大阪府在住の50代男性・Mさんは数年前、ある人に出会った。

それは彼が、生命の危険すら感じていた時に偶然通りかかった同年代の男性で......。

「夜の山道で車に乗せてくれた同世代の男性。彼との会話で鳥肌が...の画像はこちら >>

<M.Kさんからのおたより>

人生ではじめてヒッチハイクをしたときの思い出を聞いてください。不思議な体験でした。

私は大阪府在住の50代の男性です。少し前に、可愛がっていた愛犬の柴犬が享年15歳で永眠しました。

ちょうど、コロナ禍の始まり、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号での感染が日夜報道されていた頃です。

後ろ髪を引かれる思いで私は出勤し、愛犬は妻と当時大学生だった娘に看取られました。職場で、妻からの「亡くなった」というLINEを受け取りました。

その後、妻は激しいペットロスでいつも泣いていたことを覚えています。

おっさんひとり山の中、50を過ぎて泣きそうに

そんな出来事もあり、(愛犬の供養だけが目的ではありませんが)私は思い付いたように「四国お遍路」を始めることにしました。

といっても、現役サラリーマンなので、2泊3日程度の小旅を繰り返し、1年程度を掛けて四十八か所を巡る計画です。

何回目だったが、ある日のこと。

最大の難関と言われる第11番札所「藤井寺」から第12番札所「焼山寺」への道のりは、徒歩で7時間くらい掛かりました。

「夜の山道で車に乗せてくれた同世代の男性。彼との会話で鳥肌が立ったワケ」(大阪府・50代男性)
「最大の難関」の道は険しく...(画像はphotoAC)

もちろん下調べをして臨んだのですが、想像以上でした。

藤井寺を出発したのが朝7時半頃頃、焼山寺を出たのは15時頃だったと思います。ガイドブックを見ながら、最寄りのバス停を目指し、かろうじて予定のバス停にたどり着いたものの、時刻表には、もう......。

意を決して、最寄りの駅まで歩くことにしたのですが、土地勘がなく、延々と続く道に心細くなってきました。

途中で宿を見つけたのですが、予約なしではと断られ、その内、日が傾いてきました。

おっさんひとり山の中です。山越えルートの予定でしたが、これは流石に危険と判断し、国道沿いを延々と歩き始めました。

道は舗装されていたものの、途中から街灯も無く、ほんとうに真っ暗闇でした。それでも歩き続け、50を超えたおっさんが泣きそうなくらい、不安でした。

ヒッチハイクを決意するも...

スマホの道案内を頼りに21時頃まで歩いたところ、スマホが指示したルートは山道への誘導でした。山道な真っ暗です。いよいよ途方にくれました。

この時点で、朝から15時間歩き詰めの状態で、命の危険を感じたものです。意を決して、人生はじめてのヒッチハイクを決心しました。

しかし、車自体がたまにしか通らない。ましてや、暗がりの中で怪しげなおっさん。ほとんどの車は素通りしていきます。当たり前です。

諦めかけていたその時、通り過ぎた車がUターンして戻ってきてくれました。いやいや、涙が出ましたね。たぶん私と同世代の男性でした。

「夜の山道で車に乗せてくれた同世代の男性。彼との会話で鳥肌が立ったワケ」(大阪府・50代男性)
車に乗せてくれたのは(画像はphotoAC)

学生時代は千葉県に下宿されていて、バイクでツーリングする最中に多くの人にお世話になったこと等のお話をしました。娘の年齢も、ほぼ同じだと分かりました。

ここからが、不思議なご縁の話です。

重なる偶然、判明する共通点

その方は四国に居ながらもお遍路をまわったことはないとのこと。しかし、たまたま、その日から、奥さんと娘さんがお遍路を始めたとのことで、家に帰っても暇だったこともあり、Uターンしてくださったそうなのです。

聞けば、奥さんと娘さんがお遍路を始めたきっかけは、愛犬が亡くなったこと。

しかも、なんと柴犬!

「夜の山道で車に乗せてくれた同世代の男性。彼との会話で鳥肌が立ったワケ」(大阪府・50代男性)
共通点が続々と(画像はphotoAC)

我が家に愛犬が来たのは、娘が小学校4年の運動会の日だったかな。その男性も同じころに飼い始めたそうです。娘の希望で。

娘の希望という点も同じです。こんな偶然が重なることがありますか?? お互いに、鳥肌が立ちました......。

「同行二人」を感じられた瞬間

実は私は信仰にご縁がなく、いわゆる無信仰者なのですが、空海さんのファンです。

「同行二人」。あの時は、ほんとうに空海さんが隣にいるように感じました。

これが四国のみなさんの温かさ、お接待なのですね。せめてお礼をしたかったのですが、ガソリン代も受け取っていただけませんでした。

お名前もお聞きできませんでしたが、あの時の御恩は一生忘れることはないでしょう。


誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

名前も知らない、どこにいるかもわからない......。

そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式X(@jtown_net)のダイレクトメッセージメール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのか、どんなことをしてしまい謝りたいのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)などを明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※本コラムでは読者の皆さんに投稿していただいた体験談を紹介しています。プライバシー配慮などのために体験談中の場所や固有名詞等の情報を変更している場合がありますので、あらかじめご了承ください)

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