俳優、アーティスト、タレント問わず、今や自らをメディア化するのが当たり前の時代になった。2024年1月1日に公式YouTubeチャンネルを開設した木村拓哉もユニークなコンテンツを発信している。


 チャンネル登録者数は220万人(コラム執筆時点)。定期的にアップされる動画の再生回数は基本的に100万回を超えている。豊富な交友関係に裏打ちされた、ゲスト出演者がとにかく豪華である。

 2026年1月24日に公開された動画には、何作もドラマ共演がある萩原聖人が登場した。

 平成ドラマ世代にはたまらないYouTube共演にネット上が沸いた。“イケメン研究家”加賀谷健が解説する。

配信では見られない名作ドラマ共演者との再会エピソード

 日本人なら(おそらく)誰もがその名を知る大スター、木村拓哉のYouTubeチャンネル内のコンテンツ『木村さ~~ん!』には国内のトップランナーがゲスト出演し、毎回のコンセプトはフランクなのにユニークであり、豊富な人脈を駆使したコンテンツ自体が魅力的だ。

 今年1月24日にアップされた動画は、必見の再会エピソードだった。タイトルは「木村拓哉VS萩原聖人『夢の麻雀勝負』が実現!プロ認定をかけた一局」。その一局前、ある有名なプロ雀士の控え室ドアをノックするという冒頭……。

 待っていたよという感じで笑みを浮かべる萩原聖人が顔をだす。萩原の控え室をノックする前、プロ雀士・中田花奈が「この歴史的瞬間」と言って興奮を隠さなかった。

「歴史的瞬間」とは、配信などでは見られないフジテレビの名作ドラマ『若者のすべて』(フジテレビ系、1994年)の共演者同士である、木村と萩原のだ。


『あすなろ白書』以降、『ロングバケーション』以前の魅力

 1990年代、フジテレビは数々のヒット作を量産した。『東京ラブストーリー』(1991年)や『101回目のプロポーズ』(1991年)、『素顔のままで』(1992年)など、最高視聴率は驚異の30%超え。中でも『あすなろ白書』(1993年)に出演した木村拓哉は、平成初期のテレビドラマを代表する存在だった。

 同作はキャンパスライフを謳歌する「あすなろ会」のメンバーたちによる純愛物語だが、合コンではいつも3番手に甘んじる純朴なキャラクターを演じる木村拓哉がそこにはいた。

 それが1994年の『若者のすべて』では、木村演じる上田武志が冒頭場面から殴られるなど、危うげな魅力を漂わせる。『あすなろ白書』で演じたメガネ男子とは打って変わり、小麦色の肌がぎらつく。

 純愛の『あすなろ白書』以降、空前の大ヒット作『ロングバケーション』(1996年)以前、木村拓哉の魅力はこうして色っぽく発酵し始める。そして『若者のすべて』で、自動車修理工場を営む主人公・原島哲生を演じたのが、萩原聖人だった。

平成ドラマ世代にはたまらないYouTube即興劇

 木村拓哉のYouTubeチャンネル出演回では、木村が萩原を「役者は俺一人なんで他の奴らはどんな芝居するかよくわかりませんって言った奴です」と紹介した。

 すると萩原は「言った!」と冷や汗半分、照れ笑い半分。『若者のすべて』に出演する前から、長渕剛主演の映画『ウォータームーン』(1989年)で演じた少年僧など、萩原はイケメン実力派俳優として頭角を現していた。

 1997年公開映画『CURE』では、役所広司演じる主人公の刑事を心底惑わせ、はぐらかす恐怖の殺人伝道師役を怪演した。

 同作は日本はもちろん、世界中の映画人に大きな影響を与える映画史の傑作として知られ、『若者のすべて』以前の作品とはいえ、萩原の中で「役者は俺一人」といった自負がだだもれるには十分過ぎる経歴である。


 さらに『若者のすべて』の撮影現場で萩原が「待ち時間に麻雀の本読んでた」ことを木村が明かす。そうした過去のエピソードトークを受け、一度改まった萩原が「一番愚かだった自分が……」と謝罪しようとする。

 コミカルだが、厳粛な空気感をその場に作る萩原は、室内の照明の加減もあいまって、舞台俳優のように見える。

 萩原の謝罪前には肩を組み、謝罪途中で熱くハグしようとする木村。平成ドラマ世代にはたまらないYouTube即興劇ではないか。当然、この共演にネット上は沸いた。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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