「学校の先生の指導法にどうしても違和感を覚える」──そう感じたことはありませんか?

「毎日通学する子どもたちを見送る親にとって、「子どもが安心して通える学校であってほしい」というのは共通の願いではないでしょうか。しかし、もし我が子が「担任の先生の指導に大きな不満を抱えている」と打ち明けてきたら……。
果たして、親としてどのような対応を取るのが正解なのでしょうか。

 担任の対応に深く傷ついたというそらくん(仮名・8歳)の事例から、親子でどのようにこの壁を乗り越えたのか、その経緯を詳しく紐解きます。

あまりにも一方的な指導にモヤッ

 ある日起きた、低学年の友達同士のケンカ。すぐに先生が仲裁に入り、円満解決……かと思いきや、事態は思わぬ方向へ向かいました。

「友人とケンカをした日、息子は帰宅するなり『今日、陸くんとケンカした。僕も悪かったけど、原因を作ったのは陸くんなのに、先生は僕に「あなたが悪い」と言ってきて、何も話を聞いてくれなかった。自分だけが否定された』と話しました」

「私は見てないですけど」理由も聞かず一方的に叱る学校の先生に...の画像はこちら >>
 そう語るそらくんのママが詳しく事情を聞くと、陸くんがそらくんの双子の弟に対し、「あいつは足が遅い、弱そうだしザコ」などと執拗に悪口を言ってきたことが発端でした。その場で「悪口を言わないで」と返したそらくんでしたが、陸くんは「お前もザコ! 死ね~!」という煽り口調で中指を立ててきたといいます。

 あまりの言い草に腹を立てたそらくんは、陸くんが突き出してきた手を振り払いました。一見、よくある小学生同士のトラブルに見えますが、問題はケンカの内容そのものではなく、その後の担任の対応でした。

「このケンカは休み時間中の出来事だったようで、手を振り払われた陸くんはすぐに担任のもとへ行き、『先生! そらくんに叩かれました』と言ったそうです。担任は次の授業の準備で忙しくしていましたが、黒板の前に2人を並べて『そらくんは陸くんを叩いたの?』と聞きました。息子は『手を振り払ったけど叩いたわけじゃない。
僕は原因を作っていないし、嫌なことを言われた』と必死に訴えたそうです」

 しかし、先生から返ってきたのは耳を疑う言葉でした。

「そらくんは手を出したのね。じゃあ、あなたが悪いね」

 そのまま授業が始まり、そらくんの言い分は完全にシャットアウトされてしまいました。普段は冷静でおとなしいタイプのそらくんが、帰宅後も興奮気味に「先生は僕の話を聞いてくれない」と訴え、ついに「学校に行きたくない」と言い出したのです。

担任が電話口で激怒。ただ事実確認しただけなのに……

「私は見てないですけど」理由も聞かず一方的に叱る学校の先生に絶望。逆ギレする担任に不信感、母が取った“最後の手段”とは
画像はイメージです(以下同)。
息子が自分の気持ちを整理できていない様子を見て、お母さんは事実を確認するために学校へ電話を入れました。先生に一通り、そらくんから聞いた内容を伝えると、「そうです。手を出したのだからあなたが悪いと言いました」との回答。そこでお母さんが「先生はそのケンカを見ていたのでしょうか」と尋ねると、担任のトーンが一変しました。

「私は見ていないですけど、手を出したほうが悪いですよね? 息子さんは悪くないと言いたいのですか?」

 その苛立った口調に、お母さんは驚きを隠せませんでした。食い下がるように、お母さんは冷静に伝えます。

「手が出てしまった息子が悪かったのはもちろん理解していますし、家でも指導しました。
ただ、先生もお忙しいとは思いますが、双方の言い分と原因を聞いて指導してもらえないと、息子も自分で反省ができません。本人は話を聞いてほしかったと言っています。仲直りもできていないまま帰すのは、解決になっていると思えないのですが……」

 すると、担任はさらに激昂。「息子さんは手を出したと言っているんですよ? どんな理由であれ暴力が悪いですよね。私の指導が悪いと言いたいですか?」最後は早口で怒鳴られ、そのままブチッと電話を切られてしまいました。

「この先生には話しても無駄かもしれない」と、お母さんは強い不信感を抱いたといいます。

「弟を守りたかった」息子の本音と、母が書いた手紙

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 その後、落ち着きを取り戻したそらくんは、お母さんに本当の胸の内を明かしてくれました。「弟のことを悪く言われたのが許せなかった。陸くんがいろんな子に『死ね』と言っているのをずっと見ているのも嫌だった。先生にその話もしたかったけど、怒鳴られて終わらされちゃったから何も言えなかった」

「手を振り払わなくても口で伝えようね」と諭しつつも、お母さんは担任の大人げない態度に納得がいきませんでした。

「兄弟ゲンカの際は必ず双方の言い分を聞き、お互いが納得して謝れるように導いている身からすると、あまりにも一方的なやり方は教師の指導とは思えなくて……」

 翌朝、そらくんは「やっぱり学校に行って、先生に話してみる。陸くんにも謝ってくる」と言いました。お母さんはその勇気を支えるため、「最後の手段」として担任に手紙を書くことにしました。


手紙には、以下の内容を綴りました。
●「手を出してはいけない」と家庭で厳しく指導したこと
●多忙とは思うが、本人が納得して反省できる関わりのお願い
●気持ちの整理がつかないまま終わらされたことへの戸惑い

ついに訪れた和解。先生から届いた「意外な言葉」

 その日の夕方、息子の帰宅より先に担任から電話が入りました。前日の険悪な雰囲気から身構えるお母さんでしたが、聞こえてきたのは意外な謝罪の言葉でした。

「先日は失礼な態度を取ってしまい申し訳ございませんでした。頂いた手紙を読んで、実際は次の授業の準備で余裕がなく、結論を急いでしまった自分の指導が間違っていたと気づきました」

「私は見てないですけど」理由も聞かず一方的に叱る学校の先生に絶望。逆ギレする担任に不信感、母が取った“最後の手段”とは
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 その後、学校で改めて話し合いが行われ、双方が悪かったところを認め、無事に謝ることができたといいます。帰宅したそらくんは、何かつっかえていたものが取れたかのような満面の笑顔でした。「先生に『話を聞いてあげられなくてごめんなさい』って謝られたんだ。自分の悪かったことも、言われて嫌だったことも、全部伝えられたよ!」

 今回の問題は、単なるケンカの仲裁ではなく、「大人が子どもの心にどう向き合うか」という姿勢にありました。低学年の子どもにとって、学校は社会の縮図です。そこで「何があったのか」「どうすべきだったのか」を納得いくまで話し合える環境、そして間違いを認めて謝ることができる先生の存在がいかに大切かを、改めて考えさせられるエピソードです。

<文/鈴木風香>

【鈴木風香】
フリーライター・記者。
ファッション・美容の専門学校を卒業後、アパレル企業にて勤務。息子2人の出産を経てライターとして活動を開始。ママ目線での情報をお届け。Instagram:@yuyz.mama
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