新卒から18年半、テレビ朝日のアナウンサーとして、報道、スポーツ、バラエティなど多岐にわたる番組を担当してきた大木優紀さん(45歳)。

 40歳を超えてから、スタートアップ企業「令和トラベル」に転職。
現在は旅行アプリ「NEWT(ニュート)」の広報を担当。さらに2025年10月には、ハワイ子会社「ALOHA7, Inc.」のCEOに就任し、家族とともにハワイへ移住。新たなステージで活躍の場を広げています。

 第34回となる今回は、ハワイに移住した大木さんが感じる、ハワイの日本ブームをご紹介します。(以下、大木さんの寄稿)

ハワイで存在感を増す“日本発カルチャーやグルメ”

なぜ今ハワイで「日本ブーム」が起きているのか?ハワイ在住・元...の画像はこちら >>
 今、ハワイで「クール」とされているものは何でしょうか?

 日本人が思い浮かべるハワイといえば、「アサイーボウル」や「マラサダ」といったものが定番かもしれません。けれど実際にホノルルの街を歩いてみると、日本発祥のカルチャーやグルメ、アイテムがかなり目立ちます。

 今、ハワイでは「ここは本当に海外?」と思ってしまうほど、日本の存在感が強くなっています。

 本記事では、ハワイで暮らす私が体感している“いま起きている日本ブーム”のリアルと、その背景について紐解いていきたいと思います。

日本ブームが起きている理由

 なぜ、いまハワイで日本ブームが起きているのでしょうか。

 今、コロナ禍以前と比べると、日本からの観光客はまだ完全には戻っておらず、多くはありません。一方で、アメリカ本土――いわゆる「メインランド」から訪れる旅行者の数は増えています。

 この変化は、ハワイの街の空気にも影響を与えています。現在のハワイは、アメリカ本土で流行しているトレンドが、ダイレクトに持ち込まれやすい状況にあるのです。

 かつては、日本人観光客が増えるにつれ、「そろそろ日本食が恋しい」と感じるタイミングに合わせて、日本食レストランや関連ショップが活気づく――そんな構図が見られました。


 しかし今、増えているのは日本人向けの店ではありません。アメリカ本土から来た旅行者を主なターゲットにした、“日本発”のグルメやカルチャーです。大前提として、ここに現在の日本ブームの土台があります。

 次に、具体的に日本のどんなものがハワイで流行っているのかをご紹介します。

トレンド1:おにぎりと手巻き寿司の「プレミアム化」

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ハワイ
 まず、日本ブームのひとつ目は「食」です。お寿司やとんかつ、ラーメンといった定番の日本食は、すでにハワイの食文化として当たり前の存在になっています。

 新たに注目を集めているのが、いわゆる“プラスアルファ”の日本食。その代表格が、「プレミアムハンドロール」、つまり手巻き寿司です。

 ホノルルの最新スポットにある店舗を訪れると、そこはまるで高級バーのよう。洗練された内装の中、DJが音楽を流し、カクテルを片手にカウンターで寿司を楽しむという、これまでの日本食のイメージとは一線を画す空間が広がっています。

 アメリカ本土で流行となっている、もともとはロサンゼルス発祥のプレミアムハンドロール。お寿司は、寿司職人が目の前で最高級の海苔とネタを使い、その場で巻いて手渡してくれるというスタイル。

 手巻き寿司といっても、日本でおなじみの円錐形ではなく、円柱型。
専用のスタンドに立てて提供され、海苔がまだパリパリのうちに食べる。お寿司人気はもちろんですが、その“体験そのもの”が価値になっています。

 高級な握り寿司はどうしても価格が上がってしまう一方で、手巻き寿司は「少しカジュアルに、でもおしゃれに寿司を楽しみたい」層にぴったり。ハワイではローカルの若いカップルの定番デートコースとしても人気です。

 さらに、この流れは「おむすび」にも広がっています。

 もともとハワイには、スパムむすび文化があります。ABCストアをはじめ、街の至るところで気軽に買える存在として、スパムむすびは長年ローカルに親しまれてきました。

 今はスパムむすびだけでなく、日本の専門店に見られるような、いわゆる「本気のおむすび」が流行っています。日本から直送された上質なお米を使い、具材には銀だらの西京焼きなど、味わいだけを見れば、アメリカの人にとっては少しハードルが高そうに思えるものも少なくありません。

 それでも、カウンターに並ぶおむすびの前には、ランチタイムになると行列ができています。価格は1個600~700円ほど。決して安くはありませんが、ローカルの人たちにとっては、「ヘルシーで、きちんとおいしく、罪悪感の少ないランチ」として支持を集めているのです。


