東京都在住の50代女性・Sさんが伯父と伯母の介護をするようになったのは、約10年前のことだ。
認知症の2人のために、毎日電車に乗って彼らの家を訪ねる日々。
そんな中、伯父伯母の家から帰るために乗車した山手線でアクシデントが発生し......。
<Sさんからのおたより>
今から10年ほど前のことです。
私は80代の伯父伯母の家に介護に行った帰りで、夕暮れの山手線に乗っていました。
その2週間前に、子供のころ可愛がってくれた伯父伯母を数年ぶりに訪ねたところ、2人とも深刻な認知症で生活が回っていないことが発覚。2人には子供がいないので、私はそれから毎日、銀行などの手続きや食事の世話のために2人の元へ通っていたのです。
家に帰ればすぐ自分の家族の食事を作らなければなりません。
心身ともにボロボロになっていました。
悪いことは続く...
悪いことは続くもので、膝に乗せたバッグが倒れて、中のタンブラーに入った飲み物が、隣の20代くらいの女性のスーツにかかってしまいました。
私は平謝りに謝りながらハンカチで拭き、クリーニング代を渡そうとしました。

しかし彼女は、受け取ってくれませんでした。
「大丈夫ですよ。家で洗濯できますから」
彼女はそう言ってから、「ちなみに、これ何でしたか?」と聞いてきました。
「すみません。カフェオレです」と答えると、「了解です!」とにっこり笑って、渋谷駅で颯爽と降りていきました。
赦されることのありがたさ
もうかっこよすぎて、感激です。
そして「人から赦されること」の有難さに、涙がでました。
あの時の出来事が、余裕がなくてお先真っ暗だと感じていた私の心を明るくしてくれました。

伯父伯母はその後、老人ホームに入りました。
伯父は亡くなりましたが伯母は元気にしています。
あのときのかっこいいビジネスウーマン。私もあなたのような心の広い女性になりたいです。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式X(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのか、どんなことをしてしまい謝りたいのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※本コラムでは読者の皆さんに投稿していただいた体験談を紹介しています。プライバシー配慮などのために体験談中の場所や固有名詞等の情報を変更している場合がありますので、あらかじめご了承ください)