プリキュアかと思ったら、全然違った――そんな広告が、X上で注目を浴びた。
Xユーザーたちを困惑させたのは、空港なんかに置かれている、スーツケースを運ぶカートだ。
非破壊検査株式会社
WE ARE HEROES OF SAFETY
ひ、非破壊検査株式会社!? 全然プリキュアじゃ、ないじゃん!
この謎すぎる広告は2025年7月中旬にあるXユーザーが写真を投稿したことで話題に。ポストには5万件を超えるいいねのほか、こんな声が寄せられていた。
「何キュアかな?と思って拡大したら非破壊キュアだった」
「リボンのとこ何が書いてあるのかな?と思って見たら株式会社で地味にじわる」
「非破壊検査プリキュア......悔しい事にまあまあ語呂が良いのである」
「なぜこのデザインにしたのか謎過ぎますねw」
「初代のオマージュかなあw」
このデザインは、なんなのか?
Jタウンネット記者は13日、大阪府大阪市にある非破壊検査の本社に話を聞いた。
社会の安全を検査で守るヒーローです
非破壊検査社は、原子力発電所やビル、鉄道、橋、地中埋蔵物など「社会資本すべて」を対象に、超音波や放射線、レーダーなどの装置と技術を使って、壊すことなくそのものの状態を検査する企業だ。
同社広報担当者によると、話題の広告が掲示されているのは、大阪国際空港(伊丹空港)の手荷物カート。
24年11月に空港の管理会社から空港内広告に関する提案があり、非破壊検査社は複数の広告媒体の中から「カート」を選んだ。
「一般的な空港内看板では当該媒体の前を通らなければ目にできませんが、カートでしたら空港のどこにでもありますので、旅客以外の方々にも当社広告を目にしていただけると考えたからです」(広報担当者)
そして、取引のある代理店や制作会社数社にデザイン制作を依頼してコンペを実施。依頼の際には、〝堅苦しくなく、THE企業広告では無い感じ〟を前提に、デザインについて2つの希望を伝えたそうだ。
1つは、この広告ではカートの表と裏を使えるので、「ペアで意味が構築できるようなもの」にすること。
もう1つが、学生など若者の間での「非破壊検査株式会社」の認知を拡大することを目標にしてほしい、ということ。

そして、最終的に採用されたのが、カートという媒体の特性を生かしつつ、瞬時に目を惹くビジュアルのデザイン。
〝ヒーロー調タイポグラフィ〟で表現した「非破壊検査株式会社」を6種類(表に3種・裏に3種でカートとしては3パターン)用意し、カートの裏と表に掲出。そう、プリキュアっぽいやつだけじゃなく、いろんなヒーローっぽいヤツがあるらしいのだ。
また、上部には何故ヒーロー調なのかを紐解くロゴ「WE ARE HEROES OF SAFETY」を記す。さらに知りたくなった人のために、WebサイトへつながるQRコードも配置している。

「当社の社名は全て漢字でインパクトがある一方、若年層には堅く感じられてしまう恐れがありました。
『社会の安全を検査で守るヒーローのような存在』と伝えながら、これまでとは異なる印象を残し、認知獲得のみならず、興味喚起まで図ることを目的にしております」(広報担当者)
広告効果は、絶大かも!?

〝意外性〟を前面に押し出し、アピールする。その狙いが見事的中したことは、X上での反響を見れば明らかなように思える。
広報担当者も、こう語る。
「当初の目的である若者に少しでも認知いただけたことを大変嬉しく思っております。他の5種類のデザインにつきましてもどのヒーローなのか楽しんでいただければ」

そして、カートの広告を見て会社に興味を持ち、採用試験を受験しにきた大学生も複数いるそうで、「広報担当者冥利に尽きます」と喜びをあらわにした。
非破壊検査のヒーロー調広告カートは現在、大阪国際空港のゲートエリアを除くターミナルビル内やターミナル前駐車場の他、空港バスの停留所、大阪モノレールの大阪空港駅カート置き場に、計150台設置されている。
伊丹から飛び立つとき、伊丹に降り立つときに、使ってみては?