こんにちは。これまで3000人以上の男女の相談に乗ってきた、恋愛・婚活アドバイザーの菊乃です。


髪もボサボサで化粧もしない“完全なる非モテ”から脱出した経験を活かし、多くの方々の「もったいない」をご指摘してきました。誰も言ってくれない「恋愛に役立つリアルな情報」をお伝えします。

「結婚するのもしないのも自由」と言われる現代ですが、独身中高年の生活で取り上げられるのは仕事で活躍しているような人ばかり。でも実際は、そんなキャリア形成をしてきた人のほうが少数派ではないでしょうか。

生涯未婚率(※)は上がる一方で、2020年は男性28.1%、女性17.8%。2030年には男性の3割、女性の2割が、生涯未婚になると推計されています(国勢調査)。独身ミドル女性は5人に1人もいるのに、その実情はあまり知られていません。

そこで今回は、妻でも母でもキャリアでもない独身ミドル女性の、リアルな事情に迫ります。

※生涯未婚率=50歳時点で一度も結婚していない人の割合。「その後も結婚確率は低い」という予測で「生涯未婚」とされている。

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結婚したいのに、未婚の63歳となった女性の事情

昨年、相談にいらっしゃった中で最高齢の63歳女性・松田さん(仮名)に取材しました。
松田さんは若いころから結婚願望があったものの、独身のままこの年齢になりました。婚活歴は30年近く、現在も婚活中です。


37歳で初めてできた彼氏、イケメンで6年下のパティシエにお金を貢ぎ、妊娠して中絶を経験します。39歳で出会った5歳年下男性からはスーツをおねだりされ、買ってあげたら連絡がつかなくなりました。

松田さんの恋愛観は、今も「いつか運命の人に出会える。運命の人は会ったら分かる」というものです。会った瞬間、ビビっときた男性は極上の“だめんず”だったのですが、その恋愛観はその後も変わらなかったのです。

「孫をみたい」という、彼のお母さんの言葉

40代になって親しくなったのは、職場に出入りしている運送業の男性でした。干支(えと)が同じ12歳年下でした。エレベーターで出会ってビビっと来た、好みの男性でした。

2人で会う回数が増え、交際に発展します。彼氏は実家暮らしで、彼の親にもすぐ会うことができました。これまでとは違って順調な交際で、5~6年は交際していたそうです。

ですが、彼との交際の中で、松田さんは心に引っかかってしまったことがありました。

彼のお母さんが「孫を抱きたい」と言っていたのです。
その時、松田さんはすでに40代。生殖医療が発達した現代であっても、40代で子どもを授かることは簡単ではありません。

結婚の話が出たこともありましたが、彼に「多分、もう子ども産めないんだよね」と伝えたところ結婚話が進まなくなりました。友達に戻った後も、彼とやり取りはあったそうですが、間もなく彼は他の女性と結婚してしまいます。

ピンクの服、霊能者、引き寄せの法則……

松田さんは20代のころから占いやスピリチュアルが好きでした。佳川奈未(自己啓発のベストセラー作家)が書いた“引き寄せの本”などをよく読んでいたそうです。

90年代にオカルトブームが到来し、前世という概念もはやりました。

さらに、松田さんが40代の2000年頃といえば、六星占術の細木数子が多くのテレビ番組に出演し、江原啓之がテレビでスピリチュアルカウンセラーとして活躍している時代でした。松田さんもテレビ番組『オーラの泉』はよく観ていたそうです。

そんな時代の影響もあり、運送業の彼氏との交際前後から、よりスピリチュアルに傾倒していきます。恋愛運アップのため持ち物や服にピンクが増えていきました(今でも、松田さんの身のまわりにはピンクアイテムが多いです)。

「え~埼玉県民?田舎だし…」男性選びの条件がズレたまま婚活30年。着る服や話題も“ご縁を遠ざけた”理由とは
実際の松田さん(仮名)。63歳の今もピンクが多い
失恋したころ、当たると評判の「霊が見える人」を職場の人に紹介されて、見てもらうことにしました。

その霊能者に彼氏との経緯を話すと、「彼は前世であなたのペットだったの」と言ってもらえたとか。
松田さんは「そういう運命だったんだな」と受け入れることができたそうです。

当時の松田さんは、引き寄せの法則の本を読み、スピリチュアル番組を見て元気をもらい、それらが恋愛運・結婚運を上げると思っていたのです。

そんなもので恋愛運が上がるなら、60代で婚活をしていないとは思います。とはいえ、2000年代は今よりずっとスピリチュアルや占いの影響力が強い時代だったので、時代の被害者なのかもしれません。

自治体の結婚相談所のほうがいい人に会える

50代のころ、約30年勤めていた小さな広告代理店が倒産し、そこからは派遣社員として働き始めます。

50後半には、民間の結婚相談所に登録しました。2年間活動しますが、いいご縁には恵まれません。更新を考えていたところ、友人から私のことを紹介されて相談にいらしたのです。その友人は過去に相談に来た方で、今は素敵な男性と結婚しているそうです。

私は、民間の結婚相談所の更新より、東京都が運営するマッチングアプリへの登録を勧めました。

若づくりなピンクの服より、上品に見える服を勧め、一緒に買い物も行き、白いトップスやサテンスカートなどを購入。上品に見える写真を撮って東京都のマッチングアプリに登録したのです。

松田さんによると、民間の結婚相談所より、東京都のマッチングアプリの方がいい人に会えたそうです。


補足すると、民間の結婚相談所に素敵な男性がいないわけではありません。ですが、50代の松田さんのスペックでは出会えないというのが現実です。

自治体が運営する婚活サービスは、民間より学歴や年収が高くないユーザーの割合が増え、華やかな女性もあまり登録しません。また、男女比は民間は女性が多いのに対して、自治体婚活サービスは男性が多い。要するに、強敵なライバル女性が少なく、男性が多いため女性に有利な出会いの場なのです。

