2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(40歳・以前は小林悠として活動)。

 TBS退社から紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。
アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
 第78回となる今回は、「睡眠不足」にまつわるエピソードをつづります(以下、アンヌさんの寄稿です)。

TBS内定者時代の話

40歳・元TBSアナが明かす、内定者時代の“ちょっとコワい話...の画像はこちら >>
 4月はテレビ番組改編の時期。北海道でも朝の番組が大々的にリニューアルしたりと、なかなかみんな忙しそう。

 かつてTBSで働いていた頃、『みのもんたの朝ズバッ!』という朝番組を担当していた私。

 時折、朝の番組をやるにあたっての心構えは? 何かアドバイスは? など問われることがありますが、そんなアドバイスなどおこがましいことはできるはずもなく。

 ただ、すべてが経験によって解決されるものであるよ、と私はお伝えしたい。どんなに大変でも、その一つ一つがすべてあなたの血となり肉となり、解決されていくよ、と静かに心の奥底でエールを送るのです。

 そんな中、ふと突然思い出した話があります。朝番組をやる上で気をつけること……。そう、ありました。これは内定者時代にまで話を遡るのです。

 ずっと記憶の奥底に封印されていましたが、今回急に思い出したちょっと怖い話。
これはアナウンサーに限らず、睡眠リズムが乱れがちなあなたにもお伝えしたいお話です。

“業界人”の集まるパーティーに誘われ……

 アナウンサーとして内定をいただいていた学生時分、友人からとある誕生日パーティーに誘われた私。

 いわゆる「業界人」も多く来るようなパーティー。場所は確かおしゃれなカフェだったような……。普段はそんな場所に縁がない私でしたが、テレビ局に内定をもらっているんだったら顔を出したほうが良いのではないかと言われたのです。

 様子もよくわからず、とりあえず参加した会。

 そこで、今となっては、何の職業についていた人なのかもわかりませんが、とある「業界人である」と自称する男性、仮の名前をGさんとします、と知り合ったのでした。

 初対面からタメ口で、お前呼ばわりはお手のものなGさん。

 はっきり言ってなかなか苦手なタイプではありましたが、今後もしかしたらお仕事でご一緒するかもしれないと思えば、邪険にもできません。連絡先を交換しましたが、その場限りで連絡を取り合うことはありませんでした。

 時は流れ、私が入社を果たし、朝ズバなど番組に出演するようになると、例のGさんから電話の着信が入るようになってしまったのです。

 おそらく朝の番組に出演している様子を見て、なんとなく私のことを思い出したのでしょう。ただ、どうも苦手なタイプなのは変わらず、私はその電話には出ないようにしていました。


午前1時起き生活のなかで起きたこと

40歳・元TBSアナが明かす、内定者時代の“ちょっとコワい話”「業界人の集まるパーティーに誘われて…」
愛犬リリーと
 ところがある日のこと。 19時に就寝し午前1時には起きる生活を繰り返していた中、夜10時ごろでしょうか、私にとっては一番睡眠が深い時間にGさんから着信があったのです。

 普段だったら、心の中でごめんなさいと思いながら、着信には出ないでいた私でしたが、なんと完全に寝ぼけた状態で、というよりも、むしろ寝たままの状態で、意識がまったくない中で、その電話に出てしまったのです。

 今となれば夢遊病なのかなんなのかわかりませんが、とにかく勝手に私は電話にでてしまい、さらに恐ろしいことに会話まで始めていたのです。

 枕元にあった電話に眠ったまま手を伸ばし、通話ボタンをおし、耳に押し当てていた私。

 しかし完全に夢の中。自分がいったい何をしているのか自分自身でまったく理解していない状態。電話で話しながら、徐々に自分の意識がはっきりしていくのがわかりました。

電話の相手がなぜか怯えている

 完全に寝ぼけた状態で、出るべきでない電話に出てしまったと、なんとなくわかり始めたと同時に気づいたのは、Gさんがかなり怯えた調子であるということ。

 Gさんは「お前……いったい何言ってるの?」と、相変わらずのお前呼びは健在ですが、完全に恐ろしいものと対峙して戸惑っているような口調。

 一方の私は、これまでどんな会話をしていたのかまったく見当もつかない中で、はいその通りです。はいその通りですね。かしこまりました。ありがとうございました。
失礼いたします。と、馬鹿丁寧な受け答えをしているのです。

 この受け答えとは対照的に、黙りこむGさん。

 そしてそのまま電話は切られ、その後二度とGさんから電話がかかってくる事はありませんでした。まったく自分の予期せぬ形でちょっと苦手だと思っていた人を撃退してしまった私。

 早朝番組生活が始まり、身体が混乱したということでしょうか……。

若手アナウンサーに話すと

 睡眠のリズムが狂うとこういった出来事もあるよと、この「寝たまま会話して、相手をなぜか撃退した」エピソードを、とある若手アナウンサーの子に披露しましたが、

「そうなんですね……。ただ、私は絶対そんな事はないと思います」と軽く突っぱねられてしまいました。そりゃそうだ。

 ちなみに業界人と仰っていたGさん、あれからお目にかかる事もありませんでした。何者だったのか、そして私は何を口走ったことで、彼をあそこまで怖がらせたのか。真相はいまだ藪の中。


<文/アンヌ遙香>

【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne
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