『東京ラブストーリー』(1991)『愛という名のもとに』(1992)ほかで、時代をけん引した鈴木保奈美さん(59歳)。2011年に大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』で12年ぶりに本格復帰後、多くの作品に出演しています。
現在は、芸能界を舞台にスキャンダルを巡る攻防戦を描くサスペンスドラマ『スキャンダルイブ』が全話配信中。

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 独立した俳優に圧力をかける大手芸能事務所の社長を演じて、強烈な存在感を見せた鈴木さんにインタビュー。本作についてだけでなく、読書家の鈴木さんに、読書にまつわるお話を聞きました。

今は、まだまだ“お母さん”役自体がステレオタイプ

「外国と比べると少ない」鈴木保奈美が指摘する“日本映像界の遅れ”。母親役はステレオタイプばかり「もっと別の生きざまがある」
0130_鈴木保奈美さん①
――配信スタート直後から、果敢に攻めた本作の内容はもちろん、鈴木さんの演じる児玉蓉子も、非常に大きな注目を集めました。蓉子役でオファーを受けたときの率直なお気持ちは?

鈴木保奈美さん(以下、鈴木):挑戦しがいのある役ですし、こういった役にお声がけいただけるのはありがたいと思いました。

――日本のドラマや映画では、年齢を重ねてからの役の幅や、仕事自体が限られてくるといった話を聞きます。

鈴木:そうですね。年齢とともに、確実に選択肢は減っていくと思います。でも私が20代だった頃に比べると、ずいぶん増えてきた印象です。私よりひと世代、ふた世代上の先輩方は、もっと戦ってこられたと思いますし、そうした先輩方のおかげで、今私がこういった役をやらせてもらえていると感じます。とはいえ、やはり日本以外の国のドラマや映画を観ると、まだ少ないと思います。

――そうですね。

鈴木:特に50代、60代の女性となると主役になることはそう多くはありません。
ですが、そうした年齢の女性たちの生きざまは、本当はたくさん描けると思うんです。たとえば母親役だとしても全然かまわないんです。ただ、まだまだ“お母さん”役自体がステレオタイプなものも多いのではないかなと感じます。同じ母親であっても、さまざまな生きざまがあるはずです。近年徐々に増えてはいるので、今は過渡期なのだと思います。

女性の生きざまを描いた作品をもっと見たいし、出演していきたい

「外国と比べると少ない」鈴木保奈美が指摘する“日本映像界の遅れ”。母親役はステレオタイプばかり「もっと別の生きざまがある」
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――これからもっと増えていくはずだと。

鈴木:変わっていくと思います。私自身、そうしたものを見たいので、もっと作って欲しいです。年齢を重ねた女性の物語というと、昨年、NHKBSで『照子と瑠衣』という作品がありました。

――風吹ジュンさんと夏木マリさんがW主演を務めたドラマですね。

鈴木:そうです。日本版『テルマ&ルイーズ』のような、ものすごくかっこいい2人の女性の生きざまを描いた作品です。もともと私は井上荒野さんの原作小説を読んでいたのですが、「こういう作品をドラマ化してほしいな」と思っていました。
それが実際に叶うようになってきています。今後益々見たいと思いますし、私自身、自分が見たいと思える作品に、出演していければと思っています。

――今、原作小説のお話が出ましたが、鈴木さんは読書家としても知られています。いつ頃から読むようになったのでしょうか。また、お忙しい日々だと思いますが、普段、どのくらい読書はされていますか?

鈴木:本自体は、小学校に上がるくらいから好きで読んでいました。もちろん人生のいろいろな局面によっては、あまり読んでいない時期もありましたが。読書って、読んだり読まなかったりと波がありますからね。読書量に関しては、いまはどうしても番組(※)で取り上げる本の準備のために月に10冊くらいと、自分のアンテナに引っ掛かったものを、読めたら数冊読む感じです。
※BSテレ東で放送の『あの本、読みました?』でMCを担当中。

本が読めたら、書いた人とコミュニケーションが取れたということ

「外国と比べると少ない」鈴木保奈美が指摘する“日本映像界の遅れ”。母親役はステレオタイプばかり「もっと別の生きざまがある」
0130_鈴木保奈美さん③
――読書はどんなところが魅力ですか?

鈴木:魅力は伝えきれないのですが、たとえば読書とは、書いた人と読む人の対話だと思っています。読書というと、ひとりの行為のように思いがちですが、コミュニケーションであって、読めたらコミュニケーションが取れているということ。ひとりじゃないと思えるものだと思います。

――ステキです。
そういった読書もきっかけになると思いますが、たとえば現在自分自身の世界が閉じていると感じている人に、何か声をかけていただけるなら。


鈴木:人ってバイオリズムがあると思うので、閉じることが必要なときもあると思います。情報をシャットアウトして繭にこもるみたいな。そうやって休む時間も人には必要なんじゃないでしょうか。だからもしこもっていたとしても、あまり悲観なさらず。「これは必要なんだ」と視点を変えられたらいいかもしれません。それはそれで、そのときの自分を認めてあげる。「ああ、ダメだな」ではなく、「いまの自分の心と体に必要なことかもしれない」と。

――なるほど。

鈴木:動物としての自分を信じていい気がします。たとえばケガをしたり、体を壊したり、熱が出たりしたら、「オーバーワークだから休んだほうがいいんだ」と。そこで一度休んで自分と会話しながら、波を乗り越えていったらいいんじゃないかと思います。


「自分もこうなっていかなければ」と思わされた先輩俳優

「外国と比べると少ない」鈴木保奈美が指摘する“日本映像界の遅れ”。母親役はステレオタイプばかり「もっと別の生きざまがある」
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――先ほど情報をシャットアウトというワードが出ましたが、今回の『スキャンダルイブ』も、情報に左右される世の中を感じさせる作品です。最後に改めて、本作への出演によって鈴木さんが得られた刺激を教えてください。

鈴木:たくさんあります。柴咲コウさんや川口春奈さんからも刺激を受けました。なかでも今回1番刺激的だったのは、蓉子の父で先代の社長を演じた柄本明さんの存在です。ご一緒したのはほぼ1日だけだったのですが、私が蓉子をつかむには、父親との関係がキーだと感じていました。柄本さんとは特に何もお話はしていないのですが、お会いした瞬間に、「ああ、このお父さんがいての蓉子なんだ」と感じました。愛憎入り混じる感じというか。

――まさにそうですね。

鈴木:愛も憎しみも、ここにある。言葉では説明しづらいのですが、ドンっという衝撃と目が開くような感じがして、蓉子を演じられると確信できた瞬間がありました。柄本さんの存在が本当に大きかったです。
同時に、年齢やキャリアを考えると、今度は自分自身が、柄本さんのような存在感をちゃんと出せるようにならなければと思います。たった1日の撮影でも、多くを与え語れる存在になっていかなければいけないと、改めて感じました。

<取材・文・撮影/望月ふみ>

ABEMAオリジナルドラマ『スキャンダルイブ』
全6話ABEMA、Netflixにて配信中
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【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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