とある「ポスト」に貼られたお知らせが、Xユーザーたちを笑顔にさせている。
2025年8月10日、Xユーザーの黒岩徳将(@vortex_kuroiwa)さんが投稿したのは、茶色いポストの写真。
正面に貼られた張り紙は、「当分の間、投句できません」と呼びかけている。「投句箱の中で鳥が巣を作っているため」という但し書きもある。
どうやら、俳句を投稿するためのポストの中で、鳥が暮らし始めてしまったらしい。
黒岩さんの投稿には、3600件以上の「いいね」(8月14日夕時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「できない理由にほっこり」
「よいニュースだ」
「この中で育った鳥さんは鳴き声が五七五になりそう」
「これで一句詠もうとしてしまう」
「投句箱にて句会を開く燕かな」
「雛鳥の 揺籃の歌や 発句かな」
なんだか楽しそうなリプライが飛び交い、X上はまるで句会のような雰囲気に。
Jタウンネット記者は黒岩徳将さんに詳しい話を聞いてみた。
鳥を邪魔するわけにはいかず...
黒岩徳将さんは、俳句集団「いつき組」や「街」に所属する新鋭の俳人だ。
8月11日は、神奈川県鎌倉市内のお寺を歩いて句を作っていたという。
鎌倉市は高浜虚子とその娘の星野立子氏が暮らし、多くの名句を生み出した場所であり、現在では俳句を通じて地域活性化を図ることを目的に、いつでも気軽に俳句を投稿できる「投句ポスト」が市内20か所に設置されている。
黒岩さんもできた俳句を、そのうちの1つに投稿しようと思ったのだが......。
「立ち寄ったところまさかの鳥の巣が! と驚きでした。
でも、鳥さんを邪魔するわけにはいませんからね。俳句は自分の胸にそっとしまっておきました」(黒岩徳将さん)
黒岩さんに教えてもらったポストの設置場所であるお寺に尋ねると、「投句箱の中に鳥の巣があることを発見したので、お寺の判断で貼り紙を設置しました」と住職が教えてくれた。投句ポストの設置者である「鎌倉俳句&ハイク実行委員会」にも連絡し、了解を得ているそうだ。
お寺の名前を記事に書く許可ももらったのだが、鳥たちのために今は秘密にさせてもらおう。
鎌倉でこのポストを見つけた人は、他の投句箱のご利用をどうぞ。