福島県在住の60代女性・Sさんは2024年11月、夫と2人で九州を旅した。
その時に、聞き取れない言葉を話す若い男性に出会った。
<Sさんからのおたより>
昨年の11月のことです。職場の永年勤続のお祝いに休暇がいただけることになったのと、還暦のお祝いを兼ねて夫と2人九州に旅行をしました。
福岡に2泊、長崎に2泊した最後の夜のこと。その日は1日貸切のタクシーで市内の観光地を案内していただき、平和公園やグラバー園などを回り長崎を満喫して中華街でタクシーをおりました。
中華街では長崎ちゃんぽんや皿うどん角煮まんじゅうなどを食べ、満足してホテルに帰ろうとしたのですが、2人ともお酒も入って気分がよかったこともあり「長崎駅まで路面電車で行こう!」ということになりました。
というのも、私は車いすユーザーで、公共の交通機関はバリアフリー化が進んでいるとはいえ、バスや普通の電車などはいまだに使いづらいのです。
近くにいた若い男性に尋ねたけれど...
でも旅行前、ネットでバリアフリー情報を調べていたときに、長崎の路面電車は車いすでも乗れるものがあるというのをみた覚えがありました。
私たちはとりあえず近くの路面電車の駅に行ってみましたが、長崎駅行きの乗り場かどうか心配だったので、近くにいた若い男性に「この電車は長崎に行きますか?」と聞きました。
すると返ってきたのは、私には聞き取れない外国語。申し訳ないのですが、聞き返すこともせずお礼を言って、もう一度乗り場にあった案内を確認しました。最初からちゃんと見ろ!とつっこまれそうですが......(笑)

その乗り場には2本の線があり、1本は長崎駅へ行くもので、もう1本は違いました。
最初に来た電車は、長崎駅には行かなかったので私たちは電車を見送りました。
扉があくと、なんととても高い階段が2段! これは無理、と思ったそのとき、彼は自分が持っていた荷物を地面に置き私の車いすの横にたつと、もう片方を夫に持つよう促し、階段を上げてくれたのです。
男性はすぐに電車を降りて...
そのあと彼は自分の荷物を取りに電車をおりたと思ったのですが、そのままその電車には乗りませんでした。
彼は、私が長崎駅行きの電車に乗ることを知り、夫一人では介助が難しいと考え自分が乗ろうとした電車を1本見送り、私を電車に乗せてくれたのだとわかるのに時間はかかりませんでした。
扉が閉まるまでのあいだ、お礼の気持ちを伝えましたが、感動で涙があふれて止まりませんでした。

今でもこの話を人にするときは、必ず涙が出てきます。
お礼の気持ちをなんとか、あのときの彼に伝えたいのですが、そのすべもありません。
この場をお借りして改めてお礼を言いたいです。本当にありがとうございました。
すてきな旅になりました。これからもすてきな出会いを求めて旅に出たいと思います。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。
Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式X(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのか、どんなことをしてしまい謝りたいのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※本コラムでは読者の皆さんに投稿していただいた体験談を紹介しています。プライバシー配慮などのために体験談中の場所や固有名詞等の情報を変更している場合がありますので、あらかじめご了承ください)