(台北中央社)南部・屏東県に作業拠点を置く食肉加工業者、百威食品が工業用過酸化水素水を用いて豚の腸を漂白処理した問題で、衛生福利部(保健省)食品薬物管理署(食薬署)は8日、同社に対して5400万台湾元(約2億7千万円)の過料を科した。また会社登記の住所がある台北市の衛生局も同日、同社に営業停止処分を下した。


同社は病変していた疑いのある豚の腸を過酸化水素水で漂白し、各地に流通させた。製品は台北市内の有名飲食店、阿宗麺線にも卸された。

食薬署が各県市の衛生局や検察と行った統計によると、これまでに計1万2604キロが差し押さえられた。差し押さえ分については市場への流入はない。出荷済みの分については、2430キロが売り場から撤去されたが、784キロはすでに販売済み。

食薬署南区管理センターの魏任廷主任は同日、取材に応じ、押収した過酸化水素水のパッケージに「工業用」「食品への使用を禁ずる」と明記されていたにもかかわらず、同社は故意に豚の腸の加工に使用し、複数の県市の業者に販売し、社会秩序の安定を壊したことが過料額の根拠だと説明した。

国の機関が直接業者を処分するのは異例。魏氏によれば、同社は作業拠点(屏東県)と登記地(台北市)、倉庫(北部・新北市)がそれぞれ異なる県市にあったことや、事態の重大性を踏まえ処分を迅速に行うことが理由だという。

魏氏は、同社が刑事責任も問われると言及。7年以下の懲役または8千万元(約4億円)以下の罰金、もしくはその双方が科される可能性があるとし、食薬署も地検の捜査に積極的に協力していると述べた。

また、市販の豚の腸製品を対象とした特別検査も開始したと説明。7日までに販売業者や飲食店など577の事業者を調べ、検査対象となった120点の製品中104点が合格となり、残りは検査中だと明かした。
検査は今後も継続するとした。

(沈佩瑤、楊淑閔/編集:田中宏樹)
編集部おすすめ