橋田壽賀子脚本の人気長寿ドラマシリーズ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)で10歳から12年間、“加津ちゃん”こと野々下加津役を演じていた宇野なおみさん(36歳)。かつて“天才子役”と呼ばれた宇野さんは現在、フリーライター、エッセイストとして活動中です。


 そんな宇野さんが30代女性として等身大の思い、ちょっとズッコケな日常をお届けするエッセイ連載。今回は年末年始にオーストラリア・メルボルンを訪れた際の旅行記をお届けします。

本当にたどり着ける? 久しぶりの海外&円安の洗礼

「引き落とされた金額に震え上がった…」36歳・元『渡鬼』子役...の画像はこちら >>
 皆様、2026年新年おめでとうございます。気がつけば2025年はあっという間に過ぎ去りました。いろいろなことがあったものです。

 私はやはりエッセイの連載をいただいたことが非常に大きい出来事でしたね。さて、年末年始何をしていたかといいますと、貯金をぶっ飛ばして、オーストラリア・メルボルンへと旅立っておりました。今回は、波瀾万丈旅行記の前編です。

 海外に旅行に行くと言うと、「いいなぁ、身軽だねえ」と言われました。正直、一番身軽なのはわたくしのお財布でした。

 というのもウィーク・エン、つまり円安の状態がずっと続いているため、物価が高めのオーストラリアでは、ちょっとご飯を食べるだけで5000円くらい飛んで行ってしまいます。

 こんなに衝撃を受けているのは干支ひと回り以上昔、留学した当時は米ドル81円・カナダドル84円程度だったからです。もう2倍じゃないですか。
かつて75円程度だったオーストラリアドルも現在は106円です(私が両替したときのレート)。

クレカの限度額超えの大金が引き落とされる

 さらに、年末しかスケジュールが取れなかったので、飛行機が高い! うっかり目を離して価格を比較していると、席がなくなってしまったことも……。

 安く行けるルートはあるものの、23時間中国の空港でトランジットといった、乗り換えも不安だし情勢的にもどうなの、というものでした。かなり久しぶりの海外ですし、一人旅なので、行きは直行便が取れ、帰りはフィジー経由でトランジットとなりました。

 フィジー空港で置いてけぼりになるのではという不安を抱えながら飛行機の予約ボタンを押しましたね。普段使いのクレジットカードの限度額を超える金額が一気に引き落とされ、震え上がりました。多分、渡鬼の本番ですらこんなに緊張しなかったのに……。

 普段業務スーパーでまとめ買いすることすらおっかなびっくりな私。なぜ、こんなことをしたかと言いますと、2年ほど前に知り合ったオーストラリア人の知人が遊びにおいでよと誘ってくれたこともありますし、2026年、大きな挑戦に取り組むため、「自分が何を好きなのか」、「どんな挑戦ができるのか」を試したかったからです。

「メルボルンの海に沈んで生まれ変わるの」と言い残して旅立ちました。沈まんでいい。

まだメルボルンの話にいかない! パスポート哀歌

「引き落とされた金額に震え上がった…」36歳・元『渡鬼』子役が一人異国で年末年始を過ごしたワケ
都庁にて。心なしか不満そう
 パスポートも久しぶりに取りました。今はある程度オンラインで手続きできて便利ですね。でもこれなかなか大変なので、すべての準備をして一気呵成に処理することをおすすめします。
ブラウザが一旦閉じちゃうと全部やり直しなんです! 必死に手続きをして、ようやく取りに行けました。

 その日の夜。

 各種ニュースサイトにて、パスポートの減額が発表されました……。

 いやいいんですよ? 私には今パスポートが必要だったんですもの。減額に関しては受け入れますが、何も取りに行った当日に発表されることないと思いませんこと!? ネタになりすぎ(ノンフィクションです)。

 フライト当日はというと、成田空港渋滞に巻き込まれ、2時間飛行機の中で待機でした。

「本当にたどり着けるのか」という問いは、メルボルン着陸まで繰り返す羽目に……。

久しぶりの海外になぜか本気のパニックに

「引き落とされた金額に震え上がった…」36歳・元『渡鬼』子役が一人異国で年末年始を過ごしたワケ
観光名所の駅・フリンダーズ・ストリート・ステーション
 長いフライトで体がバキバキになりつつ、無事メルボルンへ到着。久しぶりの海外、当たり前ですが、表示が英語。飛行機の中で嫌な予感はしていたのですが、なんだか英語が聞き取れません。

