Netflixで1月1日から、映画2部作の前編にあたる『教場 Reunion』が配信開始された。2020年に『教場』(フジテレビ系)、2021年に『教場Ⅱ』、2023年には『風間公親-教場0-』と放送を重ねている人気シリーズだ。
国内映画ランキングで1位を獲得しており、その人気は衰え知らずと言える。

今の40代が「いつまでも“キムタク離れ”できない」理由。 5...の画像はこちら >>
 ドラマ初放送から6年経っても人気作であり続けている背景として、警察学校の教官を務める主人公・風間公親演じる木村拓哉の存在が大きい。私たちが“白髪のキムタク”になぜここまで引き込まれるのか語りたい。

老いではなく威厳を感じさせる「白髪」

 木村拓哉といえば、これまで『ビューティフルライフ』(TBS系)や『HERO』(フジテレビ系)など多くのドラマで、女性だけでなく同世代の男性からも憧れられるキャラクターを何度も演じてきたことは言うまでもない。実際、今の40代前後には、木村が演じてきたキャラの喋り方や服装、そして“髪型”をマネした人も多い。

今の40代が「いつまでも“キムタク離れ”できない」理由。 53歳・木村拓哉の“白髪”がもたらす影響とは
『HERO』 Blu-ray スタンダード・エディション(2015) フジテレビジョン
 翻って『教場』の風間の髪は白髪だ。白髪といえば“老い”を象徴するパーツであり、決して憧れてマネしたいような髪型ではない。ただ、風間の白髪から“老い”ではなく、“威厳”と思わせる説得力を放っている。教官として悩みながらも、警察学校に通う訓練生を何人も育て上げてきた“歩み”を感じてしまう。

堂々と白髪、がトレンドになるかもしれない

 風間が黒髪だった場合、風間の苦悩や後悔などはあまり伝わってはこなかった。白髪だからこそカッコいい。白髪染めは“身だしなみ”の1つとして捉えられているが、「むしろ隠したりするほうが不自然なのでは?」という気持ちにさえなる

 この見た目は、老いに対するネガティブな感情を蹴散らし、中高年層に勇気を与えているように思う。現在53歳の木村ではあるが、今でも同世代、特に男性のロールモデルでい続けていることが、『教場』シリーズの人気を支えているのではないか。


 また、木村はいろいろな“キムタクヘアー”を流行らせてきた実績を持っており、風間のように堂々と白髪でいることも今後のトレンドになるかもしれない。

突っ込まずにはいられない「ヤバすぎる訓練生」

 次に『教場』シリーズについて触れたい。正直なところ、ストーリーに関しては個人的に疑問を感じる点もある。風間は、『教場』などでさまざまな訓練生と対峙してきた。訓練生は市民の安全を守る警察官を目指している若者ばかりではあるが、その中の少なくない訓練生が悪い意味で個性豊かだ。

『教場』では、訓練についていけなくなったことを理由に、優しく接してくれていた宮坂定(工藤阿須加)を巻き込んで、平田和道(林遣都)が硫化水素ガス自殺を図ろうとする。『教場 Reunion』では、元恋人・星谷舞美(齊藤京子)の後を追って警察官を志した石黒亘(浦上晟周)は、交番研修中に眠っている星谷の髪の匂いを嗅ぐ。一方、星谷は星谷で、成績トップの地位を脅かしそうな石黒を貶めようと画策していた。

 平田らは氷山の一角であり、不適切な行動を見せ、退校した訓練生は少なくない(星谷は退校していない)。

現代の中高年が渇望する「風間公親」のカタルシス

 警察を希望する人間がイカれている。ギャグのような展開が連発する『教場』シリーズではあるが、決して“ツッコミどころ満載の作品”とさせていない要因には、木村が風間公親を演じているからだろう。

 ヤバい訓練生にも威厳を持っている姿には爽快感がある。ハラスメントを警戒して、問題行動を見せる部下であっても、下から目線で指導にあたっている中高年層は珍しくない。だからこそ、風間の威風堂々とした接し方にはカタルシスがある。


 とはいえ、決してヤバいやつを成敗して終わり、というわけでもない。各訓練生が抱える背景を汲みながら、時に寄り添って導いていており、『教場』のミステリードラマとしてだけではなく、ヒューマンドラマとしての側面も強めている。見た目だけではなく、その言動も同世代にはキャッチーに映り、風間から目が離せなくなっているのだろう。

等身大の自分を示し続けている

 木村が今もなお芸能界の先頭を走り続けている理由は、決して盲目的な“キムタク信者”ではない。風間が白髪であるように、無理に若作りするのではなく、若者に媚びることもなく、等身大の自分自身を示し続けていることが大きい。いつまでも“キムタク離れ”ができない人が多いのは、同世代の憧れであり続けているからだろう。

 今も昔も、生き方や見た目に悩んだら木村拓哉を見ておけばいい。『教場』シリーズからはそんなメッセージを感じた。

<文/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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