「AIは、ものすごく電気を使うらしい」。最近そんなニュースを耳にすることが増えましたが、その具体的な理由をスッと説明できる人は、意外とまだ多くないのかもしれません。


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「便利なんだけれど、便利すぎてちょっぴり怖い」というAIに対する得体の知れない不安も、その仕組みを正しく理解すれば、解消するきっかけになりそうです。

 書籍『AI×家事 毎日バタバタな3児ママがAIを使ってみたら、一人で悩む時間が消えた。』の著者であり、3児の母である宮崎真理さんも、AIを家事・育児に積極的に取り入れて、日々の余白を増やした一人。

 今回は本書より、ひょんなきっかけから親子でAIの「仕組み」についての会話が生まれたエピソードを紹介します。

AIってなんで電気を使うの? 親子で話したい「仕組み」の話

 夕飯のあと、子どもたちとなんとなくAIの話になった。「AIって、すごく電気を使うらしいよ」と言うと、次男が目をまんまるにして返す。

「え、なんで? スマホの電池がすぐなくなるってこと?」

「違う違う。私たちがスマホで質問すると、それは世界のどこかにあるとっても大きなコンピュータに届くの。そのコンピュータが計算して、答えを返してくれる。その“ものすごくでっかいコンピュータ”が、たくさんの電気を使って動いてるんだよ」

 すると長男が不思議そうな顔で口を挟んだ。

「え、遠くまで行って帰ってきて、数秒で答えが返ってくるの? どんだけ速くタイピングしてるの?」

 ……まさかの展開である。子どもの素朴な疑問から、AIの仕組みについて話すきっかけが生まれた。

「魔法の箱」じゃなく、「計算機」だと知ってほしい

「AIってなんで電気を使うの?」子どもの素朴な疑問にどう答える?AIを使い倒す3児ママの“納得の回答”
『AI×家事 毎日バタバタな3児ママがAIを使ってみたら、一人で悩む時間が消えた。』
 生成AIの仕組みなんて、大人でもきちんと理解している人は少ない。それでも私は、子どもたちにはAIの輪郭を正しく捉えてほしいと思っている。


 なぜなら、「よくわからない魔法の箱」として扱っていると、AIを“人間みたいに”感じてしまう危険があるから。「AIが怒ってる」「AIがウソをついた」——子どもは、いとも簡単にAIを擬人化してしまう。

 でも、AIに感情や意図はない。与えられたデータをもとに、確率的に「それらしい答え」を計算して出力している。間違えたように見えるのも、計算の特性や元データの偏りが原因であって、人間みたいに悪意があるわけじゃない。こうした仕組みを簡潔に共有しておくと、AIを感情的に捉えすぎないための土台になる。

 別に擬人化が悪いわけではない。私だってAIに「ありがとう」とか普通に言ってしまう。ただ、その奥に「これは計算機なんだ」という感覚も同時に持っていてほしい。

猛勉強と冷却に、膨大な電気を使っている

「AIってなんで電気を使うの?」子どもの素朴な疑問にどう答える?AIを使い倒す3児ママの“納得の回答”
宮崎真理さん
 AIの電力消費は、自宅のコンセントの先で起きているわけじゃない。世界のどこかにある「データセンター」という巨大な建物の中で起きている。そこでは、サーバーと呼ばれる高性能コンピュータが何千、何万台も24時間動き続けている。

 AIがやっていることは、ざっくり二段階ある。
一つ目は、AIが猛勉強している期間。膨大なテキストや画像を読み込んで、パターンを覚えていく。二つ目は、私たちが質問してAIが答えるテスト本番。私たちが毎日使っているのはこっち。特に電気を使うのは最初の「猛勉強」の期間。研究者の間でも数字は揺れているけれど、「大量の電気を使っている」のは確かだ。

 計算には、必ず「熱」が伴う。スマホも長く使うと熱くなるけれど、AIの計算処理を担うデータセンターでは、はるかに大きな計算を一気に行うため、機器は強い熱を持つ。

 熱くなったら壊れる。だから冷やさないといけない。巨大なエアコンや冷却装置を24時間フル稼働させている。これにも、かなりの電気が使われている。
計算する→熱が出る→冷やす→また電気を使う。この繰り返し。

「間違えた」ときこそ、仕組みを説明するチャンス

「AIってなんで電気を使うの?」子どもの素朴な疑問にどう答える?AIを使い倒す3児ママの“納得の回答”
キッチンに立つ宮崎さん
 そんな会話をした数日後、長男がAIに大好きなスポーツ選手のことを聞いたら、答えが間違っていたことがあった。「なんでAIなのに間違えるの?」と不思議そうに聞く長男に、私はこう説明した。

「AIは、与えられたデータをもとに、確率的にそれらしい答えを計算して出力してるの。間違えたように見えるのも、人間みたいに悪意があるわけじゃないんだよ」

 人間には感情や意図があって、自分の判断で行動する。一方でAIは、電力を使って計算をして、その結果として文字や画像の出力を返す仕組みである。そこに意志や感情は含まれていない。

 こうした物理的な側面を一緒に確認しておくと、「AIは感情を持った存在ではなく、あくまで計算を行うシステムである」という感覚を、子どもとも共有しやすくなる気がする。

 今回の会話で「子どもたちが完全に理解した」とは思っていない。大事なのは、これからも何度もこのテーマについて話すこと。冷静に考えれば、私だって全部わかっているわけじゃない。
「なんで?」と聞かれて、あわてて調べ直したり、説明の途中で自分がつまずいたり。

 でもそれでいいと思っている。親がわからなさを隠さず共有することで、学びが一方向にならず、対話の形で続けられる。その不完全さごと共有して、親子の学びの時間にしたい。

<文/宮崎真理>

【宮崎真理】
宮崎真理
1986年京都府生まれ。神戸大学卒業、同大学大学院修了後、オムロン株式会社で技術職として勤務。妊娠・出産を機に退職し、現在は男子3兄弟(小6・小4・3歳)を育てる日々を送っている。日々の家事や育児に生成AIを取り入れた体験を、Xやnoteで発信している。講談社『with class mama』でコラムニストとしても活動。NHK『チルシル』、日本テレビ『DayDay.』、『カズレーザーと学ぶ。』に出演。趣味はランニング。
フルマラソンの自己ベストは3時間46分。
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