(台北中央社)行政院(内閣)は31日、野党が過半数を占める立法院院会(国会本会議)で今月11日に可決された経済や社会、国土安全保障の強靭(きょうじん)性強化を図る特別条例案について、再議(審議のやり直し)の申し立てはしないとする一方で、国民に現金1万台湾元(約5万円)を一律給付する内容に憲法上と法律上の瑕疵(かし)があるとの認識を示し、適切な時期に違憲審査を申し立てる方針を明らかにした。

当初、行政院院会(閣議)が4月に決定した案では特別予算の上限を4100億元(約2兆円)とし、台湾電力への補助金1000億元(約5000億円)を計上。
だが、立法院院会で可決された最大野党・国民党案は上限が5450億台湾元(約2兆7200億円)に引き上げられ、補助金は盛り込まれなかった。再議を申し立てる場合は31日が期限となっている。

行政院の李慧芝(りけいし)報道官はこの日の記者会見で、立法院が予算案や法案で大幅な支出増を必要とする場合、必ず行政院に意見を求め、財源を確保しなければならないが、これまで1年間、無視されてきたとの卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)のコメントを発表した。また卓院長は、違憲審査の申し立てで、行政と立法の分権に対するいざこざを終わらせたいとも語ったという。

台湾では2024年に行われた立法委員(国会議員)選挙で、野党の議席数が与党・民進党を上回り、「ねじれ」が生じている。

(頼于榛/編集:齊藤啓介)
編集部おすすめ