 まずはスーツケースを持って知人宅にお邪魔する予定だったのですが、行き方がわからないし、人にも聞くことができない。コロナ前はイベントやロケの通訳として仕事もしていたし、昨年にはTOEIC 930点までスコアを伸ばしたのに、まったくもって表示が頭に入ってこない……。

 本気のパニックになり、友人から借りたスーツケースを抱えて駅でさめざめと泣くところでした。


 もう帰りたいと到着2時間で心から思っていましたね。ただ、これは夏のはずなのに、その日が異様に寒かったせいもあったかと。オーストラリアも三寒四温のように気温が上がるそうで「今日は妙に寒いよ、ごめんね」と地元民から言われていました。

 歯を食いしばり、試行錯誤を繰り返し(※本来こんなに苦労は必要なし。中央駅から知人宅は路面電車一本)何とか到着。まさかの「離れ」のゲストルームに案内してもらい、気絶のように寝落ち。神経が張り詰めて疲れきっていたようです。

夜道に気を付けて……そもそも夜道がない

「引き落とされた金額に震え上がった…」36歳・元『渡鬼』子役が一人異国で年末年始を過ごしたワケ
最終日に撮った日の入り。この時点で21:00
 少し寝たらすっきりして、無事、外にお出かけできました。ちなみにメルボルンで一番最初に買ったものはセールになっていた長袖シャツでした。寒かったの……。

 パニックになったり昼寝していたりしたら、朝についたのにほぼ夕方です。いくら治安が良い街とは言え、女1人で出かけるにはさすがに危な……太陽がずっといるなあ。

 海外に行くと話すと「夜道に気をつけて」と散々言われました。
しかして、12月のメルボルンにはそもそも夜道がほぼ存在しなかったです。日の入りはなんと、21時前後。夜道を歩く経験は1回だけ、ツアーに参加し、バスから降りて路面電車に乗るまで5分程度でした。ホリデーシーズン+土日だったため、17時にほとんどのお店が閉まっちゃいますし、修学旅行の高校生みたいな観光スケジュールでしたね。

「引き落とされた金額に震え上がった…」36歳・元『渡鬼』子役が一人異国で年末年始を過ごしたワケ
福島県・土湯温泉にて。同じスマホで撮っているのに光の違いが
 南半球のオーストラリアは、太陽が近いそうで、すべてがキラキラと輝いていました。実は同月の頭に、宮城・福島県に温泉旅行に行っており、あまりの違いにめまいがしそうでした。東北旅行はそれはそれで心底楽しみましたけれども。

 美しい伝統的な建物、住んでいる方々が整えているであろう生垣や庭先のベンチやソファ(!)、かぐわしき花々、眩しい陽光、そして大量のストリートアート(要はスプレー落書き)。石畳の道を強烈なインパクトを感じながら歩き、中心部・通称「シティ」に行きました。

 観光名所のフリンダーズ・ストリート・ステーション、無料で入れる美術館のイアン・ポッター・センターなどを巡りました。美術館が大好きなので楽しかったですね!

地球の裏側にやってきてどう過ごすのか

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街並み
 今回あんまりオーストラリアの話してませんね!

 さて、コンビニがセブン・イレブンくらいしかなく、車社会のメルボルン。カルチャーショックが次々訪れておりますが、言うて滞在はたったの4日間です!

 限られた時間をどう過ごすべきか。
結構悩みました。最終的にはかなりのんびりめに過ごしまして。でも、これが「新しい自分」の発見につながりました。

 何もしないことが一番の贅沢と言いますが、本当でしたね。

 まあ……多分行くまでに(不必要に)ドタバタバタバタだったというのもありそうです!

<文/宇野なおみ>

【宇野なおみ】
ライター・エッセイスト。TOEIC930点を活かして通訳・翻訳も手掛ける。元子役で、『渡る世間は鬼ばかり』『ホーホケキョ となりの山田くん』などに出演。趣味は漫画含む読書、茶道と歌舞伎鑑賞。よく書き、よく喋る。YouTube「なおみのーと」/Instagram(naomi_1826)/X(@Naomi_Uno)をゆるゆる運営中
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