婚活は就活と同じで、人気が高い人は人気が高い相手と出会えます。とはいえ、就活以上に、自分の人気レベルを把握するのは難しいのです。

松田さんは埼玉県出身であることから、埼玉県の「恋たま」というマッチングシステムの併用も勧めたのですが、「えー!埼玉って田舎だし」という反応でした。

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埼玉県の公的な結婚支援サービス「恋たま」
筆者は、最近結婚した年収800万円の30代ハイスぺ女子を思い出しました。彼女は「東京はマンションが高い。ペアローンで23区のマンションを買うぐらいなら、神奈川か埼玉で買う」と言っていたのです。この現実的な発想が、松田さんにはなかったのです。


結婚歴がある“居心地がいい男性達”から断られた理由

「最近になって恋愛観が変わって、ときめく男性より、居心地のいい男性がいいと思うようになった」という松田さん。ところが、居心地がいいと感じる男性達はみな、3回ほどデートをすると向こうからお断りの通知がくるとか。

居心地がいいと感じた男性の特徴を教えてもらうと、結婚歴がある年下の男性ばかりでした。

「ときめきを妥協できるようになった」というより、そもそも一般の50~60代男性に会ってときめくようなイケオジなどいません。

居心地がよいと感じる男性とは、一度は結婚できているため女性との接し方に慣れていて、コミュニケーション力がある男性のことなのでしょう。結婚歴がある男性はミドル世代の婚活市場においては、初婚男性より人気が高め。もしかしたら彼らは、松田さんより若い女性とも会っている可能性があります。

「え~埼玉県民?田舎だし…」男性選びの条件がズレたまま婚活30年。着る服や話題も“ご縁を遠ざけた”理由とは
婚活パーティ
自分の魅力を上げる努力をせず、人気が高い男性にあこがれてしまうという、若い時から繰り返してきたパターンが変わっていない――筆者は、そう厳しい指摘をしました。

「えー、でもみんな会ったら写真と違うし、あれで人気あるの? 私は写真とそんなに変わらないでしょう」
「松田さんもだいぶ写真盛ってるから、男性側も別人が来たって思ってるよ」
「え! そうなの?」

「サンセイトウ? 何それ?」

取材中、松田さんがあまりにスピリチュアルに傾倒しているため、「もしかして選挙で参政党に投票してたりします?」と素朴な疑問をぶつけてみました。

「サンセイトウ? 何それ? 選挙って行ったことがないの。だって誰に投票したらいいか分からないし、間違って変な人が当選しても悪いでしょ」という答えが返ってきました。
筆者からしたら、60代で投票したことがない人がいることが驚きです。テレビで観るのはドラマやバラエティ番組ばかりで、ニュースはめったに観ないそうです。

松田さんはリアクションが大きいので、初対面の印象は悪くないと思います。
しかし、何度か会っていくうちに、相手が「一般常識がない」と感じるところが色々見えてくるのではないでしょうか。

ミドル世代のほうが「恋愛→結婚」の順序にとらわれる

松田さんは、今も「できたら高身長の相手がよいし、埼玉県民より東京都民がいい」そうです。

筆者は思わず、「介護の可能性も視野に入れたら、小柄な男性もいいんじゃない」と突っ込んでしまいました。結婚後の幸せにあまり関係がないような条件であっても、手放せないようなのです。

これは、“60代なのに高望み”というより、若いころにトレンディドラマが流行り、恋愛へのあこがれが今の若い人より強い世代なのではないでしょうか。

結婚相談所パートナエージェントが20~59歳男女に行った「世代別の結婚観・恋愛観アンケート調査」によると、「恋愛感情を抱けそうな相手であれば、結婚してから恋愛すればよいと思うか」という問いに対し、男女とも20代の方がこの考えに同意する人が多く、年齢が上がるほど同意しないことが分かります。

「え~埼玉県民?田舎だし…」男性選びの条件がズレたまま婚活30年。着る服や話題も“ご縁を遠ざけた”理由とは
恋愛観調査
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「恋愛感情を抱けそうな相手であれば、結婚してから恋愛すればよい」と思う割合

・20代:女性 37.9% /男性 50.0%
・30代:女性 24.1% /男性 39.2%
・40代:女性 26.5% /男性 26.8%
・50代:女性 25.1% /男性 19.3%

※2025年4月16~17日、調査対象・20~59歳男女2024人、インターネット調査
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結婚相談所「パートナーエージェント」広報の平田さんは、こう話します。

「20代は合コン経験者も少なく、マッチングアプリに親しんでいます。効率よく結婚前提の相手を探し、徐々にお互いを知っていくというプロセスに抵抗がありません。一方、トレンディドラマなどの影響で“結婚は恋愛した相手とするもの”という思い込みがあるのは、上の世代かもしれません」

思えば、ディズニー映画も今は王子さまが登場しないし、流行るコンテンツにも恋愛要素が減っています。ここ10年で、社会現象化したドラマや映画で、恋愛・結婚をテーマにしたものとしては『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)が思い浮かびますが、これも恋愛を飛ばした契約結婚がテーマでした。

婚活は若いほうが有利なのは当然ですが、若い世代は恋愛へのこだわりが薄いのに対し、恋愛至上主義だった1980~1990年代に多感な時期を過ごした世代ほど、恋愛への執着が捨てられないのではないでしょうか。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。

<取材・文/菊乃>

【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt
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