妊娠中のNさんはその日、クタクタの状態で電車に乗っていた。

旅先で倒れた母を見舞うため、遠方の病院へ行った帰りだったという。

しかし電車は混んでいて座れず、ようやく空いた場所に座ろうとするも......。

「妊娠中、混みあう電車で立ってた私。ようやく空いた席に座ろう...の画像はこちら >>

<Nさんからのおたより>

25年ほど前、長い不妊治療の末にやっとの思いで授かった赤ちゃんを妊娠していたころのことです。

ようやく5か月を迎えて安定期に入った矢先に、母が旅行中に倒れて、自宅の三重県から遠く離れた静岡県で緊急搬送されました。

くも膜下出血でした。

近くの席が空いたと思ったら...

母は今でこそ、多少の後遺症はあっても元気に暮らしていますが、その時はかなり重症で、地元の病院に移す事すら危険でできない状態。

完全看護とはいえ、やはり心配だった私は、少し大きくなってきたお腹を抱えながら、毎週三重県から静岡県まで電車でお見舞いに通っていました。

その日も母のお見舞いに行き、帰りに名古屋で乗り換え。電車がとても混んでいたので、クタクタになりながらも立っていると、途中で近くの座席が空きました。

「やっと座れる」。そう思ったのも束の間、若い女性がその席に座ろうとしました。

するとその時、30代前半くらいの男性が「ちょっと」と、その女性を制止したのです。

そして私に向かって「どうぞ座って下さい」と、声を掛けて下さいました。

「妊娠中、混みあう電車で立ってた私。ようやく空いた席に座ろうとしたら、若い女性客が...」(三重県・50代女性)
30代くらいの男性が...(画像はphotoAC)

女性は最初、怪訝そうな顔をしていましたが、私のお腹を見て納得したようです。気まずそうにその場を離れて行きました。

私は男性にお礼を言って、その席に座らせて頂きました。

名古屋から1時間立ち続けるのを覚悟していたので、本当にありがたかったです。

「こんな風に気遣ってくれるなんて」という驚きとともに、大きな嬉しさを感じました。

おかげ様であの時は、ゆっくり身体を休めながら帰ることが出来ました。

本当にありがとうございました。


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