作り物を「作り物だ」と認識できるようになったのは、いつだっただろう?
まだわからなかった頃、たぶん世界は今より〝怖いもの〟でいっぱいだった。
「娘がマジの恐竜だと思っているので全力で近づかないでー!!!と服を引っ張っているところ」
2025年8月4日、Xユーザーで2児の父のみっちん(@Paleoparadoxian)さんがそんな呟きと共に投稿したのは、とある林道での光景。
人間の大人と同じくらいの大きさの恐竜のオブジェだとファイティングポーズで向き合っているのが、みっちんさんだ。
そして、そんなみっちんさんのウエストポーチを引っ張っている小さな女の子が、娘さん。足をしっかりと踏ん張って、全力で体重をかけているのが窺える。
彼女にはきっと、父が恐竜とかいうめっちゃ怖い生き物に立ち向かうという、超絶危険で信じがたい行為に手を染めているように見えているのだ。そんな状況で逃げ出さずにパパを止めるなんて、勇敢で、立派じゃないか!
Jタウンネット記者は6日、当時の状況について、みっちんさんに詳しい話を聞いた。
大人には「なんともないもの」だったから...
みっちんさんと娘さんが〝恐竜〟に出会ったのは福井県勝山市のアトラクション施設「かつやまディノパーク」。施設内の「恐竜が棲む森」では、60頭を超える実物大恐竜が来場者を待ち受ける。
古生物好きのみっちんさんは2023年9月26日に福井県立恐竜博物館を訪れた際、骨だけでなく復元された恐竜達も見てみたいと思い、同館に隣接したディノパークにも遊びに行くことにしたのだという。

当時3歳だった娘さんは、父が好きな古生物に興味を持ってくれているものの、ディノパークを訪れた時には「恐竜が怖い」と言っていたそう。
そして、投稿写真の現場である撮影スポットにたどり着くと......。

「その場の立て看板にジュラシックワールドの1シーン再現を推奨する表示がありましたので、ノリノリで手を伸ばすポーズをしたら...ダメー!!!と急に娘が飛び出して引っ張ろうとしてきました。もう半泣きで危ないからー!!と」(みっちんさん)
怖かったけど...また行きたい福井
誰かが悪さをしていたり、誰かを傷つける話が大嫌いで、「そういったものは見たくない」と度々言っているという娘さん。パパが恐竜に傷付けられるのを見たくない、と思っての全力阻止だったようだ。
その後、パークの散策ルートの最後でティラノサウルスの展示が出てきた時も、「近づかないで!!」と全力で懇願されたという。

復元された恐竜たちは大人にとっては〝なんともないもの〟であることもあり、娘さんの行動を「そんな大袈裟な」と思ってしまったというみっちんさん。しかし、旅行後に動画を見返して大いに反省したという。
「終始大真面目に懇願する娘をみて、こんなにも親を想ってくれるなんて優しい子なんだと心が洗われるようでした。
いや、親でなくても人が可哀想な目に遭いそうなことは耐えられないんだなと。いい子に育ってくれているなと思いましたね。そして本当に申し訳ないことをしたと......」(みっちんさん)
娘さん本人にとっては気が気ではない体験となってしまったようだが、それでも福井旅行自体は楽しかったらしい。「今年も行きたい」と希望しているそうで、みっちんさんもそれを叶えるつもりだ。
「ただし相変わらず巨大な復元恐竜はダメみたいで、今は娘に何処までなら近づいて良いか聞いてから見学するようにしております(笑)」(みっちんさん)

怖がりながらもパパを「恐竜」たちから守ろうと必死になる娘さんの姿に、X上では2万9000件以上のいいね(12日昼時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「なんて尊い、、、」
「子どもってすごいよなぁって思わされる
この行動!
自分が怖いものを親やほかの大人も近づかないように
泣きながら守ろうとしてくれる
自分も怖いのに一緒に逃げようってしてくれる
私の周りの子どももだいたいこうで
本当に健気」
「私も幼少期に同じ経験があります。
いたずら好きの祖父が恐竜の口の中に頭を入れたら幼稚園児の私が次男と大泣きしたらしいです。通行人が私たちを見て笑っていたと祖父から聞きました。大きくなったら娘さんと笑い話をしてください良き思い出の1枚になりましたね!!」
「子が小さかった時、恐竜博物館の中で同じことしてくれたの思い出しました。
首長竜に手を伸ばした私を必死で全力で引っ張って止めて。
うちも写真撮っておけばよかったです。
これはめちゃくちゃいい記念ですね」