 プレミアムな手巻き寿司に、上質なおむすび。いまハワイでは、日本食が“洗練されたライフスタイルの一部”へと、確実に位置づけを変えつつあります。

トレンド2:抹茶の“進化形”と、次に来る「ほうじ茶」

 さらに、ドリンク分野でも、日本発のトレンドはすでに次の段階へと進んでいます。

 以前より人気のあった抹茶は、もはやハワイでは特別な存在ではありません。すでに「日常の飲み物」として定着しています。

 最近では、抹茶にひと手間加えるのが当たり前になりました。「抹茶×マンゴー」「抹茶×グァバ」など、南国フルーツと組み合わせた“抹茶プラス”のドリンクが登場し、その進化の仕方はハワイらしいと感じます。

 そんな中、今、新たに注目を集めているのが「ほうじ茶」です。

 日本人にとっては、香ばしい香りでほっと一息つける存在のほうじ茶ですが、ハワイではその「香り」と「ヘルシーさ」が評価されています。

 抹茶に比べてカフェインが控えめで、焙煎によるナッツのような香ばしさが、午後のリラックスタイムにちょうどいいと、ハワイの人々に受け入れられているのです。

 実際、日本茶カフェやドリンクスタンドでは、フレーバー抹茶ラテの隣に、ほうじ茶ラテが“二番手”として並ぶのが定番に。さらに、ほうじ茶を主役にしたデザートやゼリー、トッピングを展開する店舗も、立地の良いエリアに次々とオープンし、人気を集めています。

 さらには麹(こうじ)や味噌といった発酵食材まで、目にすることも増えています。
日本の伝統食は、ハワイの人々にとって最新のスーパーフードとして注目されているのです。

 このように、日本食は、地元の食材と日本発祥の技術を掛け合わせた「アイランド・ジャパニーズ」として進化し、ハワイならではの新しい文化を生み出しています。

 健康志向の強いハワイにおいて、日本の食文化はいま、“おいしい”を超えたライフスタイルとして、ローカルの人々の日常に溶け込みつつあります。

トレンド3:日焼けキティちゃんと日本文房具の人気

 食だけでなく、雑貨の分野でも日本ブームは確実に広がっています。

 その象徴とも言えるのが、日焼けしたキティちゃんをはじめとする、日焼けサンリオキャラクターです。

 日本人観光客向けの「ハワイ限定お土産」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、いまハワイでそれを身につけているのは、日本人ではありません。

 実際に街を歩いてみると、感度の高いローカルの人たちが、バッグに日焼けキティをさらりと付けている姿をよく目にします。

 ハワイ限定という文脈に、日本のポップカルチャーが重なり、ひとつのファッションアイコンとして機能している。以前の「ラブブ」のような、爆発的な世界的トレンドではないものの、「イケている人が持っているもの」として、じわじわと浸透しています。

 もうひとつ、個人的に驚かされたのが、日本の文房具の人気です。

 パステルカラーのかわいらしい文房具はもちろん、ゼブラのペン、コクヨのノート、ほぼ日手帳といった、日本ではおなじみのアイテムが、ハワイのショップに並んでいます。

 現地の人たちにとって、日本の文房具は「実用的で質が高い、ちょっと贅沢な文房具」。インクの出方、書き心地、消しゴムの性能――そうした細部のクオリティが、確実に評価されているのです。


ハワイの日常に入り込む、日本発のカルチャー

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大木優紀さん
 ハワイはもともと日本からの移民も多く、かつては日本人観光客が街を埋め尽くしていた時代もありました。

 ただ、いまハワイで起きている日本ブームは、かつて日本人向けに作られたものとは、少し性質が異なります。

 日本発のカルチャーやものづくりが、ひとつの“トレンド”として正当に評価され、ローカルの日常に入り込んでいるのです。

 もしハワイを訪れる機会があれば、ぜひビーチやショッピングだけでなく、街の中で“日本の存在感”を探してみるのも面白いと思います。ドールプランテーションやカハラホテルなどで「日焼けキティちゃん」の限定品を探すのも楽しそうです。

 日本を外から眺めてみると、思っている以上に日本の文化は強く、魅力的に映っている。ハワイは、そのことを実感させてくれる場所のひとつなのかもしれません。

<文/大木優紀>

【大木優紀】
1980年生まれ。2003年にテレビ朝日に入社し、アナウンサーとして報道情報、スポーツ、バラエティーと幅広く担当。21年末に退社し、令和トラベルに転職。旅行アプリ『NEWT(ニュート)』のPRに奮闘中。2児の母
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