(台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統は20日、台北市内で起きた無差別襲撃事件を受け、公共施設や人が多く集まるエリアに警察官や特殊部隊を配置し、即時対応力を高め、市民の安全と社会の安定を確保する方針を示した。一方、最大野党・国民党の鄭麗文(ていれいぶん)主席(党首)は、政府による社会のセーフティーネットが著しく機能していないことが明らかになったと批判した。


総統府によると、頼総統は台北市内の複数の病院を訪問し、事件の負傷者を見舞った。犠牲者に対しては哀悼の意を示した。また検察や警察に対し、死亡した容疑者の背景や犯行動機、背後関係の有無などを全面的かつ徹底的に捜査し、真相を社会に明らかにするよう求めたという。

頼総統は内政部(内務省)警政署(警察庁)でも捜査の進捗(しんちょく)状況について報告を受け、医療サービスや専門調査チームの体制、空港や駅の警備を強化するとともに、被害者に対するケアを十分に行うよう指示した。

鄭主席は同日、北東部・宜蘭県で報道陣に対し、台湾社会が必要としているのは真の誠意を持った政府で、政治的な対立や憎悪を生み出すことではないと主張。頼総統や内政部の職員に対して直ちに正しい持ち場に戻るように求め、社会はこのような混乱した政治を受け入れられないと苦言を呈した。

大みそかの31日から来年1月1日にかけて市内で大規模イベントが予定されている台北市の蒋万安(しょうばんあん)台北市長は20日、治安維持対策チームの緊急会議を開いた。警察に対し、治安維持を強化し、人が集まる場所や週末、夜間に取り締まりや検査を行うよう求めた。

(陳昱婷/編集:齊藤啓介)
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