伊藤沙莉主演で、2024年4月から放送された連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合ほか)。第62回ギャラクシー賞 テレビ部門大賞、第51回放送文化基金賞の最優秀賞などさまざまな賞を受賞した。
さらには、2027年に公開予定の映画の制作が発表されるなど、放送終了後も話題を呼び続けている。

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 そんな人気作のスピンオフドラマ『山田轟法律事務所』が、3月20日よる9時30分から放送される。『虎に翼』に登場した山田よね(土居志央梨)と轟太一(戸塚純貴)がメインの物語となっており、放送前からファンの期待は非常に高まっている。注目度抜群の本作の撮影風景や込めた思いについて、制作統括の尾崎裕和氏に話を聞いた。

俳優・土居志央梨の覚悟

『虎に翼』朝ドラでもスピンオフでも、よねが“怒り続ける”理由。制作統括が語る「怒っていいんだ」のメッセージ
制作統括の尾崎裕和氏
 土居は『虎に翼』の出演をきっかけに、知名度や人気を高めた俳優の1人だ。今回、再びよねを演じてもらううえで、土居にどのようなことをお願いしたのか。

「今回新たにお願いしたことというのは特にはなく、土居さんが一番よねをわかっているので、そのまま演じてもらった感覚です。ただ、今回は土居さんが主演なので、『私が支えるぞ』みたいな覚悟というか、座長として引っ張っていく姿勢を感じました。

 今回、よねの姉・山田夏役として秋元才加さんが出演していますが、土居さんが“手取り足取り”ということではなく、自然に姉妹に見えるような空気感を作ってくれていた印象です。秋元さんは朝ドラの時には出演していませんが、本作にスーッと入っていけるように、いろいろ土居さんが心配りをしてくれたのだと思います」

『虎に翼』朝ドラでもスピンオフでも、よねが“怒り続ける”理由。制作統括が語る「怒っていいんだ」のメッセージ
山田轟法律事務所
 また、土居に加え、戸塚純貴、伊藤沙莉の3人が揃った際の撮影現場の雰囲気について、「仲の良い3人で、撮影現場での久しぶりの再会ということもあり、楽しく芝居をしていました。いろいろアイデアを出しながら取り組んでいて、面白いシーンになったと思います」と目を細めた。

今回じっくり描かれるマスターにも注目

 本作では、よねが働いていたカフェ燈台のマスター・増野(平山祐介)も存在感を発揮している。平山の思いも印象深かったという。

「朝ドラの時もそうでしたが、基本的に増野は同じセットで撮影するため、収録自体は数日で全て撮り終える役ではあります。
ただ、平山さんの増野という役への思い入れがすごく、今回オファーすると本当に喜んでくれたんですよね。増野はよねの親代わり的な役割なので、平山さんも土居さんに対する強い思い入れがあったようです」

『虎に翼』朝ドラでもスピンオフでも、よねが“怒り続ける”理由。制作統括が語る「怒っていいんだ」のメッセージ
山田轟法律事務所
 そんな“親子”の2人きりのシーンが本作では映し出されているが、「増野は朝ドラの時では要所要所に出てくるだけでしたが、今回はじっくりと描かれています。そこはスピンオフならではのお芝居になっているので、楽しんでもらえるとうれしいです」と語った。

朝ドラ以上に、よねが怒る意味

 本作では『虎に翼』同様、むしろそれ以上に、よねは怒っている。よねの怒りの描き方について、尾崎氏は「朝ドラの時からですが、『声を上げてもいいんだ』『怒っていいんだ』と示すことは、1つのテーマとして考えていて、脚本を務めた吉田恵里香さんもそこはすごく意識していた部分です」と答える。

「そのことを体現するのが山田よねなんですよね。理不尽な仕打ちを受けたら、差別に遭ったら、『我慢せずに怒りの声を上げることは、意味があって肯定されるべきこと』というのは一貫して描いてきました。よねが主役になったことで、本作ではその部分が色濃く出たと思います。

『虎に翼』朝ドラでもスピンオフでも、よねが“怒り続ける”理由。制作統括が語る「怒っていいんだ」のメッセージ
山田轟法律事務所
 ただ、真っ当な声であっても、それが“怒り”であった場合、脊髄反射的に拒否反応を示したり、冷笑したりする人も少なくない。それでも、「怒りの声だったからといって、その声を避けるのではなく、『なぜその人は声を上げているのか』ということを冷静に見つめることが大切だと思います。怒りの声に耳を傾ける、ということも伝われば嬉しいです」と続けた。

『虎に翼』ファンにも、そうではない人にも

 最後に『山田轟法律事務所』をどのように楽しんでほしいのかを聞くと、「『虎に翼』を観ていない人も楽しめるし、観てくれた人にはより楽しんでもらえるスピンオフドラマになったと自信を持っています」という。

「よねが主人公ということで、タッチも少し違うテイストになっているなど、新しい『虎に翼』の魅力を感じてもらえると思います。
もちろん、『虎に翼』らしさもある内容で、それは私も吉田さんも制作チームもみんな思っていることなので、ぜひ視聴して、いろいろ感じてもらえるとありがたいです」

 よねの怒りは、決して誰かを傷つけるためのものではない。その怒りが『虎に翼』を愛した人や、まだ触れていない人に、どのような気づきを与えるのか注目したい。

<取材・文&人物写真/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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