食材や人件費、運営コストの上昇に伴い、ビュッフェレストランには値上げの波が押し寄せている。昨年第4四半期から今年にかけて、飲食大手「饗賓餐旅」が手掛ける「饗饗」など5ブランドや、リージェント台北(台北晶華酒店)の「栢麗庁」、シェラトン台北(喜来登)の「十二厨」、ル・メリディアン台北(寒舎艾美)の「探索厨房」などが相次いで値上げを発表した。
人気店の価格は近年、上昇を続けている。出店も拡大しているが、市場は依然として需要が供給を上回り、「値上げをするほどに客が入る。店舗が増えるほどに人気になる」という不思議な現象が起こっている。
「グランドハイライホテル」(漢来大飯店)などを手掛ける国揚グループ傘下の「漢来美食」が展開するビュッフェレストラン「島語」は、今年は価格を据え置いたが、休日のディナー価格は2090元(約1万190円)に達している。昨年末、北部・桃園市にオープンした3店舗目は、開幕後2カ月間の予約が瞬く間に埋まった。
同社の担当者は、新型コロナウイルス下で高級飲食の価格水準が4000~5000元(約2万~2万5000円)に引き上げられたことを指摘する。現在の高級ビュッフェは、ステーキ、ホタテ、タラバガニといった高級食材に加え、酒類や快適な環境も提供しており、ファインダイニングに近い位置付けとなっている。これは、ビュッフェが単なる「食べ放題」から、「良いものを自由に選んで食べられる」という高コストパフォーマンスな選択肢へと変容した表れだとの見方を示した。
ホテルチェーン、雲品国際酒店の丁原偉総経理(社長)は飲食市場の構造の変化を挙げ、台湾の長年来の食文化である食べ放題は、「量」から「質」に転換していると話す。単価が2000元の大台を超えた後、消費者の目標は「元を取る」ことから「高級食材と驚き」を追求することに変わったと指摘した。
飲食コンサルティング企業、天帷企管顧問の創業者、林剛羽氏は、産業構造から値上げと高価格化の流れを分析する。丁氏によれば、台湾の飲食市場は「自炊」「インスタント食品・宅配」「実店舗」の主に三つのセグメントで構成されるが、自炊がコロナ下に比べて縮小し、インスタント・宅配が低価格と利便性で急速に拡大する中で、実店舗が中価格帯路線に行けば、最も容易に取って代わられる存在となる。林氏は、「八方雲集(餃子チェーン)のように安くておいしい店にするか、いっそのこと高級路線に振り切るかのどちらかだ」とし、「台湾の消費者は価格が高いのはいとわない。嫌なのは金額に見合わないことだ」と述べた。
これこそが、値上げの波の中でも高級ビュッフェが競争を恐れない理由なのだ。
(江明晏/編集:名切千絵)








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