2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(40歳・以前は小林悠として活動)。

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 TBS退社から紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。
アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
 第69回となる今回は、記録的な大雪に見舞われた札幌でアンヌさんが感じたことをつづります(以下、アンヌさんの寄稿です)。

犬の散歩に出かけようとドアを開けると……

40歳・元TBSアナが記録的大雪の札幌で見た“道民性”とは「あちこちで車が動けなくなり…」
愛犬リリー
 全国的に強力な寒波、大雪に見舞われています。

 札幌市にいたっては積雪が112センチと、1月に1メートルを超えるのは21年ぶりとなりました。

 朝から猛烈な積雪だとニュースでは伝えていましたが、玄関のドアを開けた瞬間、それは災害であることを実感しました。

 犬の散歩にでかけようとドアを開けた瞬間、雪がどさどさっと室内に流れ込んできたのです。溜まっていたものが一気に崩れ落ちてくるような感覚。足元では犬が不思議そうにこちらを見上げています。思わず「なんだこれは?!」と声をあげてしまいました。

 外に出ようとしますが、目の前には私の腰の高さまで積もった雪。ゴールデンレトリバーの愛犬はジャンプしクロールしながら、一緒に雪をかき分け、二人でヒーヒーフーフー唸りながらようやく道に出ることができました。

街中にあふれた“助け合う人々”の姿

40歳・元TBSアナが記録的大雪の札幌で見た“道民性”とは「あちこちで車が動けなくなり…」
雪景色
 外の世界は、どこか音を失っているよう。正確に言えば音はあるのですが、いつもの街の音が消えていたのです。車の走行音や人の話し声までもすべてが雪に吸い込まれていくようでした。


 お隣さんが黙々と腰まで埋まりながら雪かきをし、必死に車をガレージからだそうと動いていました。「今日は仕事、無理ですね」そう言いながらも、手を止める気配はありません。

 少し歩けばあちこちで車がスタック。タイヤだけが空回りし、道の真ん中で斜めに固まってしまう車たち。ものすごい音をたてながらスピンする車の周囲には、どこからともなく駆けつけた人々。

 4、5人がかりでまったく知らない人の車を助け出し、勢いよく走り出したその車を送り出す光景は本当に尊い。

 あまり他人に対して干渉することもなく、他の地域に比べ近所付き合いも程良い距離感であることが指摘される北海道民ですが、困ったときにはお互い様の精神ですぐひと肌脱ぐことができる、そんな道民性が改めて垣間見られた瞬間がたくさん街中に溢れたと言えるでしょう。

 しかしながら、JRは全線運休。バスも動いていません。21年ぶり、というのは後から知りましたが、故郷札幌に拠点を戻して今年で3年目となる私としては、とにかくここまで破壊力のある雪の量に言葉を失ったというのが正直なところかも。

大雪の翌日に学生さんへの講義が。そこで見たのは…

40歳・元TBSアナが記録的大雪の札幌で見た“道民性”とは「あちこちで車が動けなくなり…」
アンヌ遙香さん
 この原稿を書いているのは、1月27日の火曜日ですが、その時点でもまだまだ交通が大幅に乱れている状況です。
記録的な大雪は影響が強く、特に観光客を中心に混乱があり、まだまだ非日常的な状況が続いているような形です。

 実はこの大雪があった翌日、私はある発表を控えていました。私は社会人として働きながら、大学院の博士後期課程に在籍しており、研究発表を指導教官と学生さんの前で行うことになっていたのです。

 公共交通機関の混乱も鑑みて休校になっている学校も多いと耳にしていましたが、大学は別。予定通りに何とか稼働している公共交通機関を見繕って大学に向かうことになりましたが正直なところ……「いや、今日はさすがに誰も来ないでしょう」と思っていました。

 来られない理由が、これほどはっきりしている日もありません。交通機関は止まり、歩くにも危険で、外出自体が控えられる状況です。準備をしながらも、半分は覚悟していました。今日は、空っぽの教室に向かって話すことになるのだろうなあ……と。

 だって指導教官の講義ならまだしも、いち大学院生の私の研究発表。変な話、私なら休んでしまうかも……。ところが! 時間になると学生たちが姿を見せはじめたではありませんか! 長靴に雪をまとい、コートの肩を白く濡らしながら、何事もないように席に着いていきます。
中には遅刻をしてまで姿を表した学生さんも。

 これには、私は素直に感激しました。社会人院生として、「え! みんな、偉いですね」と言うことは簡単ですが、あのときの感情は、それ以上のもの。

 この状況でも来る、という選択。当たり前のことなのかもしれません。しかし、もし自分が学生だったらどうしただろうかと考えると、行けない理由をいくつも思い浮かべて(コラ)今日は仕方がないと自分を納得させて休んでいたかも。

いろいろな状況を飲み込み、社会を回している人たちがいる

40歳・元TBSアナが記録的大雪の札幌で見た“道民性”とは「あちこちで車が動けなくなり…」
アンヌ遙香さん
  猛烈な雪で各所に影響が出ていても、きちんとやって来る若者たち。昨今の若者は本当に真面目だなと感じる瞬間が、私の中でよくあるのですが、改めてそれを実感した次第。

 とにかく、歩道も埋まり2車線が1車線になり、自家用車での移動もままならない札幌の今の状況。本当に大変なことになっていますが、その状況を飲み込んで黙々と学校に行き、仕事に行き、社会を回している人がいるということ。

 本当にみんなすごいし偉い。夜中除雪や排雪に従事する方々にも感謝。
とにかく春が待ち遠しい今日この頃です。

<文/アンヌ遙香>

【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne
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