お笑い芸人のロザン・菅広文さんによる『学力よりコミュ力 無理しないコミュニケーション術』(PHP研究所)が、2025年12月9日に発売されました。本書では無理をせずに現代社会を生き抜くためのコミュニケーション術を公開しています。


『よんチャンTV』(MBS系)の人気コーナー「ロザンの道案内しよ!」にて、年間500人もの初対面の人と話をしている菅さん。

本インタビューでは、友人関係や仕事などあらゆる方面に活かせるコミュニケーション方法のさらなるヒントを聞かせてもらいました。

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“言った言わない論争”を生まないコツ

――仕事は“伝言ゲーム”である、と書かれた「同じ学力より違う学力」の章にも学びが多くありました。よくある“言った言わない論争”も、友達同士なら通じる言葉が社内で伝わらない際に勃発すると。

菅広文さん(以下、菅):これは何かのきっかけがあって、というよりこれまでの蓄積で気づいたことですね。どの職業にも共通して言えることなのですが、集団での仕事において、大切だけど失敗しがちなことって、部署を異動する時の引継ぎとかだと思うんですよ。

僕らだとマネージャーが変わる場合に当てはまるのですが、交代するたびにそれぞれの話がくい違ってしまっていることが多々あったんです。そうなると、僕は性格的に改善を試みたくなるんですよ。なんでそんなことになってしまうのかな?と(笑)。

――どこに問題点があったのでしょうか。

菅:引継ぎはマネージャー同士、2人で行うものだったのですが、『僕らも含めて3組でやりませんか?』と提案したんです。そしたらめっちゃ上手いこといきました。

結局、2人だけだとそれぞれの解釈の違いで“言った言わない論争”になりがちなんですよね。
他人がどう受けとるのかは、本人でないとわからなかったりするじゃないですか。でも、第三者の視点を入れると齟齬が防げる。引継ぎにはこれが大事かもしれません。

「共感が大事」は本当か? 年間500人と話す“高学歴芸人”が学んだ人付き合いのコツ。言った言わない論争が起こるわけは
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全員の「共通認識」は絶対に必要

――それぞれ客観視できる立ち位置になれて、冷静な判断ができる。

菅:それから、文面に残すのも大事。今は吉本も電話でやりとりすることは殆どありません。ほぼLINE、しかもグループLINEです。みんなが見ているところでの認識の共有は絶対に必要だと思います。

これは余談ですが、スマホがある時代なんだからもっと映像に残せばいいのに、とも考えているんです。

散髪の時なんかでも『前回と一緒で!』って言った結果、『ぜんぜん違うやん!』ってことが多いんですよ。プライバシーの問題でなかなか難しいかもしれませんが、良いアイデアだと思うんですよね……。

相手の引き出しを開く“瞬発力”

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――本書では、コミュニケーションを円滑にするコツとして「相手の会話の引き出しを増やす方法」も書かれていました。では、話すことに乗り気でない相手の引き出しを開くコツはありますか?

菅:難しいな……。強いて言えば、ファーストインパクトが大事なんじゃないでしょうか。
例えば、今回のインタビューで事前の質問事項をもらった際に、すごく興味を持って読んでくれたんだなぁと感じたんですよ。それだけで初対面でも受ける印象が全然変わりますから、それをいかに瞬発的に出せるかの勝負ではないかと。

――なるほど、相手に対して興味を持つ姿勢を見せるところから。

菅:相手を理解はできないかもしれないけれど、興味を持つことはできる。理解は学力だけど、興味は感情の部分ですからね。これが僕にとってのコミュニケーションの“肝”かもしれません。

会話を誘導するのはNG!

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菅:ああ、そのフックは出さない方がいいと思います。それは結局、会話の誘導になってしまうからです。相手の反応をこちらが決め打ちして答え待ちをしても、コミュニケーションは上手く取れません。これはプライベートだけではなく、仕事上でもよくあるんです。

若手芸人は僕も含めて『こうやんな?』と振ってしまいがちなのですが、想定外の返しが来るとテンパってしまう。もしくはその返しに対して用意していた言葉を言ってしまって軸がズレる。質問は決めてもいいですが、答えは念頭に置かない方がいいんです。


「共感する方がいい説」には懐疑的

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――今日から取り入れていきます! ……菅さん、人生相談をよくされませんか?

菅:されますね。人間ってコミュニケーションにおいて共感する方がいいって思いがちじゃないですか。悲しい出来事があったら一緒に悲しんでもらえるほうがいい、みたいな。僕はこれにけっこう懐疑的なんですよ。何か不幸な話を聞いても笑ったりもしますし、『もう1回やってみてや』とか軽く言っちゃったりもするんです。

たぶん適当なんですよ(笑)。それでも、友達から『菅って何事も大ごとに捉えない。だから相談しやすい』と言われたことがあって、それはすごく嬉しかったですね。

――そういえば、YouTubeチャンネル「ロザンの楽屋」でもかなり切り込んだ内容を扱うことがありますが、全く炎上しないですね。

菅:そこは2人でやっているというメリットですね。例えば宇治原が1つの意見を述べた時に、僕が本音ではそれに賛同していたとしても『別の考え方もある』と差し込めたりするし、逆もまた然り。そうすると偏らないんです。

僕らは最初から意見を述べているだけで、解説はしていないんですよ。
解説だと間違いを含んでしまうけれど、意見は人の考え方だから、間違いではないですからね。そこがポイントなのかな。

この方法が「正解」はない

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――最後にコミュニケーションに悩む読者へメッセージをお願いします!

菅:これは一貫してお伝えしているのですが、僕の話や本書だけを読んで“この方法が正解”とは思わないように(笑)。ぜひ他のコミュニケーション指南本もたくさん読んで、活かしてみてください。

<取材・文/もちづき千代子>

【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama
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