「道の駅」での楽しみと言えば、売店に並ぶその土地ならではの特産品や郷土料理だ。「へえ、この辺ではこんなものが作られてるんだ」なんて思いながら見て回るのが面白い。
......のだが、長野のとある道の駅では「こんなものが!?」とビックリしてしまうアイテムが販売されているらしい。
2025年7月13日、Xユーザーの幣束(@goshuinchou)さんが投稿したのは、黒くてゴツゴツした物体の売り場。
お惣菜が入っているような透明パックや、お漬物が入っているような袋に詰められているが、その正体は......。
「長野の黒曜石の産地にある道の駅、道の駅なので地元のおばちゃんが作ったお惣菜並みに黒曜石がパックで売られている」(幣束さんの投稿より)
黒曜石ってこんな感じで売られてることあるんだ!? 驚きの事実に、X上では8万4000件以上のいいね(18日夕時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「黒糖かと思ったw」
「鶏の炭火焼をパック詰めしたみたいに売られてる」
「なんだこれ? 興味しかないぞ」
「ご当地って感じでめっちゃいい」
「打製石器の矢尻が足りない時便利ですね」
Jタウンネット記者は発見者の幣束さんと、販売者である道の駅に詳しい話を聞いた。
「おはぎに間違えられたりする」
16日に取材に応じた幣束さんによると、「黒曜石パック」が販売されていたのは長野県長和町にある道の駅「和田宿ステーション」。13日の午前9時ごろに同店を訪れ、そのことを知ったという。
「パックで黒曜石売ってるとは思わなかったので面白いなと思いツイートしましたがこんなに話題になるとは思いませんでした」(幣束さん)
記者は17日、和田宿ステーションにも話を聞いた。
取材に応じた店長の山岡芳明さんによると、店がある長和町の和田峠・星糞峠は本州最大の黒曜石の原産地として名高い。黒曜石を販売しているのも、それが理由だという。
「男女倉(おめぐら)遺跡群、鷹山遺跡群など旧石器時代の石器工場のような大規模な遺跡が密集し、星糞峠では縄文人が黒曜石を掘り出していた鉱山跡が発見されています。
そのような背景から黒曜石は町の石(※編注:町公式サイトでは「町の特別シンボル」)に指定されており、観光振興も兼ね住民の方から黒曜石を提供していただき販売しております」(山岡さん)
それをお惣菜っぽいパッケージで販売している理由については「不明」とのこと。実は、ぼた餅やおはぎ等に間違えられることもしばしば有るそうだ。
で、使い道は?

ところで、この黒曜石、購入したところでどうしたらいいのだろうか?
買っていく人はどうしているらしいのか尋ねてみたところ、山岡さんは「インテリアとしてのご利用が多いようです」としつつ、こんな用途も教えてくれた。
「大きめの黒曜石でしたら石器のように鏃(やじり)、ナイフ等への加工。又は装飾品への加工にご利用いただけると思います。パワーストーンとしてお持ちの方もいらっしゃいます」
実用的な道具からお守りまで、使い方は様々あるようだ。
ちなみに、「原始の時代に興味がある」という幣束さんも、小さい欠片が数個入っているミニサイズのものを記念に購入したという。
「ほんとに鏃作るかも......」
と、幣束さんは答えてくれた。