48歳・年収200万円という条件で婚活市場に身を投じた漫画家・中川学さん。著書『独りで死ぬのはイヤだ』(集英社)では、マッチングアプリや婚活パーティー、街コンなどに挑んだ本気の婚活が赤裸々に描かれ、累計5000万PVを突破する大きな反響を呼んでいます。


 29歳でくも膜下出血を発症した体験を綴ったデビュー作『くも漫。』(リイド社)など、一貫して「シリアスな現実」をユーモアで包んできた中川さん。今回は、婚活を漫画にしようと思った経緯や、実在する人物を描くうえでの工夫、作中に登場するユニークなキャラクター「中おば」について、中川さんに話を聞きました。

※本記事は全3回のうちの1本目です

48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割か...の画像はこちら >>

48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話②


48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話③

48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話④


48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑤

48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑥


48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑦

48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑧


48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑨

48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑩


48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑪

48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑫


48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑬

48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑭


48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑮

48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑯


48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑰

48歳・年収200万円で婚活に挑んだ漫画家。女性読者の9割から「キモい」と辛辣な声が寄せられたワケ<漫画>
『独りで死ぬのはイヤだ!』1話⑱


女性読者の9割から「キモい」「こいつはない」

――婚活を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

中川学さん(以下、中川):29歳の時に「くも膜下出血」を発症したことなど、自分の経験を漫画に描いてきたのですが、それを読んでくれた編集者さんから「次は婚活はどうですか」と言われたんです。

 僕も結婚を諦めていたわけではなかったのですが、元々コミュニケーションが苦手だったからなんとなく踏み出せませんでした。でも、提案してもらったことで、「ちょうどいい機会だな」と思ってやってみることにしました。

――婚活の場では、ご自身が「漫画家」であることを明かしていましたか?

中川:はい。意外にも反応は好印象というか、喜んでもらえるんだなと僕は捉えてました。「婚活を漫画にしている」と伝えても、それほど引かれた記憶はありません。

 婚活をネタにしている以上、「この人とは関わりたくない」と女性に引かれるリスクは覚悟していました。ただ、そうしたマイナス面だけでなく、僕の赤裸々な記録を読んで「これなら自分も婚活を頑張れるかも」と勇気を持ってくれる人がいるかもしれない、とも思っていたんです。

――実際の読者の反応はいかがでしたか?

中川:男性からは応援の声も多く、僕と同じ年くらいの人が「婚活を頑張ろうと思いました」と言ってくれたり。
「自分よりもヤバいやつがいてホッとした」という声もありましたが、僕としては嬉しかったですね。

 一方で、女性からは……辛すぎて記憶が曖昧なのですが、、「キモい」「こいつはないわ」と辛辣な声が9割でした。序盤、コロナウイルスの後遺症により一時的に性欲を失い、回復後に「このまま独りなのは怖い」と怯える姿を描いたのですが、そこが気持ち悪すぎたんだと思います。だから、今日のインタビューも、女性から「あの内容はなんだ!」と糾弾されるんじゃないかとビクビクしていました……。

これを描いたら芥川賞を獲ってしまう

――婚活漫画では、あえて描かなかった部分もあるのでしょうか。

中川:セックスに関することは、一切描かないと決めていました。本当はそこまで踏み込みたかったんです。構想を練っていると「これ、セックスのことまで描いたら、もはや文学になっちゃうかも」と思いました(笑)。史上初めて、漫画が芥川賞を受賞してしまうかもしれないと(笑)。

 でも、そういう関係になったお相手に、漫画に描いてもいいか尋ねたところ、「お前は何を考えているんだ」と当然断られたのでやめました。

――実在の人物を描く際、どのような配慮をされましたか?

中川:出来事は忠実に描きますが、お相手のプロフィールや容姿は、誰だかわからないように絶妙に変えています。お笑い芸人なら劇団員に置き換えたり、タレ目が特徴の人なら、そのニュアンスだけを残して他を変えたりといった感じです。

――本作では、中川さんが「容姿が好みではなかった」と感じたとき、お相手の姿を描かないようにしていたのが印象的でした。


中川:そこはすごく考えました。「好みではなかった」と僕が言っている以上、お相手の特徴を変えて描いたとしても、今度はその変えた顔に似ている人がどう感じるのか。それを考えると、容姿を描くことはできなかったです。

 今までエッセイ漫画では、ずっと自虐的なことばかり描いていたのですが、今回は相手もいることだからすごく躊躇しました。婚活で出会った女性のことをどう描いたらいいのか、最初はすごく迷いましたね。

「ときめきたいんだよ!」婚活で見えた本音

――作中、「中おば」という空想上のおばさんキャラが登場しますが、「中おば」はどういう存在なのですか?

中川:「中おば」はもう一人の僕、いわば「中川学B」です。2人を対話させることで、自分の中の葛藤を可視化しています。

――「中おば」に対して、中川さんが「ときめきたいんだよ!」と本音を吐露する場面がありましたが、実際に婚活でときめいた瞬間はありましたか?

中川:我が強そうで、自分の足で人生を歩んでいるなと感じる女性に出会うとときめきますね。「この人についていきたい!」という気持ちになります!

<取材・文/都田ミツコ>

【中川学】
1976年生まれ、北海道出身。北海道教育大学釧路校教員養成課程(数学)卒業後、中学の数学教師の職に就くが、仕事がつらすぎて失踪・辞職。その後、2005年、札幌の風俗店でくも膜下出血を発症し、闘病生活を経て漫画家に。著書に『僕にはまだ友だちがいない』『くも漫。
』『探さないでください』などがある

【都田ミツコ】
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。
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