気遣いで贈ったつもりの春の花が、まさかの非常識扱いに?

今回は、そんな良かれと思った行動が裏目に出てしまった女性のエピソードをご紹介しましょう。

義父が好きな春の花を選んだつもりが

澤井明日菜さん(仮名・31歳)は、入院した義父のお見舞いへ行くことになりました。大腸ポリープの切除で1週間ほどの入院と聞き、「大事ではないとはいえ、気分は沈むだろう」と気遣ったのがきっかけです。


「せっかくだし気分の上がるようなお花でも買っていこうと思い、フラワーショップを覗いたんですよ」

店先で目に留まったのは、淡い色合いの桜の切り花。義父が毎年お花見を楽しみにしていた姿をふと思い出し、明日菜さんは迷わず購入したそう。春らしい枝ぶりに、病室の空気も少しは和むはず。そう信じて疑いませんでした。

義父の見舞いに“春の花”を持っていったら…「持って帰れ!」と...の画像はこちら >>
「きっと喜んでくれるだろうと思ったら、桜を見た途端に義父は不機嫌になり『残念だけど俺はまだまだ死なないよ。そんな縁起の悪い花は持って帰ってくれ』と追い返されてしまって」

突然の言葉に、明日菜さんは凍りつきました。周囲の患者や看護師の視線が集まる中、義父は露骨に顔をしかめ、その後は花には一目もくれなかったそう。

後から調べてみると、桜はすぐ散ることから病人には不吉ともされることもあり、さらに病室に花びらが落ちて片付けが大変なことから、お見舞いには不向きな花だと分かりました。

「悪気がなかったとはいえ、ろくに調べもせず無神経なことをしてしまったと反省した私は義父に謝り、許してもらえたのですが……」

自分の配慮不足を認め、きちんと謝罪もしました。義父もその場では「分かればいい」と受け入れたはずでしたが……それで終わりではなかったそう。

義父が裏で私を嘲笑していた!

「退院後、義父は親戚のグループLINEで『見舞いに散る花を持ってくる非常識な嫁』『早く楽になれって意味だったのかもな(笑)』と、私をネタにしたメッセージを送りまくっていたんですよ」

義父の見舞いに“春の花”を持っていったら…「持って帰れ!」と突き返されたワケ
画像はイメージです(以下同)
その内容は、単なる愚痴の域を超えていました。自分が傷ついた“被害者”であることを強調し、嫁の間違いを嘲笑する投稿を何度も繰り返していたのです。

「それをたまたま見た義姉が、スクリーンショットを送ってくれて知ったんですよ。
とても恥ずかしかったですしショックでしたね」

しかも義父は話を盛りに盛って「注意したらふてくされて舌打ちをしながら帰っていった」「最近の若い嫁は謝りもしない」と、完全に作り話まで追加していました。

事実とはまったく異なる内容に、明日菜さんは愕然。謝罪を受け入れたはずの本人が、裏では面白おかしく脚色し、周囲に吹聴していた……その行為に、他者を貶めて笑いを取ろうとする底意地の悪さを感じたといいます。

夫と一緒に義父を訪ねると……

「さすがに我慢できず、夫と一緒に義実家へ行ったのですが、義父はニヤニヤしながら『ネタにしてもらえただけ良かったと思えよ。病気で弱っている時にあんな不吉なもの持ってこられた俺の気持ちに比べたら、こんなのどうってことないだろう?』とまったく悪びれる様子もなしで」

義父の見舞いに“春の花”を持っていったら…「持って帰れ!」と突き返されたワケ
杖 高齢者 おじいさん
謝罪を受けた事実も、一部作り話を広めたことへの反省も一切ありません。むしろ“ネタにして笑い飛ばしてやったんだから感謝しろ”と言わんばかりの開き直りに、明日菜さんは寒気を覚えたといいます。

「正直、今回の件でこの人とはどうやっても分かり合えないかもしれない、と感じました。私にとっては“大事な家族”のつもりでお見舞いに行ったのに、義父にとって私は“別にからかってもいい小馬鹿にした存在”なんだと分かってしまって」

そう感じた明日菜さんは、夫と相談のうえ、義父と距離を置くことを決めました。もう、これまで通りの関係を続けることは難しいと判断したからです。

「本当は嫌いになりたいわけじゃないんです。ですが自分の心を守るためには必要なことだと思って決めました。これまで通り、何ごともなかったかのように笑って接するのは、もう無理だと思ったので」とため息をつく明日菜さんなのでした。


<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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