マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百五十九回 エースコック「爆盛りの名店 べんてん監修 超大盛り中華そば」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百五十九回目となる今回は、エースコックのカップ麺、「爆盛りの名店 べんてん監修 超大盛り中華そば」を紹介します。
東京・成増にある人気ラーメン店「中華そば べんてん」の味を超大盛のカップ麺で再現した商品で、麺量120グラムの「爆盛り」が特徴となっています。
「中華そば べんてん」を「爆盛り」で再現
「中華そば べんてん」は、東京・成増にある人気ラーメン店。つけ麺の名店として知られる「池袋大勝軒」をインスパイアしたお店としても知られています。
「池袋大勝軒」の故山岸氏は「量もおいしさのうち」という言葉を遺していますが、その考え方は「べんてん」でも生き続けており、追加料金なしで食べられる「並盛」と「中盛」はそれぞれ麺量250グラムと300グラム、追加料金が300円の「大盛」はなんと700グラムという、いずれも二郎系と見紛うほどの麺量の設定となっています。

今回のカップ麺では「爆盛りの名店」と謳っており、「べんてん」の麺量の多さ、ボリューミーな一面がクローズアップされています。
麺量は120グラムで、大盛の「スーパーカップ1.5倍」より30グラム多く、一般的なカップ麺の2倍程度の量。
価格も定価税別348円でお高めの設定です。
もちろん、「べんてん」も「池袋大勝軒」も麺量の多さはたくさんある魅力の内の一つでしかないのですが、今回は強く「爆盛り」をアピールしており、「量もおいしさ」を地で行くカップ麺の魅力に迫っていきたいと思います。
「爆盛りの名店 べんてん監修 超大盛り中華そば」の内容物

内容物は、別添袋が2つとカップにあらかじめ入っている麺。
写真では伝わり難いですが、麺ブロックには高さが。
湯戻し前からすでにかなりの量の麺であることが伝わってきます。

先入れの「かやく入り粉末スープ」を麺の上に開けた状態。
粉末にまみれているのでかやくの量はよくわかりませんが、あまり多いようには見えません。
「爆盛りの名店 べんてん監修 超大盛り中華そば」食べてみた

スープは、豚鶏をベースに魚介の風味を効かせたWスープの醤油味。表面に豚脂や鶏油などの油脂を浮かせています。
味の中心となっているのは豚の旨みと醤油味ですが、醤油味は塩気が前に出過ぎることなく、豚の旨みもこってりというわけではありません。
魚介も今流行りのラーメンのようなパンチではなく控えめ。

「べんてん」のスープは、「東池袋大勝軒」のWスープの味をインスパイアしつつ、現代風の濃度の高いスープが特徴で、クラシックな味わいと現代風の濃厚味のハイブリッド。
通常カップ麺の2個分の麺量にコストが割かれてスープにまで回り切らなかったのか、「べんてん」らしい濃厚さがない印象でしたが、それでもバランスが整ったクラシックな味わいのスープは魅力が感じられました。
光っていたのは動物系と魚介系のバランスの良さ。「べんてん」よりも「大勝軒」の味に近いようにも感じました。
120グラムの「爆盛り」油揚げ麺

麺は太めで縮れのついた油揚げ麺。
コシが強くてがっしりした麺となっており、お店の太麺の再現がされています。
ただ、今回のカップ麺はスープがお店に比べるとあっさりしているので、麺とスープを合わせると多少麺が強いように感じました。
麺ももう少し細くする方がバランス取れそうですが、そうしてしまうとスープと麺のどちらも「べんてん」の特徴から遠くなってしまうので難しそうですね。
120グラムの麺量はさすがなもので、他のラーメン店の大盛程度のボリュームがあるべんてんのお店の「並盛」くらいの食べ応えはありそうです。

具はチャーシューチップとネギ。
どちらもそれほど多くなく、麺の多さに見合わない量に留まっており、コスト的な制約がありそう。
それでもチャーシューチップは厚みがあって肉感的で、粉末スープと一緒に入っていて漬け込まれた状態になっていたからかかなり味が濃く、スープや麺と一緒に食べても濃さと厚みのある食感で目立っていました。
麺量に極振りの一杯
名店「べんてん」の、食べ応えある麺の多さにクローズアップした今回のカップ麺。麺量120グラムは確かに圧巻で、武力90以上のよほどのエリートクラスの猛将でもなければ満足できるボリュームでした。
一方で麺に極振りした影響により、スープや具にはコスト的な制約が見え隠れ。
スープはお店のような濃厚感がなく、具は麺の多さに釣り合わない少なさでした。
それでも、スープはWスープのバランス感に優れ、具のチャーシューは濃い味でアクセントとして目立っており、制約があってもそれぞれキラリと光るものは感じられました。