2025年8月13日夜、大阪・関西万博の会場につながる唯一の地下鉄・大阪メトロ中央線の運転がトラブルの影響で一時見合わせとなり、その影響で、会場内で夜を明かした人も現れた。

14日朝、そんな人が投稿した写真が、X上で注目を浴びている。

朝日を浴びる大屋根リング。なんとも清々しい光景だ。

「朝5時の大屋根リング見れるとは...」

投稿者である「清水」(@downown55)さんはそう呟いている。

万博の開場時間は、午前9時から午後10時。普通なら見られない光景に、X上では5万5000件を超える「いいね」(8月15日夜時点)のほか、こんな声が寄せられている。

「朝の大屋根リング綺麗ですね」
「コロッセオみたい すげー」
「神々しく見えます」
「めっちゃ貴重な体験!」
「ちょっと羨ましい」
「これだけ観に行きたい」
「大変な思いされた皆様に神様からのご褒美?」
「お疲れ様」

X上には、感動と労いの声が溢れている。

万博会場で過ごす夜はどんなものだったのか。清水さんに詳しい話を聞いてみた。

「大変な事態でしたが、むしろよかったな」

夢洲から帰れなかった〝残留組〟はどうやって一夜を過ごしたか ...の画像はこちら >>
「13日21時15分ごろに、SNSの情報で大阪メトロ中央線が止まったと知り、1~2時間後には動くだろうと思っていましたが、0時頃まで進展がなく、仮に動いたとしても自宅最寄りの電車が終電を迎えるため、場内に残り始発や運転再開を待とうと決めました」

万博会場に止まることを決意した瞬間のことを、そう振り返る清水さん。

もちろん不安もあった。帰宅困難であると分かってすぐの時には「地獄や」「なぜこうなった」とも呟いている。

しかし、同じように帰れなくなっている人たちの行動が、清水さんを勇気づけたようだ。

「東ゲートのミャクミャク像の行列や住友館の列を見て、こんな事態にも関わらず普段の万博での様子と変わらない光景を見て、面白いなと思い、万博内で夜を明かす経験など絶対にできないと思い、その頃には不安よりもワクワクしていました」(清水さん)

ワクワクしてきた清水さんは、その後、会場内をひたすら歩いて探索したという。

「落合陽一さんのnull2で限定スタンプの設置やクラブのような音楽を流している光景を見たり、ポルトガル館では同じくスタンプや展示があり、急遽ビールが売られて、深夜1時過ぎにも関わらず行列が出来ていました」
「また、電力館をたまたま通りかかったところ電力館のスタッフがコンセントやUSB端子のハブを用意して下さりスマホの充電ができました」
「オランダ館はミッフィーの帽子(?)の配布やミッフィーと写真が撮れるとのことで行列が出来ていました」
「4時ごろに大屋根リング下の木のベンチで仮眠を取りました」
「その後5時ごろ朝になりチェコ館も開放されたことを知って、もしかして屋上で日の出を見ることができるんじゃないかと考え、行きました」(「清水」さん)

そして、午前5時25分――大阪メトロ中央線が全線で運転を再開。

清水さんもその知らせを受け、帰宅することに。夢洲駅につながる東ゲートへ向かう途中、夜中じゅう人々と写真を撮っていたミャクミャク像が朝日を浴びていた。

それを捉えた写真は、日の出に向かってミャクミャク像がお辞儀しているような構図である。

Xには11万件を超えるいいねに加えて、こんな反応があった。

「ミャクミャクの視線の先に朝日が昇る配置になってるの、正しく祭祀のための宗教施設って感じがする」
「正座をしているミャクミャク像、朝日が昇る方向を向いている。太陽をも出迎えているよう」
「毎朝ミャクミャクは朝日に向かって『いらっしゃいませ』と挨拶してたんか」

清水さんは万博会場のいろんな場所から、朝日を見た。

「よくよく考えてみると、日の出をちゃんと見たのは人生初だったため美しいなと思いました」と振り返る。

「恐らく最初で最後のオールナイト万博を経験したからこそ万博会場内で朝日を見ることができ、大変な事態でしたが、むしろよかったなと思いました」(清水さん)

こんな発見も、「オールナイト万博」ならでは⋯⋯。悪いこともあれば、良いこともある。人生、前向きに考えたいものだ。

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