現代の日本人は、非常に疲れている。

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 凄まじい勢いで少子高齢化が進み、社会にどこかどんよりとした雰囲気が漂い、活気がなくなっている日本。
物価高や競争社会、スマホやインターネットによる情報の洪水に晒されるなど、もはや私たちが生きているだけでも疲れる仕組みで社会が回っているのです。

『半うつ 憂鬱以上、うつ未満』(平光源著、サンマーク出版)において、医者である著者は、現代人の深刻な社会問題だが未だ理解が進んでいるとは言い難い、うつ病の手前の状態を「半うつ」と定義しています。

「どこか憂鬱」「なんだか調子が悪い」。こうしたうつになる手前の状態に自分で気づき、「半うつ」の状態で対応策を取ることをレクチャーした本。2025年9月に発売早々評判となり、12月の時点で7刷を突破し、人々の切実さを感じます。

「半うつ」とはどういう状態か

 うつ病は精神的な病気で、自分では気づきにくいもの。「まだ大丈夫」「甘えているだけでは」と自分も周囲も考えがちなので、気が付いたらかなり進行していることも珍しくないのです。著者は「もっと受診が早ければならなくて済んだ」患者もたくさん診てきたそう。

「半うつ」とは放っておいたら病院が必要になってしまう状態、体がSOSを出している状態です。

 健康な人は、脳の神経伝達物質「セロトニン」「ドーパミン」「ノルアドレナリン」の3つが正常に働いています。うつ病の人はこのすべてが正常に働いておらず、半うつの人は「どれ1つ、または2つが正常に働いていない状態」だとか。

 半うつの状態であれば、自分自身で治す、改善が可能できます。しかも、大体のことはちょっとした心がけ・行動で大丈夫。
自分にできることをぜひ試してほしいです。

自分は半うつ?まずはチェックリストにトライ

「心から喜べない」「モヤモヤする」…放置すると危険な“半うつ”とは。医師がすすめる意外と簡単な対策
『半うつ 憂鬱以上、うつ未満』(平光源著、サンマーク出版)
 本の冒頭にまず「半うつ」に当てはまるか、20のチェックリストがあります。

◆頭がモヤモヤして、すっきりしない
◆嬉しいことがあっても、心から喜べなくなった
◆夜なかなか眠れない

 など、ぎくっとするかもしれませんが、正直に答えてみましょう。私自身は近年すこぶる元気ですが、以前、メンタル由来であろうじんましんで死にかけた経験があります。チェックリストには「あの頃はしょっちゅう……」という項目がかなりありました。

 意外と当てはまった、とショックを受ける人もいるでしょう。しかし、今気づけたことはラッキーです。深刻な状態だったら、病院に行くきっかけとなったと思えば良いのです。

「半うつ」なら手を打てばOK。平気だったという人はおめでとうございます。でも、どうなるかはわからないから、対策だけでも知っておいたほうが良いはず。防災訓練と同じです!

 大事なのは今のあなたの状態を知ること。恥ずかしい、苦しい、つらい、どうにもならない、とにかく現在地を知ることが、自分を救う第一歩です。


具体的に何をすれば良いのか? 意外と簡単な方法たち

「心から喜べない」「モヤモヤする」…放置すると危険な“半うつ”とは。医師がすすめる意外と簡単な対策
スマホを見る女性
 うつは4つの回復ステップがあるそうです。まず、睡眠と食事で土台を作り、セロトニン→ドーパミン→ノルアドレナリンと神経伝達物質を整えていくのだとか。

「半うつ」も同じ回復ステップを踏むことで、自らで改善することを目指します。第3章~第6章は、具体的な方法が紹介されています。

セロトニン……心の安全装置
ノルアドレナリン……やる気の素
ドーパミン……ワクワクの素

 ざっくり言うと3つの神経伝達物質はこうした役割があるらしく、この3つを正常に働かせるために行動をします。意外と一つ一つは簡単にできることばかり!

 例えば、土台となる食事において、食べ物をどう選び食べるべきか。スマホやギャンブルといった、休んでいるようで休めていない「偽休息」を自覚する。「体」「心」「時間」のストップサインを自覚する練習をする、などなど。

 自分にもついつい食事中についスマホを見てしまう癖があると気づき、反省。食事に集中してみることにトライしました。ごまやふりかけ、ツナ缶などを混ぜた、自分オリジナルおにぎりのおいしさを感じることができ、食事の満足感が段違いでした。

 手軽にできると言っても、「半うつ」がうつに限りなく近い状態だったら難しいかもしれません。一旦試してみて、もし何もできない! と思い、自分を責めてしまうようなら、繰り返しになりますが、病院に行ってみることをおすすめします。


名前をつけることで、解決することもある

 心理学や社会学に、「ラベリング効果」という言葉があります。要はレッテル(ラベル)を貼られると人はそれに沿いがちということですが、物事に名前がついて、初めて自分の状態を説明できるようになる、これは経験がある人も多いのでは?

 著者はうつの手前で苦しんでいる人たちが自分を責めないように、また周りの人が、苦しむ人を追い詰めることがないよう、救いの一手となるように「半うつ」と名前をつけました。

 今不調の人も、周りを心配している人も、もちろん自分自身の予防としても、この本は現代社会を生きる私たちに優しく寄り添ってくれます。

<文/宇野なおみ>

【宇野なおみ】
ライター・エッセイスト。TOEIC930点を活かして通訳・翻訳も手掛ける。元子役で、『渡る世間は鬼ばかり』『ホーホケキョ となりの山田くん』などに出演。趣味は漫画含む読書、茶道と歌舞伎鑑賞。よく書き、よく喋る。YouTube「なおみのーと」/Instagram(naomi_1826)/X(@Naomi_Uno)をゆるゆる運営中
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