ての平屋で、山形から上京してきた18歳のいとこの小林なつみ(森七菜)と一緒に生活する物語である。

 考察要素も恋愛要素もなく、作中の空気感は常にゆるい。なにより、主人公のヒロトは定職につかず、恋人もおらず、“負け組”という言葉が連想されそうになるが、決して頭をよぎらせない岡山をはじめとしたキャスト陣の演技力、制作陣の作り方は見事だ。背中を優しくさすってくれる内容で、疲弊した心身をじんわりと温め、癒してくれるだろう。

個人的に2025年屈指の名作

 また、「この人が出ている他の作品も観たい!」と思わせるほどの森七菜の演技の中毒性が抜群。奇妙さと可愛さを合わせた動きに、小動物のショート動画を観ている時と同じほっこり感を与えてくれる。個人的には2025年屈指の名作だ。ちなみに、2024年は『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)が屈指の名作だと思っている。

【放送日時】
第1回~第12回 2026年1月1日(木・祝)夜11時25分~翌午前2時27分
第13回~第20回 2026年1月3日(土)午前0時10分~2時11分

『東京サラダボウル』

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画像:NHK『東京サラダボウル』公式サイトより
 2025年1月に放送された、黒丸氏が手がけた漫画『東京サラダボウル ―国際捜査事件簿―』(講談社刊)が原作の『東京サラダボウル』(NHK総合)。さまざまな国籍の人が行き交う新宿を舞台に、国際捜査係の警察官・鴻田麻里(奈緒)と警視庁の中国語通訳人・有木野了(松田龍平)が外国人関連の事件を追う、いわゆる“バディもの”である。


外国人との分断が進む今こそ観てほしい

 本作にはさまざまな背景を持つ外国人が登場するが、事件に巻き込まれたり、差別を受けたりする被害者ばかりではない。犯罪行為をする外国人も現れる。良い人もいるが、悪い人もいる。外国人を特別扱いすることはなく、「私たちと同じ場所で生きる同じ人間である」という姿勢で描いている点は好感が持てる。

 また、継続的に視聴してもらうために第1回から山場や引きを作るドラマが多い中、本作はかなりスロースターターだ。そのため、早々に離脱する人もいるかもしれない。ただ、第5回までは、いや第5回だけは観てほしい。警視庁通訳センターでベトナム語の通訳人を担う今井もみじ(武田玲奈)の長台詞は必見だ。排外主義が着実に広まり、外国人との分断が進む日本において、今観ておかなければいけないドラマと言える。

【放送日時】
第1回~第3回 2025年12月27日(土)午前0時35分から午前2時52分(金曜深夜)
第4回~第6回 2025年12月28日(日)午前0時35分から午前2時52分(土曜深夜)
第7回~最終回 2025年12月29日(月)午前0時50分から午前3時07分(日曜深夜)

『40までにしたい10のこと』

 2025年7月に放送された、マミタ氏が手がけた同名漫画が原作の『40までにしたい10のこと』(テレビ東京系)。仕事はできるがどこか冴えない40歳目前の十条雀(風間俊介)と、アラサーで高身長イケメンの部下・田中慶司(庄司浩平)の恋愛模様を描いたBLドラマだ。

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画像:テレビ東京『40までにしたい10のこと』公式サイトより
 とにもかくにも風間の可愛さがたまらない。雀は可愛いものが好きで、寝る時はいつもジェラートピケのようなモフモフ感のある着ぐるみパジャマを着ている。大きなぬいぐるみ・すず子(声:三石琴乃)を胸に抱きかかえる姿も愛くるしい。
御年42歳を迎えてもなお可愛さを出せる風間の幅広さには困惑しかない。

恋愛リアリティショーのようなデートシーン

 雀と慶司のデートシーンは、恋愛リアリティショーのワンシーンのような質感で映し出されており、その点は特筆すべきだ。“年齢や性別などは関係ない、どこにでもいる普通のデート”として表現されており、ずっと観ていたくなる。また、雀の同期で良き友人の黒木啓介を演じる平子祐希(アルコ&ピース)が、しっかりと“平子ってる”のも良い。『ひらやすみ』の森同様、何度も観返したくなるほど、少ない出番ながら脳に染み付く存在感はすごい。

