奈良県に、〝幻のお菓子〟がある――。2025年7月末、そんな噂が、X上で話題となっていた。
そのお菓子の名は、「きみごろも」。名前からして、すでにおいしそう。
ただ、奈良県北東部・宇陀市の和菓子店「松月堂」だけが手掛けるというこのお菓子は、手作りのため数に限りがあるうえ、柔らかく日持ちがしないため、なかなか出会えないという。
しかし、そんな「きみごろも」をゲットできるチャンスが、東京にもある。毎週金曜日だけ、東京・JR新橋駅近くにあるアンテナショップ「奈良まほろば館」に入荷されるというのだ。
というわけで、お菓子大好きなJタウンネット記者は8月15日金曜日、新橋へと足を運んだ。
店舗に到着したのは開店30分後の午前11時30分。この時点で、「きみごろも」は残り1つとなっていた。ギリギリで、なんとか入手。
実は「きみごろも」チャレンジをしたのは、この日で二度目。8月1日にも「きみごろも」を求め、奈良まほろば館を訪れたのだが、完全に油断して午後1時頃に到着したところ、当然売り切れ。きみごろも争奪戦は、苛烈なのである。
さて、そうして手に入れた〝幻のお菓子〟は、どんなものなのか?
なんだこれは...
中身は、こんな感じ。

えっ、厚揚げ......? それとも卵焼き......?

予想外のパック入りだし、何とも〝お惣菜感〟のあるビジュアルだ。
うっかりおでんに入れちゃいそうだし、お醤油とかもかけちゃいそう......。

しかし、「きみごろも」は全国菓子大博覧会で3度も金賞を受賞しているほどの実力者。決しておばんざいではない。

周りの黄色い部分は、薄く焼いた卵の黄身。
割ってみると、「しゅわしゅわ...」と小さな音が聞こえてくる。
最初は箸で切ろうと思ったのだが、ふかふかすぎたので、包丁に持ち替えた。

中は、真っ白。
ふわふわの、メレンゲだ。

正直、この時点でもまだ油揚げに見えるのだが、口に入れると、全然違う。ふかふかとしゅわしゅわが同時にやってくる。
何だかいい香りがして、ふんわり甘くて、おいしい。
しかし、食べたことのない食感であり、味だ。あえて言うならふかふかの卵焼き......だろうか?
このお菓子はいったい、なんなんだ......と考えている内に、溶けてなくなってしまう。

原材料は、鶏卵に、砂糖、はちみつ、寒天。
となると、このいい香りは、卵とはちみつ由来のものだろうか。

1つ食べたときは、ほんのりとした甘さしか感じなかったが、食べ進める内にどんどんその甘さが濃くなっていくように感じたのも、不思議だった。まるで、絵本や童話に登場する〝夢のお菓子〟を食べているみたい。
ふかふかしゅわしゅわで甘い幻のお菓子「きみごろも」、気になる方は一度食べてみてほしい。
公式サイトによると、「松月堂」への電話受付で、地方発送も可能だ。