マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百六十回 「セコマ」のカップ麺「コムタン」「えびだし塩」「貝だし白湯」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百六十回目となる今回は、セイコーマートのプライベートブランド「セコマ」のカップ麺から3品を紹介します。
だしにこだわりがありそうな「黒胡椒コムタンラーメン」「えびだし塩ラーメン」「貝だし白湯麺」です。
「セコマ」のだしにこだわりがありそうなカップ麺
北海道民に愛されるコンビニ「セイコーマート」や、北海道外の「セコマ」ブランドの取り扱いがあるスーパーやドラッグストア等に行くと、独自路線を行くプライベートブランドのオリジナル商品が数多く並んでいます。
お弁当コーナーにある百数十円で買えるパスタや焼そばなど麺類やお惣菜類、手に取りやすい安価な輸入ワイン、鉄板の「牛乳ソフト」やなど、枚挙に暇がありません。

カップ麺も数多くの種類があり、そのほとんどは100円代前半で買える安価な商品となっています。
新商品が積極的に投入されるため新陳代謝が激しいのも特徴で、次見たら買おうと思っているうちに油断していると店頭から消えてしまっていることもしばしば。
今回はその中から、牛だしの「黒胡椒コムタンラーメン」、「えびだし塩ラーメン」、そして「貝だし白湯麺」の3品で、バラエティに富んだだしの魅力に迫っていきたいと思います。
黒胡椒が効果的「黒胡椒コムタンラーメン」

まずは「黒胡椒コムタンラーメン」。定価は税別118円で今回の3品で最も安価。
「コムタン」は、韓国料理のスープの一種で、牛肉や牛の内蔵を入れたこってり味が特徴。
日本でも参鶏湯と並ぶ韓国のメジャーなスープ料理で、焼肉店などでメニューに並んでいるのを見かけます。
カップ麺としても、数は多くないものの、過去に「カップヌードル」や「わかめラーメン」などで「コムタン」味が出ていました。

コムタンの味を再現した塩味のスープに黒胡椒を加え、中細の油揚げ麺と、大豆挽肉、かきたま、ネギといった具が合わせられています。
麺量50グラムで具のボリュームもやや物足りませんが、安価なカップ麺なので致し方ないところ。多少安っぽいのは今回の3品の共通点です。
スープはとろみがついた牛だしベースの塩味で、カップ麺では珍しくほのかながら牛が香るのがきちんと認識できます。
あっさり味で牛の風味が前面に出てくるほどではないものの、とろみをつけることで麺とよく絡み、思っていた以上に濃厚感がありました。

スープだけだとあっさり味ですが、黒胡椒を合わせることで輪郭がはっきりして食べやすくなります。
安価な商品なのでスープにそれほどコストを割けないのは当たり前なので、スープの味の足りなさを補う存在として黒胡椒はとても有効だと感じました。
甘えびオイルが香ばしい「えびだし塩ラーメン」

続いては「えびだし塩ラーメン」。定価は税別138円。
えびだしは実際のラーメン店でも人気で、セイコーマートの本拠地である札幌には「えびそば一幻」という有名店もあり、東京や大阪にある支店も人気を博しています。
ただ、えびといえば高額なイメージがあるので、それを安価なセコマのカップ麺で再現するのは大丈夫なのか、少し心配にもなるのではないでしょうか。

あっさり塩味のスープに「甘えびオイル」などの油脂を浮かせ、中細の油揚げ麺と、大豆挽肉、ネギ、唐辛子などの具が合わせられています。
麺量は55グラムで、他2品の50グラムより少し多く入っていました。
スープは魚介の旨みを効かせた塩味でとてもあっさりしています。
特に強い個性は見出だせず、具もいたって汎用的で価格なりの量。

スープ表面に別添の甘えびオイルを浮かせることで、えびの風味が強く広がります。
えびの身よりも殻の風味が強く、あっさりなスープに強い個性が加わりました。
商品によっては、えびのだしは食べ始めこそ風味を強く感じるものの、食べ進めていくうちに舌が慣れてしまい、あまり感じられなくなることがよくあるのですが、今回のスープは持続性があって最後までえびの存在を楽しむことができました。
甘えびオイル一極集中のゴリ押し感があり、こういう味わいもカップ麺の醍醐味ではないでしょうか。
鶏と貝と玉ねぎのハーモニー「貝だし白湯麺」

最後に「貝だし白湯麺」。定価は税別148円で、今回の3品では最も高額な設定。
「貝だし」と「白湯」の2つの特徴を持っています。
カップ麺では、えびだしと同じく貝だしを使ったスープのものが多く出ており、アサリ、ハマグリ、ホタテなどが一般的。
今回の商品ではパッケージデザインでホタテの貝殻が描かれています。

貝だしを効かせた鶏白湯スープに、中細の油揚げ麺と、大豆挽肉、玉ねぎ、ネギといった具が合わせられています。
鶏白湯スープはとろみが強く、麺とよく絡んで一体感があり、他2品に比べるとかなり濃厚感がありました。
その中で貝だしも存在感があり、しっかり「貝だし鶏白湯」味。
ホタテに加えてアサリが入っていて、ホタテのまろやかな旨みとともに舌の横でアサリの滋味が感じられました。

スープ表面には別添の鶏油などの油脂が浮いていますが、貝の風味付けがされていて、湯気から立ち上る貝の香りがスープの貝だしをいっそう確かなものにしていました。

具は他の2品と大豆挽肉やネギが共通していて、見た目あまり違いはないのですが、他2品にはない玉ねぎが入っており、玉ねぎのクセのある風味が鶏白湯スープの輪郭をくっきり整えています。
貝だしとの相性もよく、鶏、貝、玉ねぎが複合的に絡み合っており、安価品ながら奥深さを感じる一杯でした。
3品それぞれに強い個性
北海道のコンビニ「セイコーマート」のカップ麺のうち、だしにこだわっていそうな3品をレビューしました。
いずれも税別150円以下で買える商品なので、麺や具の質や量に価格なりの安っぽさはありましたが、3品それぞれに個性的。
「黒胡椒コムタンラーメン」はやわらかいコムタンスープの味と対比になる黒胡椒の存在、「えびだし塩ラーメン」は甘えびオイルのゴリ押し感、そして「貝だし鶏白湯」は鶏、貝だし、玉ねぎによる安価品とは思えない複雑な味わいがありました。
北海道のカップ麺といえば「やきそば弁当」が真っ先に思い浮かびますが、セイコーマートの安価ながら味のある多種のカップ麺群も魅力十分ではないでしょうか。