(台北中央社)台湾で姿を消しつつあった淡水魚「スイシャモロコ」が、農業部(農業省)農村発展・水土保持署の持続可能な環境整備によって、個体数を増やしつつある。同署は、依然として希少ではあるものの、増加し始めたことはいい傾向だとしている。


コイ目のスイシャモロコは日本統治時代の1908年に中部・南投の日月潭でロシア人学者によって発見された。日月潭は元々は天然の湖だったが、34年にダム化されると、水位は約20メートル上昇し、浅い水域にしか生息できないスイシャモロコは姿を消した。

現在、スイシャモロコが確認できるのは、日月潭周辺の一部の渓流や、中部・台中市のごくわずかな水域のみとなっている。

農村発展・水土保持署は2022年、スイシャモロコが生息する南投県埔里鎮の台牛坑渓で工事を行った際、生態工学を取り入れ、多様性のある水域環境を整えた。また、同鎮の樟湖坑渓にも持続可能で生態系の回復を図る考え方を導入し、地域住民の協力を得る形で生態池を整備した。

スイシャモロコが生息しやすい環境を整えるだけでなく、魚の習性を考慮し、隠れられる空間が生まれるよう設計した。

同署によれば、現在は2カ所の生態池が完成しており、乾季の個体数はそれぞれ27匹と12匹から、最近では63匹と106匹まで増加したという。

(汪淑芬/編集:名切千絵)
編集部おすすめ