(台北中央社)台北市内で無差別襲撃が起きたのを受け、重大事件の発生時に、自然災害時などに用いられている携帯電話へのアラート配信システムを活用するよう求める声が上がっている。これに対し劉世芳(りゅうせいほう)内政部長(内相)は22日、一定の理解を示した上で、軽率なアラート配信には不要なパニックを引き起こす可能性があることも考慮する必要があると述べた。


襲撃は19日午後に発生。容疑者は3カ所で放火した後、およそ1時間半後に台北メトロ(MRT)台北駅構内で通行人を刃物で襲った。さらにその約1時間半後、メトロ中山駅周辺の路上や商業施設内で複数人を切り付けた。3人が死亡、11人がけがをした他、容疑者も現場の商業施設から飛び降り、その後死亡が確認された。

22日に行われた立法院(国会)内政委員会で野党・国民党の張智倫立法委員(国会議員)は、今後同様の重大な襲撃事件が起きた場合、自然災害と同様にアラートをを配信できるかを質問した。

劉氏は、地方自治体が配信するアラートは主に避難を呼びかける内容で、明確かつ科学的な根拠があって初めて配信の対象や範囲を決められると説明。メッセージの内容が明瞭で、人々に事件の発生を知らせられるのであれば、避難の効果が得られるものの、配信対象などの基準が明確でない場合は、かえって疑問を生んでしまうと指摘した。

また、国民党の王鴻薇立法委員の質問に対し劉氏は、アラート配信という方向性には一定の評価をし、治安に関わる情報は速度が重要だとの見方を示しつつ、線引きをはっきりする必要があると言及。今回の事件の容疑者は、複数の地点を移動しており、アラートの配信タイミングが不適切な場合、数十万人規模の人々を困惑させる可能性があると語った。

(高華謙/編集:田中宏樹)
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