3月13日に授賞式が行われた第49回日本アカデミー賞にて、SixTONES・松村北斗さんが優秀主演男優賞、優秀助演男優賞、話題賞(俳優部門)を受賞し、3冠を達成しました。

 松村さんは昨年12月に、雑誌『ViVi』(講談社)の「ViVi国宝級イケメンランキング」ADULT部門で1位を獲得し、過去のNEXT部門1位、NOW部門1位と合わせ、史上初の3冠を達成したばかり。


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 イケメンアイドルとして頂点を極めつつ、俳優としても確固たる地位を築いた今の彼は、まさに無双状態に突入したと言えます。

オーラを潜め“普通の人”を完璧に体現する凄み

 松村さんの俳優としての真髄は、“普通の人”を完璧に体現できる凄みにあります。多くの人がそれを最初に目の当たりにしたのが、2021年後期NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でしょう。松村さんがヒロインの優しき夫・雉真稔として「稔さんブーム」を巻き起こしました。

 それ以来、個人の知名度を上げた松村さんは、SixTONESの中心としてグループ人気も牽引。ロックやR&Bを取り入れるなどアイドルとしてはアーティスティックなSixTONESにおいて、松村さんもパフォーマンス時には独特のオーラを放ちながら美声を奏でます。

「もはや無双状態」SixTONES松村北斗が日本アカデミー賞でも3冠!出演作に“ハズレなし”と断言できる理由
CD『一秒/Rebellion』(ソニー・ミュージックレーベルズ)
 今やドームツアーを敢行するSixTONESメンバーとして、スーパースターでもある松村さん。しかし俳優としてはそのオーラを潜ませ、自然な日常会話を繰り広げ、松村北斗としてではなく役として生きることができるのです。

 その一方で過剰に目立とうとしていなくとも観る人の視線を奪ってしまう……という点では、アイドル時と俳優時で共通しています。

29歳と44歳の“同一人物”を演じ分ける実力

 昨年の活躍ぶりを振り返ると、まず優秀助演男優賞を受賞した映画『ファーストキス 1ST KISS』が2月に公開されました。監督・塚原あゆ子氏、脚本・坂元裕二氏で、主演は松たか子さん。松村さんは主人公である硯カンナの夫・駈を演じました。

 カンナは、交通事故で駈が亡くなった未来を変えるため、彼と出会う直前に何度もタイムトラベルをします。そのため、松村さんは実年齢に近い29歳と、年齢を経て感情に乏しくなった44歳の駈の両方を演じ分けていきます。


まるで「本当にいる」かのような存在感

 何度タイムトラベルを繰り返しても、29歳の駈はカンナを好きになってしまう。松村さんがひょうひょうと、しかし真摯に想いを伝えるので、そのピュアさに胸を打たれてしまいます。また、専門的な話をまくしたてるオタク気質な一面も、ナチュラルに醸し出されていました。

「もはや無双状態」SixTONES松村北斗が日本アカデミー賞でも3冠!出演作に“ハズレなし”と断言できる理由
画像:映画『ファーストキス 1ST KISS』公式サイトより
 下手をすれば、朴訥で純粋な駈はファンタジーの中の人物に見えてしまう。それを、等身大で飾らない松村さんが演じることで、現実のリアリティを持って提示してくれるのです。

 スーパースターなはずなのに、観客に「本当にそこにいる」という安心感を与えてくれる。丁寧に言葉を紡ぐ松村さんの優しい声色がそうさせているのかもしれません。

 また、駈の悲劇的な未来をカンナが変えようとしますが、彼は当然のようにある選択をします。これが本当に「らしいな」と思ってしまう。駈に松村さんが憑依しているので、「松村北斗らしいな」とも「駈らしいな」とも思える説得力があります。

 同時に松村北斗にときめいているのか、駈にときめいているのか分からなくなる。異なる作品では全く違う人物を演じ分けていても、毎回その人物が本当に存在するかのように見えてしまうため、どれが本当の松村さんなのかと困惑するほどです。

新海誠監督「もっとも信頼する俳優」と絶賛

 昨年10月には、優秀主演男優賞を受賞した『秒速5センチメートル』(東宝)が公開されました。松村さんは主人公・遠野貴樹役で、高畑充希さんがヒロイン・篠原明里を演じています。


 今作の原作者であり、松村さんが重要人物を演じた2022年のアニメーション映画『すずめの戸締まり』の新海誠監督は、「もっとも信頼する俳優」と松村さんを評しています。『ファーストキス』の豪華な制作陣を見てもそうですが、今松村さんが映像作品界で一つ抜けたホットな存在であることが分かります。

儚さや切なさの演技がリアル!

『秒速5センチメートル』では、登場人物が多くは語りすぎず、主に表情で心の内を見せていきます。それでも、松村さんのわずかな顔色の変化や、絶妙なセリフの間で切なさが増幅していくのです。

 貴樹は小・中学校時代の初恋の思い出を、いつまでも引きずっているこじらせアラサー男子。その初恋の相手である明里は、地に足を付けしっかり日常を歩んでいる女性です。本来の松村さんとは異なり、貴樹は「人付き合いが苦手で臆病な陰キャ」ですが、そうした彼の特性をとてもリアルに再現しています。

 特に「魂が失われたような瞳」の演技は天才的で、彼の持つ儚さや脆さを象徴しています。同時に貴樹からは女々しさもしっかり感じられ、それが不思議と涙させられるし、応援したくなるのです。

「他の誰にも取って代われない」人になる

「稔さんブーム」から現在の活躍に至るまで、松村さんが演じる役は常に“松村さん自身”となって昇華されるため、「他の誰にも取って代われない」特有の魅力を放っていきます。

 どんな役を演じても松村さんによって魅力的になるため、彼の出演作にハズレ無しとも言えるでしょう。

 9月には東野圭吾氏原作で、今田美桜さんとW主演を務める『白鳥とコウモリ』の公開も控え、今後も日本映画界を牽引する唯一無二の俳優としてますますの飛躍が期待されています。

<文/こじらぶ>

【こじらぶ】
ライター・コラムニスト。
上智大学大学院外国語学研究科修了・言語学修士。ドラマ、男性&女性アイドル、スポーツ、エンタメ全般から時事ネタまで。俳優、アイドルなどのインタビューも。X: @kojirabu0419
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