(ベルリン中央社)蔡英文(さいえいぶん)前総統は13日、ドイツ・ベルリンで、ベルリンの壁の遺構が残るナチスドイツのゲシュタポ(秘密警察)本部跡地「テロのトポグラフィー」を訪問した。館長の解説に熱心に耳を傾け、強制収容所で迫害を受ける少女の写真の前では足を止め、厳粛な表情を浮かべた。


蔡氏は、館内でナチス時代の文献を目にした際には重い気持ちになったとした一方、第2次世界大戦後にドイツが反省という形で歴史に向き合ってきた点を称賛した。

同日にはベルリン市議会も訪問し、2022年に創設された超党派の親台湾派グループのメンバーと面会した。あいさつで、14年前のベルリン訪問から今日までの世界の激しい変化を振り返り、権威主義国家の挑戦を前に、民主主義国家が連帯することの重要性を訴えた。

蔡氏はフェイスブックで、ベルリンの壁が崩壊した1989年当時、台湾はまだ真の意味での民主主義国家ではなかったとし、「36年後に台湾の前総統がベルリンで講演し、ドイツ議会に足を踏み入れられたのは、台湾がすでに100%の民主主義国家になったからだ」と強調。ドイツと台湾がともに権威主義による統治を乗り越えてきた歴史に触れた上で、「歴史の前ではわれわれはとても小さな存在だ。でも歴史の前では謙虚さと勇気だけが正しく賢明な選択を可能にし、台湾の経験を世界を前に進める力にすることができる」とつづった。

蔡氏は9日からドイツを訪問している。

(林尚縈/編集:名切千絵)
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