同番組で植草氏が登場するエピソードは“神回率”が異常に高い。
真剣に婚活へ取り組む、31歳男性の話
今回、放送の中心を担ったのは介護福祉士の男性・久保さん(仮名・31歳)だ。年収370万円、専門卒など、同世代の男性会員と比べると見劣りするスペックであることを植草氏に指摘されており、恋愛経験の少なさも相まって苦戦を強いられる。1週目の序盤では、植草氏に嘘の経歴を話していたりとツッコミどころが浮かび上がるが、それでも誠実な人柄で、植草氏のアドバイスに真剣に耳を傾ける様子には好感が持てる。さまざまな女性会員と接しつつ、辛酸をなめながらも前に進む姿には、婚活に励むXユーザーからの共感の声も少なくない。
「ふざけんなよ」やさぐれた態度に批判が
そんな応援ムードは、ある出来事によって一転する。年収2000万円台の女性・紗栄子さん(仮名・40歳)と良い雰囲気になる久保さんだが、久保さんの働き方に不安を覚えた紗栄子さんから、土日休みの仕事に転職してほしいという要求。久保さんはその想いに応えようと、無事に土日休みで、さらには年収が少し高い会社への転職を成功させた。しかし、2週目の終盤、紗栄子さんと仮交際を始めて2カ月が経過した矢先、久保さんは植草氏から紗栄子さんより「交際を終了したい」という報告を受ける。久保さんは、それまでの温厚な表情から一転、険しい顔を見せ、「転職は何だったんですか?」「ふざけんなよ」と語気を荒げ、涙を流す。
この豹変ぶりに違和感を覚えた人も多かったようで、「久保さんの、不器用ながらも相手に寄り添うところに好感が持てた」といった同情の声が寄せられる一方、「まだ仮交際の段階で、断られることも普通にあるのに、その言葉で本性が出た感がすごかった」「ノンフィクションの婚活の話、普通に男性のほうがおかしい。転職で年収が上がって、土日休みになったんだから良かったのでは」など、批判的な声も少なくなかった。
外見に投資するも、地味な見た目に逆戻り
久保さんに同情したり彼の態度を責めたり、視聴者の反応はさまざまだ。ただ、個人的には久保さんの様子を見ながら、「婚活以前に、日常的に本音を言い合える存在がいたら、話は違ったのかもしれない」と感じた。久保さんは髪型や服装など、好感度の高いビジュアルの作り方が得意とは言い難い。結婚相談所のスタッフとの買い物同行サービスを利用してスーツを選んでもらったり、髭脱毛に取り組んだりと、決して外見に投資していないわけではなかった。
それでも、時折びしっとした見た目になるが、紗栄子さんとのデートシーンが映し出されるたびに、形状記憶しているかのように地味な見た目に戻ってしまう。前髪は汗でべったりと張り付き、近所のスーパーに買い物へ行くようなTシャツにパンツという、かなりラフなファッションだ。見た目については紗栄子さんからも指摘されていたが、結局、目立った改善が見られなかった。このことも交際終了を決断する要因の一つだったのかもしれない。
「お前、その服やめろよ」と言ってくれる関係性
植草氏からアドバイスを受けても改善しなかった理由には、久保さん自身の課題という見方もある。一方で、見た目を指摘してくれ、恋愛の話題を気軽に共有できる相手が身近にいたら、婚活の進み方も少し変わっていたのではないだろうか。「お前、その服やめろよ」「こういう髪型のほうが良いんじゃない?」と、ざっくばらんでありながらも的確に教えてくれる友達が日常の中にいれば、久保さんも気を緩めることなく、見た目に対する高いモチベーションを保ちやすかったかもしれない。
また、久保さんは関係性がまだ浅い段階で紗栄子さんに手をつなぐことを打診し、結果的に紗栄子さんを困惑させる場面もあった。こうした「女性との距離感」については、友人同士の会話の中でよく話題になりがち。「こういう時はこうしたほうがいい」といった意見を耳にすることで、決して自分に向けられた言葉でなくとも、経験として蓄積されていく。
2週目のラストで久保さんは、結婚したい理由として「友達がいない自分だけど、結婚して、誰かにそばにいてほしい」と語っていた。それが謙遜や一時的な孤独感によるものなのか、本心なのかはわからない。ただ、その言葉には寂しさも感じた。結婚という目標の前に、「誰かと何でも言い合える関係を築く経験」がどれほど大切かを考えさせられる。
大人の友達探しの難しさ
ただ、大人になってから友達を作ることは簡単ではない。就職や結婚、出産などによって、気軽にコミュニケーションを取れる友達は年々減っていく。学校や職場といった共通のコミュニティに属していない人と関係を深めるのは容易ではなく、社会人になって新しく友達を作ることの難しさを痛感した人も多いだろう。なにより、基本的に世の中は受け身になりがちな人も少なくない。こちらから積極的に誘ったり、企画したりすることが求められ、継続的な交流を維持するためには、時間的にも精神的にも少なからぬコストがかかる。
個人的には、かつての同級生をSNSなどで探してコンタクトを取るしかないようにも思う。昔話という共通の話題があり、ゼロから関係を築く手間も省ける。
大人になって友達との関係が希薄になることの影響を考えさせられると同時に、「では、どうすれば友達を作れるのか?」という壁にも気付かされる回だった。
<文/浅村サルディ>
【浅村サルディ】
芸能ネタ、炎上ネタが主食。好きなホルモンはマキシマム ザ ホルモン。
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