マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百六十四回 東洋水産「やきそば弁当」の「中華風醤油味」と「北見焼肉味」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百六十四回目となる今回は、北海道民のソウルフードである東洋水産の「やきそば弁当」から新たに登場した、「5種の具材入り中華風醤油味」と「北見焼肉味」を紹介します。
北海道で愛される「やき弁」には多くのレギュラー味があり、ノーマルのソース味は3サイズで展開されています。
関東の「ペヤング」、関西の「UFO」と同等か、それ以上の存在感で、北海道では「やき弁」がカップ焼そばの定番ブランドとして君臨しています。
「やき弁」の新フレーバー「中華醤油味」と「北見焼肉味」
今回「やき弁」に新たに加わったのは、レギュラー商品として登場した「中華風醤油味」と、期間限定の「北見焼肉味」の2品。
「中華風醤油味」は、「やき弁」の中で比較的よく登場するオイスターソースを用いた「中華風」の商品で、過去には「あんかけ風」や今回とまったく同名の「中華醤油味」も出ていたことがあります。
レギュラー商品としてしばらく道内店舗で買うことができるので、道外の人にも食べるチャンスはあるかもしれません。
「北見焼肉味」のパッケージには北海道・常呂町のカーリングチーム「ロコ・ソラーレ」(先日のカーリング日本代表決定戦は残念でしたが、捲土重来を期待したいところです)の写真が印刷されています。
2023年2月にも「ロコ・ソラーレ」監修の「北見焼肉味」が出ていたことがありますが、今回の商品はそのソースの焼肉感をアップさせたものとのこと。
「北見焼肉」は常呂町がある北海道・北見地方のご当地焼肉で、牛サガリや豚ホルモンを七輪で焼き、玉ねぎやフルーツなどが入ったタレで食べるのが特徴。
北見は玉ねぎの生産が日本一なので、焼肉に玉ねぎを用いるのは必然でしょう。
「やきそば弁当 5種の具材入り中華風醤油味」
まずは「やきそば弁当 5種の具材入り中華風醤油味」をレビューします。

「やき弁」シリーズが得意とする中華味。カップ焼そばには具があまり充実していないものが多いですが、今回は「5種の具材」を強調した商品名となっています。

戻し湯で作る「中華スープ」はいつもの「やきそば弁当」と同じもので、あまり中華感がなく少し塩辛いのが特徴的。
通常の「やきそば弁当」のソースは他社の商品に比べてやさしい味で甘めなので、塩辛いスープと一緒に食べることで最適化されると勝手に思っています。
また、道民の中には「やきそば弁当」を食べる時に、「ペヤング」や「UFO」を食べる時と比べて、自分でマヨネーズなどのアレンジを加えている人が多いように感じます。
「中華スープ」が付いているやさしい味のソースが、アレンジのしやすさを生み出しているのかもしれません。

今回のソースは、オイスターがしっかり香る醤油味。
ごま油の香ばしさが調理感や臨場感を高め、オイスターソースと合わせてかなり力強い中華味でした。
「UFO」などの濃いソースに慣れていると薄く感じることもあるほどやさしい味が多い「やきそば弁当」ですが、今回の味はオイスターソースとごま油が強力で、塩気もしっかり感じられるため、「やき弁」としてはわかりやすく輪郭がハッキリした味でした。
いつもより濃い味×コシ強めの細麺
これに合わせられていたのが、中細で縮れのついた油揚げ麺。
「やき弁」はどの商品もだいたい麺が同じの「ペヤング」と違い、味によって麺の種類や太さを変えているのですが、この麺は通常の「やき弁」よりひとまわり細く、コシは強めでした。

「ふりかけ」も何種類かあって、ソースの味とマッチするものがチョイスされているようです。
中華風醤油味で選ばれていたのは、ごまと白胡椒が入ったふりかけ。
いつもだと、やさしい味のソースをふりかけによって味の輪郭を整えていますが、今回のソースは味がハッキリしているためそれほど必要性は感じなかったものの、白胡椒が濃いソースの味をさらに引き締めていました。

商品名になっている「5種の具材」として、キャベツ、大豆挽肉、コーン、ニンジン、赤ピーマンが入っていて、色とりどり。
大物の具は入っておらず、肉も大豆挽肉なので本物ではありませんが、キャベツの緑、コーンの黄、ニンジンの橙、そしてピーマンの赤が映えていました。
たくさん入っている野菜の水分や甘みが強くても、濃い味のソースがそのすべてを抱えてバランスを取っていて相性良好です。
「やきそば弁当 北見焼肉味」

続いては、期間限定発売の「やきそば弁当 北見焼肉味」。
2023年2月に期間限定で発売された「ロコ・ソラーレ」監修の同名商品を食べた時、正直言うと「焼肉のたれの味はあっても肉を焼いた味はあまりない」と感じていました。
今回焼肉感アップを実現できているなら、的確に弱点を埋めてきたことになると思われます。

こちらも戻し湯で作る「中華スープ」付き。
いつもの「やき弁」や、同時発売の「中華風醤油味」と同じタイプで、少し塩辛いです。

ニンニクと醤油をベースに玉ねぎやりんご果汁などを加えて、「北見焼肉」のたれの味をイメージしたソース。
野菜や果物の風味によって、甘辛い焼肉のたれの雰囲気が強く感じられました。
弱点を完全に克服!
そして、以前より焼肉感が確実にパワーアップしています。
焼肉のたれの味に加えてしっかりした焼肉の風味が加わることで、誰が食べても焼肉の味を再現している感じられる味に変貌していました。
前回の「北見焼肉味」の弱点だと感じていた部分が完全に補われています。
このソースに合わせられていたのは、太めで縮れの付いた油揚げ麺。「中華風醤油味」と比べても、いつもの「やき弁」と比べても太くて縮れが強めです。

ふりかけは白胡椒とごま。
胡椒のパンチとごまの香ばしさでソースの味に輪郭を加えると共に、焼肉のたれの味に胡椒とごまの風味が加わることで、より焼肉感が増す印象でした。

具は、大豆挽肉とネギの組み合わせ。
焼肉の味を再現した商品なのに本物の肉が入っていないのは少し残念ですが、大豆挽肉はたくさん入っていてボリュームがありました。
野菜については、キャベツの方が焼肉らしくて良さそうだと思いましたが、ソースの味で焼肉らしさはすでに達成できているので、具がネギかキャベツになったところであまり影響はないかもしれませんね。
「北見焼肉味」のパワーアップに驚き
「やき弁」に新たにレギュラー商品としてラインナップに加わった「中華風醤油味」と、2023年に続いて限定発売された「北見焼肉味」。
「中華風醤油味」は「やき弁」としては濃くてハッキリした味に加え、色とりどりの野菜が入っていて見映えも良かったです。
「北見焼肉味」は、焼肉感が大幅にパワーアップし、焼肉のたれの味と合わせて以前とは別物感ある焼肉味の再現性で驚きました。
いつでも食べられる道民は言わずもがな、北海道外の方も北海道旅行や北海道フェア開催の時に、一度手にとってみてはいかがでしょうか。