食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています

外食大手が買収したカフェチェーン「ベローチェ」はスタバを超え...の画像はこちら >>
 ここ数年で大きな注目を集めているのが、大手フードチェーン買収のニュース。
ワタミが「SUBWAY」(2024年)、すかいらーくが「資さんうどん」(2024年)、ゴールドマン・サックスが「バーガーキング」(2025年)を買収するなど、飲食業界が大きな変革期を迎えています。

 2026年に入り、つい先日飛び込んできたのが、「カフェ・ベローチェ」(以下、ベローチェ)を運営するC-Unitedを外食大手のコロワイドが440億円で買収したというニュース。同時期にブルーボトルが中国の大手カフェチェーンに買収されたという衝撃も合わせると、カフェ業界が激変する可能性は大と言えます。

 そこで今回は、今のベローチェってどんなカフェなの? という疑問に少しでもこたえたいと考えました。

“タバコが吸える男性サラリーマンカフェ”はとっくに終焉

外食大手が買収したカフェチェーン「ベローチェ」はスタバを超えるか?確かな伸びしろ3つ
ベローチェ
 ベローチェについて、“東京オフィス街にあるタバコが吸える男性ビジネスマン向けのカフェ”というイメージを持っている人は少なくないでしょう。じつはその時代はとっくに終焉を迎えています。

 2020年4月の健康増進法改正により、一部の既存小規模店舗を除いて基本的に「全席禁煙」となり、座席でタバコを吸うことは原則禁止に……。

 ベローチェは現在全国に約160店舗(フレッシュネスバーガーと同規模)を展開。この大所帯を、牛角や大戸屋、フレッシュネスバーガーを傘下に持つコロワイドが買収したということは、今後大変身を遂げて“打倒スタバ”戦略を打ち出していく可能性は大いにあるでしょう。

 そこでまずは、ベローチェ未体験の人にもわかる!「現状ベローチェが持つスタバにはない魅力」をご紹介しながら、「これならスタバよりもベローチェだよね!」と言いたくなる“未来の伸びしろ”について考えていきたいと思います。

伸びしろ①おいしい食事(軽食)ができること

外食大手が買収したカフェチェーン「ベローチェ」はスタバを超えるか?確かな伸びしろ3つ
ベローチェで販売されている「王道ナポリタン」730円
 スタバにはないベローチェの魅力の一つ目は、喫茶店らしい軽食メニューが充実していることです。

 例えば店内手づくりをコンセプトにしたサンドイッチが100円台から並び、ワンハンドで食べられる焼き立てパン、カレーやパスタといった温かい軽食類が充実しています。

 現状のベローチェの軽食メニューを見ていくと、100%牛肉に赤ワインソースを加えた「贅沢ビーフのボロネーゼペンネ」は800円。喫茶店のような懐かしさと炒めスパゲッティのような香ばしさを売りにした「王道ナポリタン」は730円。


 これらを食べてみると、普通においしくはあるものの、また食べたいと思わせるほどの個性はなく、コメダのようなボリューム感もありません。

 今のカフェ戦国時代における生き残りの必須条件は、コーヒーに頼らないビジネスモデルによって顧客満足度と客単価を上げていくこと。これはアメリカの事例が参考になります。

 米国スタバでは経営不振による大量閉店やストライキ問題がたびたび起こり、コーヒーへのこだわりを強みとしていたブルーボトルは不振で買収されました。

 一方、店内焼き立てのパンやスープを売りにしたカフェベーカリーチェーンの「Panera Bread(パネラブレッド)」は、“ベーカリー界のスタバ”と言われるほど急成長を遂げています。

外食大手が買収したカフェチェーン「ベローチェ」はスタバを超えるか?確かな伸びしろ3つ
アメリカで“ベーカリー界のスタバ”として急成長を遂げるパネラブレッド。コーヒーはスタバよりも少しだけ安い(※画像は公式サイトより)
 同店は1か月15ドル(約2400円)でコーヒーや紅茶が無制限に楽しめるサブスクを提供し、焼き立てパンを魅力に感じる食事目的のリピーターを獲得。つまりおいしく温かい軽食メニューはスタバにはない強みとなるため、今後のメニュー改良を期待したいところです。

伸びしろ②猫ブームの前から大切にしてきた「黒ねこ」

外食大手が買収したカフェチェーン「ベローチェ」はスタバを超えるか?確かな伸びしろ3つ
ネコの日(2月22日)に合わせて発売された「黒ねこエコバッグ 2026」
 ベローチェが持つ二つ目の魅力は、「黒ねこグッズ」にあります。

 種類は多彩で、エコバッグをはじめ、充電ケーブル&USBコンセント、Tシャツや折り畳み傘といった生活用品グッズまで広く展開。これらは近年のネコ柄ブームに乗ったものかと思いきや、実は違うのです。

 ベローチェの前身は1965年東京・福生に誕生した「珈琲館シャノアール」。シャノアールはフランス語で“黒ねこ”という意味で、長年黒ねこがシンボルに。そして前店の歴史を刻んだ黒ねこが今のベローチェに引き継がれているのです。


外食大手が買収したカフェチェーン「ベローチェ」はスタバを超えるか?確かな伸びしろ3つ
店内を見渡すと、黒ねこがデザインされた商品が目立つ
 ある調査によれば、日本人の猫好きは7割という高確率なんだそう。確かにスーパーやコンビニでもネコ柄商品が目立ちます。

 ベローチェではすでに黒ねこグッズのファンが一部存在するものの、今後新たにネコ好きの心をつかむような画期的なグッズが登場すれば、ベローチェのブランド力は育っていくに違いありません。

伸びしろ③男性やシニア層にも好まれる落ち着いた雰囲気

外食大手が買収したカフェチェーン「ベローチェ」はスタバを超えるか?確かな伸びしろ3つ
ベローチェ
 三つ目は、店内の雰囲気が落ち着いているということ。客単価の割にくつろぎやすい椅子と広めのテーブルが設置されています。そのおかげなのか、ベローチェの客層をスタバなどの大手カフェチェーンと比較すると、男性比率はやや高く、年齢層は20~60代と幅広いのが特長になっています。

 これは実際に来店してみれば納得。ビジネスパーソンが平日の仕事目的で利用する、シニア層が一人でゆっくり過ごす目的として選ばれていることがわかります。

 コロワイドに買収されたC-Unitedがベローチェと並んで運営する「珈琲館」は、ここ数年シニア層からの人気が高く、テレビ番組でも特集されるほど注目されています。

 人気の秘密は、昔ながらの喫茶店の雰囲気と“店内手づくりのおいしい食事”にあります。高齢化がますます進む日本において、若者だけでなくシニア層にも居心地の良いカフェ空間を提供できれば、新たな客を呼び込み、客単価を上げることにもつながります。

 ベローチェを買収したコロワイドは、有名レストラン(牛角、大戸屋など)やグルメ系ファストフード(フレッシュネスバーガー)の他、有名洋菓子店(チーズガーデン、クリオロなど)をも傘下に持つ外食大手企業。
グループ内のノウハウをフル活用することで、カフェ新業態としてスタバを脅かす存在になってもおかしくはありません。

 カフェチェーンの買収劇がはじまった2026年、業界内は今後ますますし烈な争いを繰り広げていくことでしょう。新生ベローチェがどのような強みを持って変貌を遂げていくのか、じっくり注目していきましょう。

<文/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
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