山梨県在住の40代女性・Rさんの息子が、小学校3年生だった時のこと。
夏期講習から帰ってくるはずの彼との連絡が途絶えてしまった。
メールは返ってこず、電話には出ない。もう夜も遅く、Rさんが心配して電話をかけ続けると......。
<Rさんからのおたより>
今は高校生の息子が、小学校3年生だった頃のことです。
ある日の夜、夏期講習に行っていた息子を最寄り駅まで迎えに行って待っていたのですが、出てきません。
そこで私は何度もメールを送ったり、電話をかけたり。すると、何度目かのコールで電話がつながりました。
しかし、聞こえてきたのは息子ではなく若い男性の声でした。
息子は男性の目の前で...
その男性はこう言いました。「男の子が目の前で寝ていて、電話が何度も鳴っているので代わりに出ました。降りる駅通り過ぎてますか?」
私はもう「えええ~!」という感じでビックリ。
男性によると、息子が乗っている電車は、ちょうど隣の駅を出発したところ。
その次にとまる駅でいったん降りるにしても、そこは人が全く乗らないような田舎の暗い駅です。時間帯的にこちらに戻ってくるための上り列車も25分くらい待たないとありませんし、車で迎えに行くにも、私もそこへ行ったことがないし夜だしで、片道30分ほどかかってしまいます。
どーしよーーー。困っていると、男性がある提案をしてくださりました。

次の駅で何も無い真っ暗なホームで立たせておくのは可哀想なので、一緒に上り列車が来るのを待って、最寄り駅まで連れてきてくれるというのです。
私は心配もありましたが、信じて駅で待つことにしました。
「知らない人には絶対に付いて行っちゃダメ」の教えを守って...
待つこと一時間弱。若い男の人に連れられ、息子が出てきました。その時はこっちが泣きそうでした。
連れてきてくれた男性に「ありがとうございます」とお礼を言って帰ったのですが、後になって「あっ、名前も連絡先も聞いて来なかった!!」と気づいて後悔しました。
覚えているのはニコッとした笑顔と、サンリオキャラクターのクロミちゃんのネックレスを付けておられたことです。
改めてお会いしてお礼したいけど、叶わなそうなのでこの場でお伝えしたいと思います。
あの時は本当にありがとうございました。

戻ってくるための電車を待った駅は、真っ暗で電灯が一個しかなく、「昆虫がすっごい飛んで来てやばかった」と息子が言っていました。
「ちゃんと自分からもお礼言った?」と聞きましたが、「言ったけど、お母さんが知らない人には絶対に付いて行っちゃダメって言ってたから、いつでもダッシュして逃げられるように一定の距離とってたんだ」と。
まだ小さかったし、遠くまで塾に通わせている親としては、「いつも身の回りには危険がある、信じられるのは自分だけ」と教えていましたが......。
その息子のために、本当に夜遅くに時間を割いて頂いて、これ以上の感謝はありません。
息子の長い人生の中で、初めて会った人にこんなにも気を遣ってもらい、助けていただくことは、この先もなかなか無いと思います。

お陰様で息子も高校生になり、遠くの学校まで通っています。
部活を終えて帰って来ると夜9時近くになることもあるので、「寝過ごさないようにね!!」とメールをしています。
その度に、あなたのことを思い出します。
いつも遠くから感謝しております! 本当にありがとうございました!!
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」を募集している。
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