【放送日時】
第1話~第5話 2025年12月29日(月)深夜1時45分~4時00分
第6話~第11話 2025年12月30日(火)深夜1時40分~4時30分
第12話・特別番組「大ヒット記念!『40までにしたい10のこと』全リスト裏も表も公開スペシャル」 2026年1月1日(木)朝4時00分~5時00分

『不適切にもほどがある!』

 2024年1月から放送された『不適切にもほどがある!』(TBS系)。2026年1月4日(日)夜9時からスペシャルドラマが放送されるため、1年前の作品ではあるが再放送されるのだろう。

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画像:TBSテレビ『不適切にもほどがある!』公式サイトより
 本作は1986年で生活する体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)が2024年にタイムスリップし、コンプライアンスを度外視した“不適切にもほどがある”言動を繰り返して、周囲をひっかきまわすコメディドラマだ。令和の過剰すぎるコンプライアンスを皮肉りつつも、今では信じられない昭和の常識を示し、笑いながらも「生きやすい社会とは?」と考えさせられる内容だ。

2年前と今との違いも見比べて

 放送から約2年が経ったが、もしかしたら本作内で描かれている“令和のコンプライアンス”は、今ではもう時代遅れで、それを堂々と語ろうものなら大バッシングを受ける、なんてこともあるのかもしれない。“現在と2年前の令和を見比べる”という視点で、本作を観ていた人も楽しめるだろう。

【放送日時】
2025年12月29日(月)午前8時~午後0時30分
2025年12月30日(火)午前8時~午後1時00分
2025年12月31日(水)午前8時55分~11時30分

『うちの弁護士は手がかかる』

 最後は2023年10月から放送された『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ系)。『不適切にもほどがある!』同様、2026年1月4日日)夜9時からスペシャルドラマ『うちの弁護士はまたしても手がかかる』が放送されるため、今回再放送されるものと思われる。

年末年始に観たい“一挙再放送ドラマ”5選。『不適切!』も最高だけど、今こそ観るべき“NHKの名作”は
画像:フジテレビ『うちの弁護士は手がかかる』公式サイトより
 人気女優の敏腕マネージャーを長らく務めてきた蔵前勉(ムロツヨシ)がパラリーガルに転身し、優秀ではあるもののコミュニケーションに難のある新人弁護士・天野杏(平手友梨奈)とコンビを組み、依頼人のさまざまな問題を解決していくリーガルコメディドラマだ。


フジ系ドラマっぽいドタバタ劇が魅力

 『踊る大捜査線』や『ビーチボーイズ』に関するネタが飛び出すなど、往年のフジテレビ系ドラマを思わせるドタバタ劇になっており、10~20年前にドラマをよく観ていた人には懐かしさを感じるだろう。また、注目ポイントとしてはムロの振り回されっぷりだ。杏から結構ひどい扱いを受けており、イラっとさせられそうになる瞬間もあるが、しっかりとムロが受けきり、コメディに昇華させている。

 ちなみに、スペシャルドラマの放送日時が『不適切にもほどがある!』と丸被りのため、どちらも観たい人は録画を忘れないようにしてほしい。また、スペシャルドラマには平手が出演しないことにも留意してほしい。

【放送日時】
第1話、第2話 2026年1月2日(金)午前7時00分~9時30分
第3話、第4話 2026年1月2日(金)午後0時00分~午後2時00分
第5話~第9話 2026年1月3日(金)午前7時00分~11時50分
第10話、第11話 2026年1月3日(金)午後0時00分~午後2時00分

 今回紹介したドラマの中には、TVerやサブスクサービスで配信されているものもある。ただ、サブスクサービスでは「また今度でいいや」と後回しにしがちだが、往々にしてその“今度”は二度と訪れない。地上波ドラマはこちらの都合を無視して勝手に放送されるため、ついつい「逃したくない」と思って観たくなってしまう。再放送をきっかけに、後回しにしていた作品を年末年始にチェックしてみてはどうか。

<文/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。
X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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